8日(米国時間)、IBMは伝染病の広がりを予測するソフトウェアをオープンソース化すると発表した。ソフトウェアは「STEM(Spatio-Temporal Epidemiological Modeler:時空間的疫学モデラー)」と呼ばれ、Java SE 5.0以上がインストールされたマシン上で動作する、Eclipseベースのソフトウェアだ。

STEMを使用することにより、鳥インフルエンザやデング熱と言った伝染病が、時間の経過とともにどう広がっていくかをシミュレーションし、地図上で確認することができる。下の画像は、スペイン熱という伝染病が東京から日本中に広まっていくというシナリオを実行したものだ。シミュレーションによると、2007年5月下旬に東京で発生したスペイン熱は、ほんの3週間程度で北海道と四国を除く日本全土に感染地域を広げ、その後数年間にわたって猛威をふるい続ける、といったものであった。

STEMによる、日本でスペイン熱大流行というシミュレーション

STEMは、IBMの科学者たちが3年以上にわたって行った研究の末に完成した。渡り鳥のルートや各地の人口、道路の繋がり方や空港の所在地など、さまざまなパラメータを調整してシミュレーションを行うことができるという。STEMにより、伝染病が世界規模で拡大するというシナリオを実際に試すことができ、各国の公衆衛生の専門家による分析が行われ、予防や対策の手助けになることが期待されている。

STEMのメインサイトはこちら。ダウンロードはこちらのページから行うことができる。ダウンロードするファイルのサイズは、Windows用のzipファイルだと134メガバイト、Linux用のtar.gzファイルだと132メガバイトだ。ダウンロードしたアーカイブを展開した後、Windows環境ではSTEM.exeをダブルクリックするだけで起動できる。前述のとおり、STEMの実行にはバージョン5.0以上のJava実行環境がインストールされている必要がある。

実行したら、「Window→Scenarios」をクリックして表示されるScenariosビューから、様々な場所で伝染病が蔓延するシナリオを体験することができる。