東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+467円31銭となりました。週初こそ大幅安の展開となったものの、その後は堅調に推移し、19日(木)に約2週間ぶりに年初来高値を更新、約6年ぶりに1万5800円台に乗せました。週末の20日(金)も小幅高となり、結局、今週末にかけて日経平均株価は4日続伸の展開となっています。今週一週間の高値は19日(木)の1万5891円82銭、安値は16日(月)の1万5146円13銭。高安の値幅は745円69銭でした。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

16日(月)の東京株式市場は大幅安。17日から18日にかけて開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)を前に、金融緩和縮小観測から買い見送りムードの強い展開となりました。朝方に発表された12月の日銀短観(企業短期経済観測調査)で、大企業製造業の業況判断が四半期連続で改善したものの、先行きについては企業マインドも慎重であったことから、警戒感が漂うなかで取引が始まりました。前場から小安く推移し、昼休みに先物にまとまった売りが出ると下げ幅を広げ、さらに円安が一服したことから輸出株を中心に幅広い銘柄に利益確定売りが出て、相場を押し下げました。TOPIX業種別指数では、全33業種が下落。値下がり率上位は、その他金融、輸送用機器、繊維、機械など。日経平均株価は反落、TOPIXは4日続落となっています。

17日(火)の東京株式市場は反発しました。前日の米国市場で株高となった流れを引き継ぎ、買いが先行する展開となりました。ただ、FOMCを前に、主力株の売買は低調となり、様子見ムードから、さらに上値を追う動きは限られました。東証1部の売買高は19億3159万株と、10月21日以来、約2カ月ぶりに20億株を割り込み、売買代金も1兆7990億円と11月20日以来、1カ月ぶりの低水準となっています。TOPIX業種別指数では紙・パルプ、保険、鉄鋼、小売、機械など30業種が上昇。一方、証券、空運、鉱業の3業種が下落。

日経平均株価は反発、TOPIXは5日ぶりの反発となっています。

18日(水)の東京株式市場は大幅続伸となりました。米国市場が小幅安となったことを受け、序盤はさえないスタートとなったものの、11月の貿易統計で輸出数量が前年同期比6.1%増と、約1年半ぶりの伸びとなったことなどから輸出関連株が買われ、先物にもまとまった買いが入り、上げ幅を広げる展開となりました。また、FOMCの結果発表を前に、米国の量的金融緩和の縮小開始は相場にすでに織り込まれたとの見方も広がり、日経平均株価は11日以来、1週間ぶりに心理的な節目の1万5500円台を回復しました。TOPIX業種別指数では、水産・農林を除く32業種が上昇。値上り率上位は不動産、非鉄金属、銀行、輸送用機器など。

日経平均株価、TOPIXともに大幅続伸となっています。

19日(木)の 東京株式市場は3日続伸しました。FOMCで債券購入規模を月850億ドルから750億ドルに縮小することが決定したものの、米国の緩和的な金融環境は当面続くとの見方が広がり、米国市場でダウ工業株30種平均株価が過去最高値を更新。これを受けて、早朝の為替相場で1ドル=104円37銭近辺と、5年2カ月ぶりの円安水準となったことから株式市場でも輸出関連株を中心に買いが先行しました。また、裁定取引に伴う値がさ株への買いも入り、日経平均株価は約2週間ぶりに年初来高値を更新しています。1万5800円台は2007年12月12日以来、6年ぶりの水準です。ただ、TOPIXの上昇率が1.01%と小幅な上昇にとどまり、TOPIXに対し日経平均株価が優位となるなか、NT倍率は一時、12.56倍と1999年以来の水準まで拡大しました。TOPIX業種別指数では、空運を除く32業種が上昇。値上り率上位は不動産、その他製品、保険、石油・石炭など。日経平均株価、TOPIXともに3日続伸となっています。

20日(金)の東京株式市場は小幅まちまちの展開となりました。前日までの3日間で大きく上昇した後とあって、前場は利益確定売りが優勢となり、日経平均株価は一時、100円を超える下げ幅となりました。ただ、為替が1ドル=104円台半ばの円安水準で推移していたことや、年末年始の株高への期待感から押し目買いも入り、その後は下げ渋る展開が続きました。その後も底堅く推移したことから、取引終了にかけて先物に断続的に買いが入り、それに伴い現物株も押し上げられ、日経平均株価は取引終了の約1分前に上昇に転じて、小幅ながら連日で年初来高値を更新しています。一方、TOPIXは反落し、NT倍率は12.57と1999年4月26日以来、14年8カ月ぶりの高水準となりました。TOPIX業種別指数では、その他金融、海運、不動産、建設など15業種が上昇。一方、食品、医薬品、情報・通信、銀行など18業種が下落。

日経平均株価は4日続伸、TOPIXは4日ぶりの反落となっています。

来週は、クリスマスを迎える週となり、海外では米国を始め、ドイツ、英国、香港、シンガポール、韓国など各国の市場がクリスマスで休場となります。

一方、国内では、24日(火)に2014年度の予算案が閣議で決定され、27日(金)には、11月分のCPI(消費者物価指数)や鉱工業生産指数の速報値など、11月分の経済統計が続々と発表されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。