東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+103円25銭となりました。前週末に発表された米国の雇用統計が好調な内容だったことを受けて、週初こそ大幅続伸となったものの、週半ばは軟調な展開が続きました。しかし、メジャーSQ(株価指数先物・オプション12月物の特別清算指数)算出日である週末金曜日には、SQ絡みの波乱要因も薄れ徐々に落ち着きを取り戻し、結局、日経平均株価は反発して大引けを迎えています。今週一週間の高値は9日(月)の1万5650円21銭、安値は13日(金)の1万5251円45銭。高安の値幅は398円76銭となりました。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

9日(月)の東京株式市場は大幅続伸となりました。前週末に発表された11月の米国の雇用統計で、非農業部門雇用者数が2カ月連続で20万人超の増加、失業率が7.0%に低下と好調な内容となったことから米国市場で株高が進み、それを受けて日経平均株価も前場序盤から大幅高の展開となりました。その後は、高い水準でこう着感が強まったものの、大引けにかけて先物主導で上げ幅を広げ、結局、9月3日以来ほぼ3カ月ぶりの上昇幅を記録し、高値引けとなりました。TOPIX業種別指数では、パルプ・紙、ゴム製品、情報・通信、精密機器など32業種が上昇。一方、電気の1業種のみが下落。日経平均株価、TOPIXともに大幅続伸となっています。

10日(火)の東京株式市場は小幅まちまちの展開となりました。日経平均株価は前日に+350円と、週末を挟んだ2日間で約470円上昇した後とあって、朝方から利益確定売りが先行しました。内閣府と財務省が発表した10~12月期の法人企業景気予測調査で、大企業全産業の景況判断指数がプラス8.3と、7~9月期から低下したことも重荷となり、上値追いには慎重なムードとなりました。また、米国のテーパリング観測が強まっていることや、銀行の自己資金による投機的な取引を規制するボルカールール最終版の採決を控えていることも、軟調な地合いにつながりました。ただ、為替相場が1ドル=103円台、1ユーロ=142円台と円安で推移するなか、売り一巡後の下値は限られました。

TOPIX業種別指数では、鉱業、不動産、精密、鉄鋼など17業種が上昇。一方、証券、輸送用機器、海運、機械など16業種が下落。日経平均株価は3日ぶりの反落、TOPIXは3日続伸となっています。

11日(水)の東京株式市場は下落しました。金融政策の先行き不透明感から米国市場で株安となったうえ、為替市場でも円安が一服し、主力株中心に売りが先行しました。後場は13日のメジャーSQ算出を前に、先物の思惑的な売買が交錯するなか、持ち高調整の売りも出て、日経平均株価は一時、200円を超える下げ幅となりました。しかし、その後は持ち直し、節目の1万5500円を上回るなか大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、情報・通信、建設の2業種が上昇。一方、紙・パルプ、精密、不動産、機械、輸送用機器など31業種が下落。日経平均株価は続落、TOPIXは4日ぶりの反落となっています。

12日(木)の東京株式市場は続落しました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が大幅続落したのを受けて売りが広がり、日経平均株価の下げ幅は一時250円を超え、4日ぶりに1万5300円台を割り込む場面もありました。その後は、為替が前日より若干円安で推移していたこともあり、やや持ち直して大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、不動産、情報・通信など4業種が上昇。一方、化学、精密、証券、輸送用機器、建設など29業種が下落。

日経平均株価は3日続落、TOPIXは続落となっています。

13日(金)の東京株式市場は反発しました。朝方は米国市場での株安の流れを受けて、日経平均株価は一時-90円ほど下落する場面が見られたものの、その後は売りも一巡し、SQに絡む波乱要因も薄れるなか、前場の終盤には反発へと転じました。後場に入ると為替相場で1ドル=103円台後半と5年2カ月ぶりの水準まで円安が進んだことから、主力の輸出関連株の一角が買われ、一時は上げ幅を広げる展開となりました。しかし、その後は利益確定売りも出て、一時大きく伸びた上げ幅は、結局、大引け時点では、前引けの水準まで縮小して取引を終えています。東証1部の売買代金は3兆7488億円と大台の3兆円を超え、5月24日以来、約6カ月半ぶりの高水準となりました。

TOPIX業種別指数では、ゴム、非鉄、食料、証券など12業種が上昇、一方、ガス、石油、情報・通信、倉庫、建設、卸売、その他金融など21業種が下落。

日経平均株価は4日ぶりの反発、TOPIXは3日続落となっています。

来週は、16日(月)に12月の日銀短観(日銀企業短期経済観測調査)が公表されます。また、19日、20日と日銀の金融政策決定会合が開かれます。一方、海外では18日(水)<日本時間19日午前4時>にFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が発表されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。