JR東日本は3日、ハイブリッドシステムを搭載した新型車両「キハE200形」の営業運転開始を発表した。「環境負荷低減」をコンセプトに新造されたこの車両は、従来のディーゼルエンジンと屋根部分に搭載されたリチウムイオン蓄電池で動く。運転開始は7月31日午前9時55分。小海線中込駅(下り)から世界で初めて営業用として投入される。

世界で初めて営業用車両として投入されるハイブリッドシステム搭載新型車両「キハE2000形」

JR東日本は、2003年から試験気動車でハイブリッド車両の走行性能や省エネルギー効果などを検証してきた。2005年秋、環境負荷低減効果などが確認できたことから営業用のハイブリッド鉄道車3両を新造し、2006年度末に落成していた。今後は、営業運転時における各種データの確認を約2年間行い、量産車を検討していく予定もあるという。

具体的な環境負荷低減の内容だが、ハイブリッドシステムによりブレーキ時の回生エネルギーを有効利用し、現行の気動車(キハ110系)よりも燃料消費率を低減(小海線で約10%)。省エネルギー化を図るとともに、駅停車時等にはエンジンを停止し、騒音を低減(約30db)している。発電用ディーゼルエンジンには最新の排ガス対策エンジン(コモンレール式ディーゼルエンジン)を採用。ハイブリッドシステム効果と合わせて、排気中の窒素酸化物(NOx)、黒鉛などの粒子状物質(PM: Particulate Matter)の約60%低減を目指している。電気暖房/電気冷房採用による温水/冷媒配管は廃止。モーターや制御装置、空調など、最近の通勤電車と機器の共通化を図り、メンテナンスの軽減しているのも特徴だ。

客室の工夫は、中央快速線で実施したアンケート結果を反映。床面高さを低くしてステップとの段差を4.5センチ縮小。優先席部の吊手高さを4センチ下げ、ロングシート部の腰掛幅を2センチ拡大しているバリアフリー構造。自動ドア付き大型車椅子対応トイレも設置されている。

出発式は7月31日午前9時ごろ。JR小海線中込駅で行われる。運用は小海線(小淵沢~小諸間)で、運用開始記念セレモニーは、小淵沢駅、清里駅、野辺山駅、小海駅、小諸駅でも実施される予定。

8月1日から本格運用に入り、9月2日までは毎日下り5本、上り4本の運転が計画されている。なお、9月3日以降は土休日の臨時列車で運転するほか、平日の定期列車でも使用する予定。