電話会議は、簡単にいえば、一対一で行う電話による通話(打ち合わせ)を拡張し、複数の回線で同時に通話できるようにしたものである。たとえば、NTT東日本(西日本)の「トリオホン」や、NTT DoCoMoの「三者通話サービス」は、電話会議の最小単位といえるだろう。

これらのサービスは、一度一対一で普通の通話を開始したあとに「フラッシュ(フックボタンを瞬間的にON/OFFする操作)」を行うことで、三人目へとダイヤルでき、その後は三人が同時に会話することができる。また、NTT DoCoMoの「プッシュトーク」は、トランシーバ方式(発言権を持った人の発声が全員に送出される)を使った、いわば電話会議の一種とも言える。

こうした最小構成の形態をとったサービスの他にも、NTTマーケティングアクトの「コーラスライン」やNTTコミュニケーションズの「クリアカンファレンス」といった、事業者が提供する電話会議網がある。もちろんウィルコムの定額制を活かせるサービスもある(「AIR-CONFERENCE」、詳細は後述)。

ここでの接続方法の原則は、事前の申し込みによって得た会議室を、まずはホスト(会議開催者)が設定する。次に各参加者は指定のアクセスポイントへ電話を掛け、会議室のIDとパスワードをダイヤルすることで、その会議室へと入室して、会議に参加できるシステムとなっている。

また、企業の規模や電話会議の開催頻度によっては、上記の事業者ネットワークサービスは使わず、自社でシステムならびに回線を用意して、直接「一対多」の接続を可能にしているところもある。ただし、この場合はシステム構築の初期費用が大きくならざるを得ない。また、最大接続者数の電話回線を常設しておく必要があり、会議がない時期であってもランニングコストが必要となる。

こうした電話会議において、一回線で複数の参加者が出席する場合、通常の電話機にある「スピーカーホン(ハンズフリーホン)」で参加することも可能だが、マイクそのものがなく、発言時には受話器をとる必要があり、実のところ、発言が終わると電話機を間違えて切ってしまうということもしばしばある。また、マイクの感度が悪く、大きな声を出さなければ聴こえなかったり、あるいはマイクの感度が良すぎて、配布資料をめくる音が入ってしまい、会議が中断されたりと、いろいろと不都合が生じることが多々ある。

いわゆる「会議用スピーカーホン」は、こうした不都合が生じる部分を回避・補う機能を持たせた特殊な電話機で、電話会議に特化した様々な工夫が凝らされている。

電話会議用端末「KX-TS745JP」~「W-SIM」対応のメリット

電話会議で必要となるものは電話回線であるが、一般の企業では「ビジネスホン」が設置されていることが多く、当初から電話会議を想定していないと、事務所の構造などから電話回線を確保することが難しいことが多い。場合によっては、ビジネスホンの受話器すら設置されていないこともある。これは電話会議を開催しない限り、一般論として会議室で電話を利用することがほとんどないからである。

本稿紹介の「KX-TS745JP」は一般回線や公衆IP電話サービスの他に、「W-SIM」対応を銘打っており、電話回線すら準備する必要がない。ウィルコムのエリア内(圏内)で、後はAC電源を確保できれば、電話会議にすぐに参加できる。電話回線の設置自体が難しい場所、たとえば、建設現場の仮事務所などにおいて会議が必要な状況では、特にその利用価値が高いだろう。

また、ウィルコムの「ウィルコム定額」プランを利用すれば、二点間での会議であれば、通話料(通信コスト)をまったく意識することもなく、会議を開催することが可能だ。