こんにちは、鍼灸師の片山愛子です。今回は「今年こそ夏前にダイエットしたい! 」というお悩みに使用していただきたいツボをご紹介します。ダイエットには代謝アップが不可欠ですよね。腸を整えて、代謝を支配している腸の自律神経のバランスを正常化させることで代謝力を高めていきましょう。

また、便秘や肌荒れなどのトラブルの解消にも効果が期待できるため、これらの悩みを抱えている人も活用してみてください。

腸の持つさまざまな機能

腸は「第2の脳」と言われ、消化吸収の他に代謝や排せつ、免疫、そして自律神経を調整する働きを持つ複雑で大切な組織です。自律神経には、活動や興奮時に優位になる「交感神経」と、休息やリラックス時に優位になる「副交感神経」とがあります。2つの神経がバランスよく作用することで今回注目する「代謝」、そして「血液の循環」「呼吸体温の調整」などのさまざまな重要機能をコントロールしています。

代謝には、体の細胞の入れ替えを行う「新陳代謝」、体温の維持など生命を維持していくために消費されるエネルギーの「基礎代謝」、日常生活において体を動かすことで消費されるエネルギーの「活動代謝」、食事をする際のエネルギーの「食事誘導性熱代謝」があります。代謝に影響するものには自律神経の他に筋力低下や食べ過ぎ、加齢などがあります。

慌ただしい現代社会では、心身の疲労や生活習慣の乱れ、日々のストレスが発生しやすく、こういった要因が重なると自律神経が大きく乱れ「自律神経失調症」につながります。自律神経失調症は、「イライラ」「頭痛」「肩こり」「めまい」「耳鳴り」「倦怠感」のほかに「下痢や便秘を繰り返す」「不眠」「血液の流れが悪くることによる低体温」「消化不良」などを引き起こします。

こうしたさまざまな症状が腸の働きを鈍くさせ、結果的に代謝に大きく影響するのです。また、脳と腸は密接に影響しあうため、ストレスを抱えた状態が長く続くと、腸にも脳にもストレスがかかり正常に働きません。

整腸で代謝アップをさせたいときのツボ

だん中(だんちゅう)

胸痛、喘息、精神不安が気になるときに試してください。

■場所: 胸、おへそと鼻を結ぶ線上で、両乳頭の間。

だん中(だんちゅう)の場所

中かん(ちゅうかん)

消化器の機能低下、精神不安を改善したいときに試してみてください。

■場所: 腹、おへそと鼻を結ぶ線上で、バストのアンダーラインとおへその真ん中。

中かん(ちゅうかん)の場所

手三里(てさんり)

腸機能の低下、むくみ、下痢嘔吐、歯痛、眼痛などに効果があるとされています。

■場所: 肘、肘を曲げた時にできるしわの外端と、親指の付け根側の手首のしわを結んだ線上、肘のしわから指3本分下。

手三里(てさんり)の場所

足三里(あしさんり)

胃腸と免疫に関する万能養生のツボと考えられています。

■場所: すねの上部、膝のお皿のすぐ下にあるくぼみから指の幅4本分下で、すねの外側にある筋肉上。

足三里(あしさんり)の場所

代謝が上がっていると、「冷えない」「脂肪がつきにくい」「快便」「肌つやが良い」「心身ともに元気」といった特徴が認められます。反対に代謝が落ちているときの体には「冷えている」「疲れやすい」「倦怠感」「便秘」「肌荒れ」「脂肪をためやすい」などの症状が出てきてしまいます。

まずはご紹介したツボで腸内環境と自律神経を整えましょう。すべての代謝を活発にし、消費エネルギー量を増やして「痩せやすく太りにくい体」を目指します。さらに、生活習慣を見直して日内リズムを整えて体内をリセットしたり、運動をしたりすることでも腸内環境は改善されます。



記事監修: 片山愛子(かたやま あいこ)

鍼灸師。人間総合科学大学鍼灸医療専門学校東洋医療鍼灸学科(旧早稲田医療)卒業。同校臨床実習施設にて卒後研修修了。医学博士町田雅秀先生に師事。メディコ八千代院長。あおぞら鍼灸治療室勤務。メディコ新宿勤務。在学中より現在まで東京医科大学にて年数回の解剖実習、中国での中医学研修、薬膳研修修了。予防医学・介護予防運動・美容健康などについて研修。疾病治療と予防医学を東西医学の両面からアプローチした治療を実践。