東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+367円74銭となりました。

今週の高値は3日(木)の1万5164円39銭、一方、安値は31日(月)の1万4718円01銭。高安の値幅は446円38銭でした。

TOPIXは前週初から3日(木)にかけて9連騰し、2011年2月以来の9日続伸となりました。では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

3月31日(月)の東京株式市場は続伸しました。前週末の米国市場が上昇したほか、為替相場も1ドル=103円手前まで円安が進み、東京市場も朝方から主力株を中心に買いが先行。投資家心理が改善するなか「ドレッシング買い」観測を背景に、堅調な展開となりました。後場に入ってからも買いの勢いは衰えず、終盤には一段高となり、結局、東証1部全体うちの7割の銘柄が上昇し、日経平均株価、TOPIXともにこの日の高値近辺で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、非鉄金属、不動産、海運など32業種が上昇。一方、精密の1業種のみが下落。日経平均株価は4日続伸、TOPIXは6日続伸となっています。

4月1日(火)の新年度一日目を迎えた東京株式市場は小幅まちまちの展開となりました。前日に米国のイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長によるハト派発言を受けて米国市場が上昇。その後、東京市場では取引開始前に日銀短観(企業短期経済観測調査)が発表され、企業の景況感を示す6月のDI(業況判断指数)が、軒並み市場予想を超える悪化となりました。この結果を受けて、今後の景気減速懸念が改めて意識されたものの、一方で追加の金融緩和への期待も高まったとして、東京市場は取引開始直後から買いが先行しました。しかし、3月末にかけて上昇した反動もあり、上値は抑えられ、日経平均株価は終始、前日の終値を挟んで一進一退の展開となりました。

TOPIX業種別指数では、水産・農林、建設、鉄鋼、電気機器など18業種が上昇。一方、電気・ガス、医薬品、精密、小売など15業種が下落。

日経平均株価は反落、TOPIXは7日続伸。

2日(水)の東京株式市場は上昇。前日に、ドイツの失業率や米国のISM(製造業景況感指数)が改善したことを背景に、米S&P500株価指数が過去最高値を更新したことから、その流れを引き継いだ東京市場も朝方から買いが先行しました。寄り付き前に日銀が発表した企業の一年後の物価見通しが平均で1.5%の上昇と、日銀が目標とする2%上昇を下回る結果となり、追加の金融緩和期待が高まったことも手掛かり材料となりました。後場に入ると、為替が円安に振れるのにつれて先物に買いが入り、日経平均株価は1万5000円台半ばまで上昇する場面もありました。その後は、終盤にかけて利益確定売りが出始め、やや伸び悩む形で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、不動産、その他金融、銀行、海運、機械など25業種が上昇。一方、水産・農林、電気・ガス、食品など8業種が下落。日経平均株価は反発、TOPIXは8日続伸となっています。

3日(木)の東京株式市場は続伸。米国で発表された3月のADP雇用レポートの内容が改善したことから、ダウ工業株30種平均株価やS&P500種株価指数が取引時間中の最高値を更新した流れを受けて、東京市場も買いが先行しました。為替相場が1ドル=104円台まで円安に振れると、輸出関連株を中心に主力株に買いが広がる展開となりました。昼休み時間中に先物が上昇すると、後場に入ってから日経平均株価も一段高し、午後1時頃には200円を超える上げ幅となる場面もありました。しかし、その後は上昇ペースの速さに対する警戒感などから、前日同様に終盤にかけては高値圏で上値が抑えられ、伸び悩む展開のなか大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、その他金融、精密、食品、海運、不動産など29業種が上昇。一方、鉄鋼、電気・ガスなど4業種が下落。

日経平均株価は続伸、TOPIXは2011年2月以来の9日続伸となっています。

4日(金)の東京株式市場は反落しました。日経平均株価が2日間で280円近く上昇したことから、朝方は利益確定売りが先行しました。ただ、安値が15000円を下回らなかったことが相場の下支えとなり、売り一巡後は、買戻しが入る展開となりました。後場に入ると、前日の終値を挟んで一進一退の動きとなり、日本時間の夜に発表される米国の雇用統計を控え、様子見ムードも漂いました。結局、売買のボリュームも膨らまないなか上値も抑えられ、小幅安で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では不動産、その他金融、海運、ゴムなど18業種が上昇。一方、情報・通信、精密、卸売、その他製品など15業種が下落。日経平均株価は3日ぶりの反落、TOPIXは10日ぶりの反落となっています。

来週の予定です。7日(月)~8日(火)に日銀の金融政策決定会合が開かれます。8日(火)には国内の3月上・中旬の貿易統計、2月分の国際収支が発表となります。10日(木)には、ファーストリテイリングやイオンなど小売の企業が2014年2月期決算を発表します。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。