国民生活センターは4日、モバイルデータ通信の契約に関する相談が急増しているとし、消費者に注意を呼びかけた。

モバイルデータ通信とは、屋内・屋外を問わず持ち運びができる無線LANルーターを使用し、無線電波でインターネットに接続するもの。光回線やADSLとは違い、回線工事の必要はない。通信速度も高速化されており、利用金額も光回線やADSL回線と大きな差がなくなっていきている一方、基地局の普及状況や障害物の有無等により、消費者が利用したい場所で通信できない場合もある。

同センターによると、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられたモバイルデータ通信に関する相談件数は年々増加しているという。2012年度(2013年3月15日現在)は4,152件に上り、これは前年同時期の2,737件の約1.5倍に相当する。

モバイルデータ通信に関する相談件数の推移(出典:国民生活センターWebサイト)

主な相談事例を見ると、不意打ち性の高い勧誘としては、電話で今契約している光回線の関連会社だと思い安くなると言われて契約したものや、訪問販売で有線の回線が使えなくなると虚偽の説明による勧誘、不適切な説明としては、スマートフォンにはデータ通信契約が必須であるかのような説明で勧誘されたケースがあった。また、パソコンの値引きなどを謳ったセット販売や、通信エリアに関する問題、広告の速度と実態が大きく違うといった通信速度の問題も寄せられている。

契約の問題点や課題については、電話勧誘や訪問販売であっても特定商取引法の適用がないこと、店舗契約であっても不意打ち的な勧誘がされていること、セット販売や割引で契約が複雑化していることが挙げられている。また、実際に利用するまで品質が確認できないほか、「ベストエフォート」型のサービスであり、必ずしも消費者の期待通りにならないことも課題だとしている。

同センターは事業者に対し、勧誘の際の十分な情報提供と分かりやすい説明を求めるとともに、虚偽説明などの不適切な勧誘や販売方法の是正を要望。また、事前に通信状況を試用できるようにするか、消費者が申告した利用場所で通信状態が悪い場合には、消費者の負担がなく解約できるルールの検討をすること、さらに通信可能エリア・通信速度表示の改善を求めている。

消費者へのアドバイスとして、「安易に事業者に返事をしないこと。必要がなければ、きっぱり断ること」、「サービスの特性やリスクを踏まえて契約すること」、「価格だけでなく自分の利用環境や目的に合わせて検討し、サービスの内容を十分に確認すること」を挙げ、トラブルになった場合は、最寄りの消費生活センターに相談するよう呼びかけている。