東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+444円86銭となりました。

今週の高値は6日(金)の1万5144円34銭、一方、安値は2日(月)の1万4777円51銭。高安の値幅は366円83銭でした。今週は今年に入って初めてTOPIXが10日続伸し、約5年ぶりの10連騰を記録しています。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

2日(月)の東京株式市場は大幅高。前週末の米国市場が上昇したことを受けて、東京市場も朝方から幅広い銘柄に買いが先行しました。為替相場で1ドル=102円まで円安が進むと、日経平均先物6月物が+330円まで上昇し、現物の日経平均株価も後場に一段高となりました。政府が今月中旬に発表する予定の成長戦略や、機関投資家の買いへの期待が高まるなか、1日に発表された5月分の中国PMI(中国製造業購買担当者景気指数)が50.8と4月(50.4)から改善したことも買い安心感を誘いました。TOPIX業種別指数では、全33業種が上昇。値上がり率上位は不動産、非鉄金属、精密、倉庫、機械など。

日経平均株価は反発、TOPIXは8日続伸となっています。

3日(火)の東京株式市場は続伸しました。前日の米国市場で、米長期金利(10年債利回り)が2.5%台を回復し、為替がドル高・円安に振れたことから、東京市場も朝方から主力株を中心に買いが先行しました。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の米沢運用委員長が、日本株の運用比率の引き上げについて積極的な意向を示したとの報道を受け、前場は思惑から先物や大型株に買いが広がりました。ただ、上値では上昇ピッチの速さから利益確定売りが出やすく、後場に入ると、こう着状態の相場展開が続きました。日経平均株価は、終盤にやや失速したものの、4月4日以来、約2ヵ月ぶりに1万5000円台を回復して大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、証券、銀行、情報・通信、電気機器、陸運など30業種が上昇。一方、鉱業、空運、保険の3業種が下落。

日経平均株価は続伸、TOPIXは9日続伸となっています。

4日(水)の東京株式市場は続伸しました。米長期金利が上昇し、為替がドル高・円安に推移したことを受け、朝方から輸出関連株などを中心に買いが広がりました。その後、日経平均株価は、前日に約2カ月ぶりに1万5000円を回復した達成感もあり、前引け前や後場には、利益確定売りから1万5000円を下回る場面もありました。ただ、売り一巡後は今一度1万5000円台を回復し、終盤には大型株の一角が上げ幅を広げ、日経平均株価はこの日の高値圏で大引けを迎えています。またTOPIXは、2009年7月から8月にかけて記録した13連騰以来、約5年ぶりとなる10日続伸を達成し、高値引けとなっています。TOPIX業種別指数では、保険、鉄鋼、その他金融、情報・通信など20業種が上昇。一方、不動産、非鉄金属、精密、小売など13業種が下落。日経平均株価は3日続伸、TOPIXは10日続伸。

5日(木)の東京株式市場は小幅まちまちの展開となりました。前日の米国市場でS&P500種株価指数が過去最高値を更新するなど、米国株が上昇した流れを受け、東京市場も序盤から買いが先行しました。ただ、日経平均株価が3月高値、TOPIXが4月高値近辺の水準になると、上値追いには慎重な姿勢も見られ、伸び悩む展開となりました。この日の夜に開催されるECB(欧州中央銀行)理事会で、追加の金融緩和決定が見込まれていることから、為替や長期金利の動向を見極めたいとして、後場に入ると、利益確定売りが広がりました。TOPIXの連騰記録は前日までの10日続伸で途切れています。TOPIX業種別指数では、空運、精密、鉄鋼、小売など14業種が上昇。一方、保険、その他金融、医薬品、不動産、証券など19業種が下落。日経平均株価は4日続伸、TOPIXは11日ぶりの反落となっています。

6日(金)の東京株式市場はまちまちの展開となりました。ECBによる追加の金融緩和が決定したことから、前日の米国市場ではダウ工業株30種平均株価とS&P500種株価指数が過去最高値を更新。その流れを受けた東京市場も朝方は買いが先行しました。ただ、この日の夜に発表される米国の雇用統計の結果を見極めたいとする向きも多く、前場中ごろから日経平均株価はマイナスに転じました。後場に入ってからも、利益確定売りに上値を抑えられる一方、下値では押し目買いも入りやすく、狭いレンジでの相場展開が続き、前日の終値近辺を推移するなか、結局、小幅安で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、海運、鉱業、鉄鋼、保険、機械など24業種が上昇。一方、情報・通信、小売、陸運など9業種が下落。

日経平均株価は5日ぶりの反落、TOPIXは反発となっています。

来週の予定です。9日(月)に国内で4月分の国際収支、5月分の景気ウォッチャー調査が発表されます。12日(木)には4月分の機械受注統計、4月~6月期の法人企業景気予測調査が発表となります。13日(金)には日銀金融政策決定会合の結果発表のほか、メジャーSQ(株価指数先物とオプション6月物の特別清算指数)が算出されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。