ジム・メリット社長

デルは、報道関係者を対象に、エンタープライズ事業に関する戦略説明会を開き、そのなかで、エンタープライズ事業が過去3年間で10%以上の成長を遂げていること、さらにサービス事業が、同様に66%増の成長を遂げていることなどを示し、「今後もエンタープライズ事業、サービス事業への積極的な投資を進めていく」(同社のジム・メリット社長)との姿勢を明らかにした。

デルの日本法人では、今年2月からスタートした2008年度において、米本社が打ち出したDell2.0の推進を掲げており、付加価値を提供する企業への転換を重要な方針のひとつに位置づけている。エンタープライズ事業、サービス事業の強化は、付加価値企業への脱皮には欠かすことができない取り組みであり、今回の会見でも、これらの分野へ、さらに注力していくことが示された。

メリット社長は、エンタープライズ事業においては、戦略パートナーとの提携強化、パートナーとの新戦略推進および体制強化、テクニカルサポートへの継続的な投資を図っていくとしたほか、サービス事業では、デル・プロフェッショナル・サービス、デル・マネージド・サービス、サポート・サービスに対して、新サービスの提供、戦略的パートナーの拡充、保守サービス内容の再構築に取り組んでいく方針を示した。

「デルは、顧客に信頼されるソリューション・プロバイダー、顧客に選ばれる会社を目指す。これにより、エンタープライズ事業では市場全体の約1.5倍の成長を、サービス事業では同3倍以上の成長を目指す」とした。

デル・ジャパン事業の成長

町田栄作本部長

エンタープライズ事業に関しては、アドバンスド・システムズ・グループ本部の町田栄作本部長が説明。「デルが提供するエンタープライズシステムは、標準化された技術によって構成されており、最適なソリューションのデプロイメントと、シンプルなシステム管理環境を提供。顧客のビジネスの成長をサポートできる企業だ」と前置きし、「デルは、スケーラブル・エンタープライズへの段階的なアプローチをすすめ、現在は、スケールアウトによるソリューションの最適化を実現している。将来的には、ダイナミックにリソースのプロビジョニングを実現することになる。世界の有力なパートナーとともに、業界標準のビルディングブロックを提供できる唯一のグローバルベンダーである」とした。

また、デルが100を超える標準化団体に参画している事実を紹介し、「デルは標準技術を使うだけではない。標準化団体のなかには、デルの社員が、チェアマンやバイスチェアマンという役割に就いているものもあり、強い立場で標準化を引っ張る役目を果たしている」とした。

エンタープライズ事業の成長

標準規格に重点を置く

諸原裕二本部長

一方、同社ソリューション・サービス・デリバリー本部の諸原裕二本部長は、デルのサービス事業が、「デプロイメント」、「プロフェッショナル・サービス」、「プレミア・エンタープライズ・サポートサービス」、「マネージドサービス」、「トレーニング」の分野に広がっていることを示し、「デプロイメントでは、導入からシステム活用までの迅速化を実現するとともに、メンテナンスやサポートの簡素化を実現。数1000台単位のサーバーを顧客の要求にあわせて工場でカスタマイズし、現地では個別設定だけすればすぐに運用できるという事例も日本で出ている。一方、プロフェッショナル・サービスでは、レガシーマイグレーションの大型案件をはじめとして、デルが提供するIAサーバーによるインフラ構築サービスに高い評価を集まっている。Oracleデータベースでは、9割がLinuxによるものであり、業界標準の組み合わせによる効率的にシステム構築が行われている」とした。

さらに、「デルのメリットとして顧客から指摘されているのは、標準化した技術や製品を活用しており、短期間でシステム構築し、稼働させられること、ハード、OS、ミドルウェアの単品ごとのスキルではなく、組み合わせた時の知識、経験が豊富であり、エンジニアのスキルが高いという点。これは他社にはない大きな強み」とした。

サービスの内容

今後の展開として、プロフェッショナル・サービスでは、サーバー統合ソリューションの強化、メールサーバーやファイルサーバーを対象としたアーカイブ・ソリューションの強化、ディレクトリサービスの統合と変更管理ソリューション、コンテンツ管理ソリューションといったセキュリティ・ソリューションの強化、Oracleデータベースサーバーに加え、アプリケーションサーバーとの連動によるOracle Gridソリューションの強化などを図るという。

サービスの成長

また、エンタープライズサポートサービスでは、「プラチナ・プラス・エンタープライズサービス」、「ゴールド・エンタープライズサービス」、「シルバー4時間対応サービス」、「標準翌営業日対応サービス」の4つを用意しているが、「今後は、プロアクティブサポートを強化した新エンタープライズサービスメニューや、ソフトウェアのサポート拡充、さらには顧客担当サポートエンジニアの人員強化といったサポート体制の強化に取り組む」とした。

サポートサービスの比較