Win32 API互換レイヤーの開発を進めるWineプロジェクトは2日(米国時間)、Intel Mac向け仮想化ソフト「Parallels Desktop 3.0 for Mac」に含まれているソースコードのうち、同プロジェクトが開発したDirect 3D関連プログラムの改変版ソースコードを入手したことを明らかにした。改変版ソースコードは、Parallels Desktop 3.0 for Macに同プログラムの使用が判明して以降、Wineプロジェクト側から公開を求めていたもの。

事の発端は今年6月、Parallelsのサポートフォーラム上で、ある匿名ユーザがParallels Desktop 3.0 for Macを構成するプログラム(Parallels Tools)にWine由来のDLLが含まれていることを指摘。フォーラムを管理するParallels社員は、ライセンスにLGPLを適用するWineのソースコードを使用していることはただちに認めたが、WineのDLLは他のプログラムから独立した形で存在すること、Parallelsが開発したプログラムにはリンクせずDirectXからOpenGLに変換するときのみ使用していることを理由に、LGPL違反ではないと主張した。

この記述を受け、Wineの開発者がParallels宛にソースコードの公開を求める書簡を送信。フォーラムでは、要望があれば改変を加えたソースコードを一両日中に提供すると明記されていたものの、即座に公開されなかったうえ、数日にわたり連絡が途絶えたことから、「Parallels Desktop Watch」なるサイトを開設、一連の経緯を公開していた。

Parallelsとの折衝にあたった開発者が入手した改変版ソースコードを確認したところ、Windows用にコンパイルするための変更を除けば、機能的な部分での改変はほとんど確認されなかったとのこと。ただし、これらのソースコードがParallels Desktop 3.0 for Macに収録されているDLLと同一のものかどうかの検証は行われていない。