内閣府の男女共同参画局推進課長を務める定塚氏。女性の社会進出という話題になると必ず名前が出てくる。セミナーや講演も数多くこなす

また、現在の組織社会における女性の進出について「"女に何がわかるんだ"という扱いを受けたことがある」(日本HP・前田氏)など、女性蔑視的な風潮は少なからず存在することが吐露され、「"女性だからダメ"という上司に対しては、冷静に理論武装した上で説明する。理屈で説明できるよう準備しておけば、たいていは理解してもらえる」(松下電器・宮井氏)、「自己主張をする努力が必要」(日本HP・前田氏)といった対応策が披露された。

一方、内閣府の定塚氏によると「ここ2年で特に民間企業で変化してきている。さらに、女性のマインドが変わってきた」という。加えて「専門性をもつことが大事。相手に信用してもらうことが大前提。信頼されていなければ、仕事がはかどらなかったり、助けてもらえなかったりする」(住友スリーエム・アキレス氏)、「とにかく結果を出すこと。結果が出始めると、周りは変わってくるはず。会議を早めに設定しようとか、職場環境を変えてしまうこともできる」(松下電器・宮井氏)と、キャリアと子育てを両立するために、まずは自らが行動を起こし、努力して結果を出すことにより、結果次第では状況を変えることも可能だという、経験談が明かされた。

主催者である日本HPから登場した前田氏。外資だからといって女性への偏見がまったくないわけではないという

また、困難に当たったときの対処方法として、「落ち込んだときは原点に帰ること。なんのために働いているのか、生きているのかを考える。あとは人と話すこと。それによって得られるエネルギーは大きい」(松下電器・宮井氏)、「何のために仕事をしたいのか、この仕事がどう社会に役立つのかを考えること」(内閣府・定塚氏)、「自分の内面と向き合う"インナーダイアログ"が必要。そのためにも束縛されない時間を設ける」(住友スリーエム・アキレス氏)、「困ったときには人に相談する。失敗したことを考えに考るとそのうち飽きて、前向きになることもある。あとは心を養うためのひとりの時間が必要」(日本HP・前田氏)と、アドバイザーの存在と、初心に帰ることの重要性を訴えた。

最後に、今回のセミナーで基調講演を行った、HPのマルセラ・ペレズ デ アロンゾ氏が再び登壇し、「常にポジティブマインドで、失敗しても次の行動を起こし責任を取り、困難に直面してもぶつかひとりで悩まない。さらに、チームや家族、友人との関わり合いからエネルギーを得て、自分の時間も大切にしているのがリーダーの秘訣だと感じた」と、パネルディスカッションの感想を述べ、会を締めくくった。