現在はコンセプトプルーフ(コンセプトを簡易的に形にしたもの)レベルなのだが、将来もしかしたら普及するかもしれないという興味深いWebアプリケーションが公開されたので紹介しておきたい。Webブラウザにプラグインをインストールすることなく動画を再生できる「JS MEDIA PLAYER」だ。

「JS MEDIA PLAYER」はAzer Koculu氏によって開発されたWebアプリケーション。公開されているサンプルは10秒ほどのAVIファイルを再生するもので、Firefox 2、Opera 9、IE 7/6などで動作する。

図1:JS MEDIA PLAYERのデモ(コンセプトプルーフレベル)

先に種明かしをしておくと、「JS MEDIA PLAYER」は純粋なAVIファイルプレーヤではない。使われているJavaScriptは、JPEGファイルをパラパラ漫画のように表示するというもの。つまり、「JS MEDIA PLAYER」はパラパラ漫画プレーヤということになる。動画ファイルを複数のJPEGファイルにサーバ側で変換し、それをWebブラウザ上で順次表示させることで実現する。

もっとも、同氏は当初、「FFmpeg 1」を使ってJPEGファイルへ分割する処理をサーバ上で実行するつもりだったが、ホスティングの制限上それができなかったという。したがって、現在は静的にJPEGファイルを持ってきているだけで、AVIファイルからの動的なコンバートは行われていない。

実はこうしたアイディアはめずらしいものではない。すでに「Javascript Movie Player」や「The Morning Outline - AJAX Video Player」などの実装例がある。

図2:Javascript Movie Player

図3:The Morning Outline - AJAX Video Player

プラグインフリーの動画を表示させたければ、アニメーションGIFでもよいではないかということになりそうだが、JavaScriptを活用すれば再生/停止機能を用意したり、表示するサイズやエフェクトを動的に変更したりすることができる。この点はアニメーションGIFに対する大きなメリットになるはずだ。

提供されているデモはサーバ側での動的な分割が行われていないし、Flash Movieと比較して実用的かどうかと考えると多少疑問が残るものの、オープンな技術として利用できるため今後十分発展する可能性は秘めている。ライセンスやポリシーの関係で従来の動画配信技術を採用できないという場合における1つのソリューションになるかもしれない。まだまだ未知数だが、今後の展開が楽しみなところだ。