東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-759円96銭となりました。

今週の高値は7月7日(火)の2万428円、一方、安値は9日(木)の1万9115円20銭。高安の値幅は1312円80銭でした。日経平均株価は8日(水)の終値で2万円を下回り、週末まで2万円割れの水準で推移しました。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

7月6日(月)の東京株式市場は5日ぶりの反落となりました。ギリシャの国民投票で、財政緊縮反対派が賛成派を上回り、先行き不透明感から東京市場は朝方から全面安で始まりました。他のアジア市場も軒並み安の展開となるなか、日経平均株価は下げ幅を広げ、後場に入ると、一時、-527円となる場面もありました。株価が下落する一方、債券は買われ、10年物国債利回り(長期金利)は、前週末比0.020%低い0.460%程度で推移しました。TOPIX業種別株価指数は全33業種が下落。下落率上位は、保険、その他金融、銀行、ガラス・土石、倉庫、その他製品など。日経平均株価、TOPIXともに5日ぶりの反落となっています。

7日(火)の東京株式市場は反発しました。前日の欧米市場の下落幅が小幅にとどまったこともあり、東京市場は反発してスタートしました。ほぼ全面高の展開となり、日経平均株価は一日を通して、200円を超える上げ幅となり、高値圏で推移しました。結局、堅調な展開のまま、+264円で大引けを迎えています。

TOPIX業種別株価指数は、電気・ガス、水産、空運、医薬品、陸運、小売、紙・パルプなど29業種が上昇。一方、鉱業、ガラス・土石、証券、卸売の4業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

8日(水)の東京株式市場は大幅に反落しました。前日の米国市場が堅調に推移したものの、東京市場は朝方から売りが先行しました。ギリシャ懸念に加え、中国市場で上場企業の3分の1強が売買停止となり、外部環境の不透明感から下げ基調となりました。上海総合指数が-7%で始まると、東京市場も全面安の展開となり、後場には下げ幅を拡大し、日経平均株価は5月15日以来の1万9800円割れ、TOPIXは5月14日以来の1600ポイント割れと、今年最大の下げ幅となり、安値引けで取引を終えています。東証1部の値下がり銘柄数は記録の残る97年2月以降最多となりました。

TOPIX業種別株価指数は全33業種が下落。下落率上位は、その他金融、保険、鉄鋼、銀行、卸売、紙・パルプ、非鉄など。日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。

9日(木)の東京株式市場はまちまちの展開となりました。前日の米国市場では、NY証券取引所のシステムトラブルなども重なり、ダウ工業株30種平均株価は大幅に下落しました。ギリシャの不透明感、中国市場の急落、米国株の大幅下落が重なり、東京市場は朝方から全面安でスタートしました。日経平均株価は序盤に一時、-622円という場面もあり、しばらく重苦しい展開が続きました。その後、中国市場が始まると、上海総合株価指数が小幅安のスタートからプラスに転換し、それにつれて日経平均株価も急速に下げ幅を縮小しました。後場の中ごろには、日経平均株価はプラス圏へ浮上し、結局、高値引けとなっています。日経平均株価の高安の値幅は740円30銭と2013年5月24日以来、2年1カ月ぶりの大きさとなりました。東証1部の売買高は今年最大、売買代金もSQ算出日を除き今年最大となっています。

TOPIX業種別株価指数は保険、電気・ガス、証券、不動産、小売、卸売など14業種が上昇。一方、陸運、紙・パルプ、海運、ゴム、医薬、鉄鋼など18業種が下落。繊維は変わらず。

日経平均株価は反発、TOPIXは続落となっています。

10日(金)の東京株式市場は下落しました。前日の米国市場が上昇したこともあり、日経平均株価は朝方こそマイナスでスタートしたものの、その後、前場中ごろに中国市場が始まり、上海総合株価指数の上昇を確認すると、日経平均株価もプラスへと転じました。後場に入ると、日経平均株価は序盤に一時、+122円となる場面もありました。ただ、今後の中国市場の動向や12日のEU(欧州連合)首脳会議の結果を見極めたいとする向きも強く、後場の中ごろからはポジション調整の売りも膨らみました。終盤にかけても軟調な展開のまま、結局、日経平均株価は-75円で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数は食料品、銀行、鉱業、情報・通信、陸運、その他金融、医薬品、倉庫、不動産など19業種が上昇。一方、小売、電気・ガス、海運、ゴムなど14業種が下落。日経平均株価は反落、TOPIXは3日ぶりの反発となっています。

来週の予定です。7月12日(日)にはEU(欧州連合)首脳会議が開催されます。13日(月)には5月分の鉱工業生産指数の確報値が発表となります。14日(火)~15日(水)には日銀金融政策決定会合が開かれます。15日(水)は中国で4月~6月期のGDP(国内総生産)が発表されます。16日(木)にはイエレンFRB議長、ECBドラギ総裁が記者会見を開きます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。