東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+279円61銭となりました。

今週の高値は12日(金)の1万5984円90銭、一方、安値は8日(月)の1万5656円40銭。高安の値幅は328円50銭でした。TOPIXは週末に連日で年初来高値を更新しています。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

8日(月)の東京株式市場は3日ぶりに反発しました。前週末に発表された8月分の米雇用統計で、非農業部門雇用者数の増加幅が市場予想を大きく下回ったことから、米国でのQE(量的金融緩和)策が長引くとの見方が広がり、米国市場は上昇しました。その流れを受けた東京市場も朝方は買い先行で始まり、日経平均株価は一時、+61円まで上昇する場面もありました。米国市場で上場予定のアリババ集団の公開価格の仮条件が決まり、株式含み益が5兆円超になるとの観測から、関連するソフトバンクが大幅高となり、相場全体を押し上げました。ただ、その他には新規材料も見当たらず、前場中ごろ以降はこう着感が強まり、後場は伸び悩む展開のまま大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、その他金融、電力・ガス、建設、情報・通信、機械など26業種が上昇。一方、鉱業、空運、ゴム製品など7業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反発となっています。

9日(火)の東京株式市場は続伸しました。為替相場で1ドル=106円台までドル高・円安が進み、東京市場は朝方から先物や輸出関連株に買いが先行しました。ただ、決め手となる材料もなく、週末のメジャーSQ(株価指数先物9月物特別清算指数)算出を前に、様子見から上値も限られました。結局、日経平均株価の始値が高値となり、TOPIXもプラス圏とは言え安値引けで大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、情報・通信、保険、海運、輸送用機器など14業種が上昇。一方、不動産、鉱業、建設、銀行、食品など19業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています

10日(水)の東京株式市場は3日続伸しました。前日の米国市場が軟調に推移したことから東京市場も朝方は反落で始まりました。その後、為替がやや円安に振れると、主力の輸出関連株や大型株が上昇し、次第に底堅い展開となりました。後場に入ると、先物に大口の買いが入り始め、終盤にかけて堅調に推移し、日経平均株価、TOPIX、JPX日経インデックス400いずれもプラスで大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、電力・ガス、石油精製、ゴム製品、鉱業、銀行など26業種が上昇。一方、非鉄金属、その他金融、建設、銀行、食品など7業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに3日続伸となっています。

11日(木)の東京株式市場は4日続伸しました。前日の米国市場が上昇したことから、東京市場も朝方から買いが先行しました。為替相場でドル高が加速し、1ドル=107円台まで円安に振れると、主力の輸出関連株を中心に買いが広がり、大型株が相場全体を押し上げました。安倍首相と黒田日銀総裁の会談が5カ月ぶりに開かれ、黒田総裁が「物価目標の達成に困難をきたすような状況となれば、躊躇なく追加緩和などの調整を行う」と発言したことも、相場の下支え要因となりました。ただ、翌日にメジャーSQ算出を控え、終盤にかけては様子見ムードも広がり、日経平均株価は伸び悩んで大引けを迎えています。一方、TOPIXは終値ベースで年初来高値を更新しました。

TOPIX業種別指数では、情報通信、保険、電力・ガス、銀行、輸送用機器など22業種が上昇。一方、建設、空運、倉庫、小売りなど10業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに4日続伸となっています。

12日(金)の東京株式市場は5日続伸しました。前日の米国市場はまちまちの展開となったものの、為替が約6年ぶりの円安水準で推移したことから、東京市場は朝方こそマイナスで始まったものの、その後は輸出関連株を中心に買いが広がりました。

ただ、3連休前で様子見気分も漂うなか、上値を追う動きは見られず、後場中ごろに、日経平均株価は今一度、マイナスに転じる場面もありました。その後売りが一巡すると、下値も限定的なものとなり、結局、日経平均株価は+39円で大引けを迎えています。TOPIXは連日で年初来高値を更新しました。

TOPIX業種別指数では、輸送、医薬品、機械、電力・ガス、倉庫など13業種が上昇。一方、石油・石炭、建設、海運、鉱業、証券など20業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに5日続伸となっています。

来週の予定です。16日(火)には日銀の黒田総裁が大阪経済4団体共催の懇談会で講演し、その後、記者会見が行われます。17日(水)には米国でFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、金利(QE)政策の結果が発表となります。18日(木)には国内で8月分の貿易統計が、中国では8月分の中国主要70都市新築住宅価格動向が発表されます。

19日(金)には国内で8月分の全国百貨店売上高が発表となります。20日(土)は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が豪のケアンズで開催されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。