Z170マザーボード+DDR4メモリ

さて、CPUだけあっても動作は確認できないわけで、今回はMSIよりIntel Z170 chipsetを搭載した「Z170A GAMING M7」を借用して評価を行った。サイズは標準的なATXサイズ(Photo20,21)のマザーボードだ。

Photo20:2スロット厚のGPUカード2枚挿しでも吸気に問題が無い配置なのは流石(流石に3枚目は無理だろうが)。上のPCIeスロット2本は金属カバー付き

Photo21:向かって右に、アナログ回路周りのシールドと思しき太い配線が目に付く

OC対応ということでかなり重厚な電源回路が用意される(Photo22)。また、バックパネルはそれほどポート数は多くないが、USB 3.1 Type-Cを含むさまざまなI/Fが用意されている(Photo23)。SATAはSATA Expressにも対応したタイプ(Photo24)、さらにM.2コネクタが2組用意される(Photo25)。マザーボード下端には電源/リセットに加えGame Boostスイッチも用意される(Photo26)。

Photo22:電源は13-Phaseの模様

Photo23:Dual HDMI構成なのが面白い。縦型のUSBポートはUSB Flashback用。USB Type-Cコネクタとその上の赤いUSBポートはUSB 3.1対応

Photo24:SATAポートそのものの増設はないが、最近は増設がM.2とかU.2に移りつつあるので問題はないだろう

Photo25:同社はM.2スロットに装着するU.2アダプタも提供する模様で、これもあってM.2が2組あるものと思われる

Photo26:右端の赤いスイッチがGame Boost。ロータリースイッチになっており、回転させることでCPUのOC設定を一発で行う事が可能

細かいところでは、PCIeの信号スイッチはおなじみASMediaのASM1480が利用されていた(Photo27)。また、M.2ソケットの脇にはClock GeneratorとおぼしきIDTの6V41516NLGが配されていた(Photo28)。

Photo27:PCIeのElectrical Switchは複数のメーカーがリリースしているが、台湾マザーボードベンダー向けのマーケットはASMediaが独占している感がある

Photo28:型番を見るとClock Generatorっぽい(チップの下にPLLが居る事からも判る)が、どうもまだ汎用品になる前のものらしく型番検索ができない

このほかUSB 3.1コントローラにはASMediaのASM1142が実装されていた(Photo29)。取りあえずCPUを装着すると普通に稼働した(Photo30)。CPU-Zでもチップセット情報は正しく認識された(Photo31)。

Photo29:位置的にはバックパネルの丁度裏側、Photo20の写真で言えば左上の赤黒のカバーの下になる

Photo30:こちらで見るとコア電圧は1.280Vとなっている。先ほどのPhoto16のVccは何を測定しているのだろう?

Photo31:これは内蔵GPUを使っている状態でのキャプチャなので、PCIeレーンがx0になっている

余談になるが、Z170チップセットというかIntel 100シリーズチップセットからはEHCIコントローラがサポートされない。ところがWindows 7ではInboxでxHCIのドライバが入っていないので、このままだとWindows 7のインストールができなくなる。これをカバーするため、BIOS SetupにWindows 7インストール用のオプションが用意されている(Photo32)。

Photo32:というわけで理論上はこれをOnにしておけばWindows 7でもインストールできる筈である

もっとも、BIOS 1.32ではこれをEnableにしてもWindows 7のInstallerが動き出した瞬間にマウスもキーボードも使えなくなってしまった。ただ、Z170A GAMING M7にはPhoto23にあるようにPS2ポートが用意されており、今回はここに(捨てずに取っておいた)PS2キーボードを接続して、インストールを無事終えることができた。昨今ではPS2ポートを持たないマザーボードが大半であり、Windows 7を使いたい場合は、事前にいろいろと準備した方がいい。

というかいまさらWindows 7を入れるなよという声は当然あると思うが、今回はベンチマーク期間がWindows 10リリースの直前という割と嫌なタイミングだったこともあり、あえて環境やドライバが安定したWindows 7で行っている。次からは多分Windows 10にする予定だ。

ついでにメモリについてもご紹介。今回はセンチュリーマイクロが現在開発中の、DDR4-2133 8GB Unbuffer DIMMのプロトタイプを借用してテストを行った(Photo33)。Latency設定はJEDEC #6のスペックで行っている(Photo34)。

Photo33:チップそのものはSK Hynixのものを利用している。シールは同社の従来製品のものをそのまま張りつけているので、最終的な型番などはまだ決まっていないとか

Photo34:特に何も設定せずに装着しただけでDDR4-2133 CL15-15-15-36で動作した

今回のテスト環境

表1にテスト環境を示す。前回のBroadwell-Hとほぼ同じタイミングでテストを行ったので、今回はBroadwell-Hの結果にSkylakeを加える形で実施した。Broadwell-Hの性能とGodavariの性能評価は済ませているので、今回はSkylakeの性能を中心に見てゆきたい。

■表1 今回のテスト環境
CPU Core i7-6700K Core i7-5775C Core i7-4790K A10-7870K
M/B MSI Z170A Gaming M7 ASUS Z97-Deluxe ASUS A88XM-A
BIOS BIOS Version 1.32 & 1.51 BIOS 2401
Intel ME 9.1.1.1000
BIOS 2301
Chipset S/W Intel Chipset Software V10.0.27 Intel Chipset Software V10.0.20 AMD Chipset Driver 13.251.3.0000
Memory DDR4-2133 CL11 16GB
(Century Micro DDR4-2133 8GB Prototype×2)
XMP-1866 CL10 16GB
(Corsair VENGEANCE CMZ16GX3M2A1866C10 8GB×2)
XMP-2133 CL11 16GB
(Corsair VENGEANCE CMZ16GX3M2A2133C10 8GB×2)
Video 内蔵GPU(10.18.15.4248) 内蔵GPU(10.18.14.4206 WHQL) 内蔵GPU(Catalyst 15.7) GeForce GTX 780 Reference (GeForce Driver 353.30 WHQL)
Storage Intel SSD520 128GB(System) + HGST HDP725050GLA360 500GB(Data)
OS Windows 7 Ultimate 64bit 日本語版+SP1

ちなみにSkylakeのBIOSが2種類あるが、ベンチマークそのものはVersion 1.32で行っている。ただしこのVersion 1.32では、DIMMが2枚(というか、Rankが4つ)までは正しく動作するのだが、DIMMが3枚以上(あるいはRankが5つ以上)になると、POSTで無限ループに入るという困った問題を抱えていた。この問題は7月31日にリリースされたVersion 1.51では解消されている。いくつかテストを試して見たが、パフォーマンス面ではVersion 1.32とほとんど差がなかったので、今回はVersion 1.32での結果を示す。

ちなみに以下のグラフでは

  • Haswell :Core i7-4790K
  • Broadwell:Core i7-5775C
  • Skylake :Core i7-6700K
  • Godavari :A10-7870K

としている。また殆どの結果では内蔵GPUと外部GPU(GeForce GTX 780を利用)を別のグラフにしているが、一部のグラフは一つにまとめている。この場合の表記は

  • Haswell(Ext) :Core i7-4790K+GeForce GTX 780
  • Haswell(Int) :Core i7-4790K+内蔵GPU
  • Broadwell(Ext):Core i7-5775C+GeForce GTX 780
  • Broadwell(Int):Core i7-5775C+内蔵GPU
  • Skylake(Ext) :Core i7-6700K+GeForce GTX 780
  • Skylake(Ext) :Core i7-6700K+内蔵GPU
  • Godavari(Ext) :A10-7870K+GeForce GTX 780
  • Godavari(Int) :A10-7870K+内蔵GPU

とさせていただいた。またテストはBroadwell-Hのレビューと同一なので、テスト手順の紹介については割愛させていただいた。