東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-477円03銭となりました。今週一週間のうち、上昇したのは29日(水)のみ。この日は、映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のプロモーションとして、俳優のレオナルド・ディカプリオさんが東京証券取引所で記者会見を開きました。東証でのハリウッドスターによる会見は史上初です。

この映画は、貯金ゼロから年収49億円を稼ぎだした株式ブローカーの驚愕人生を描いた物語です。ディカプリオさんは、派手な成功とセンセーショナルな破滅をたどった実在する主人公、ジョーダン・ベルフォート氏を演じています。また主演に加え、プロデューサーとしても作品に関わったディカプリオさんは、「この映画の製作に7年間を費やした。まさに時代の産物と言える作品であり、警鐘を鳴らすストーリーでもある。コメディの部分もたくさんあるが、題材はとても深刻な真面目なもの」(ジャパン・プレミアにて)と、語っています。この映画への主演で、ディカプリオさんは米・ゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞。アカデミー賞でも主演男優賞にノミネートされており、初のオスカー受賞に期待がかかっています。

こうして、ハリウッドスターの登場を前に熱気を帯びた29日(水)は大幅高となり、一週間のうちの高値、1万5383円91銭をつけました。一方、安値は31日(金)の1万4764円57銭。高安の値幅は619円34銭となっています。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

27日(月)の東京株式市場は大幅に3日続落となりました。新興国の景気減速懸念から先週末の海外市場がほぼ軒並み安となった流れを引き継ぎ、東京株式市場も前場から売りが先行しました。日経平均株価は一時、1万4933円(-458円)まで下落し、その後は1万5000円台に持ち直したものの、28日(火)~29日(水)に開かれるFOMC(米連邦公開市場委員会)を前に様子見ムードの展開となりました。リスク回避の動きは市場全体に広まり、東証1部の98%を占める1744銘柄が値下りしています。TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下り率上位は保険、鉄鋼、その他金融、不動産、証券など。

日経平均株価、TOPIXともに3日続落となっています。

28日(火)の東京株式市場は小幅に4日続落。新興国の株安・通貨安が一服したことを受けて前場は、前日の大幅安からの自律反発的な買い戻しが入り、一時、日経平均株価の上げ幅が80円を超える場面もありました。しかし、主要企業の決算発表やFOMCを前に、景気先行きへの不安は払拭できず、その後は伸び悩み、大引けにかけて下げに転じています。TOPIX業種別指数では機械、小売、不動産など9業種が上昇。一方、情報・通信、電気・ガス、建設、電気機器、銀行など24業種が下落。 日経平均株価、TOPIXともに4日続落となっています。

29日(水)の東京株式市場は5日ぶりの大幅反発となりました。朝方にトルコ中央銀行が資本流出を防ぐ政策として、大幅な利上げを発表したため、新興国市場に対する過度な不安心理が和らぎました。

昼休み中に株価指数先物にまとまった買いが入ると、後場には現物にも押し目買いが広がり、大引けにかけて上げ幅が拡大。日経平均株価は高値引けの403円高と、昨年9月3日以来、約5カ月ぶりの上昇率を記録しました。

TOPIX業種別指数では全33業種が上昇。値上り率上位は、その他金融、紙・パルプ、倉庫、非鉄金属、証券など。日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

30日(木)の東京株式市場は大幅反落。前日には、冷静さを取り戻すかにみえたトルコ・リラなどの新興国通貨が再び売られ、新興国経済や通貨を巡る不安感が今一度再燃。前日の欧米株式相場は軒並み安となりました。その流れを受けた東京株式市場も、前日の楽観ムードが後退し、売りが先行しました。前日まで開かれていたFOMCで発表された、量的緩和策の縮小継続は、市場の想定内だったもののFRB(米連邦準備理事会)による声明文で新興国問題に言及しなかったことが、長期的な不透明感につながりました。日経平均先物が前場で一時、1万4840円(-540円)まで下落し、現物も下げ幅を拡大。しかし、後場に入ると、短期マネーによる先物主導の動きと見る向きから下げ渋る場面も目立ちました。結局、大引けの日経平均株価は大幅安となったものの、なんとか1万5000円台は維持して大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下り率上位には不動産、保険、証券、銀行など金利・市況敏感セクターが顔を揃えました。日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。

31日(金)の東京株式市場は続落しました。朝方は米国市場の株高を受けて主要銘柄を中心に買いが広がり、東証1部全体の約7割が上昇する展開となりました。ただ、新興国経済に対する不透明感は根強く、前場中ごろから上げ幅は縮小。後場に入り、為替がやや円高に振れると輸出関連株などが売りに押され、日経平均株価の下げ幅は、一時、200円を超える場面もありました。とは言え、好決算を発表した銘柄には買いも入り、終盤はやや下げ渋る形で大引けを迎えています。

週末と月末が重なった31日(金)が続落したことで、結局、4週連続の下落、1月の月間の下げ幅は1376円78銭と、2008年10月以来の大きさとなりました。

TOPIX業種別指数では、空運、食料、医薬など6業種が上昇。一方、海運、その他金融、証券、倉庫など27業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。

来週は、国内で主要企業の2013年4月~12月期の決算発表が目白押しです。なかでも注目は2月4日(火)のトヨタ自動車、6日(木)のソニー。また、アジア地域では春節を迎えており、中国市場は6日(木)まで休場となります。その他、6日(木)には、英中央銀行金融政策委員会の結果発表、ECB(欧州中央銀行)理事会の結果発表があります。7日(金)には米国で雇用統計が発表されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。