東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+1079円12銭と大きく上伸しました。米国株が最高値を更新するなか、為替相場も一週間を通して円安・ドル高基調で推移したことから、東京株式市場も上昇基調の展開となりました。11日(月)の大引けの日経平均株価は+183円、12日(火)は+318円、14日(木)は+309円、15日(金)は+289円と、週半ばの13日(水)以外の4日はいずれも大幅高となり、結局、今週末の日経平均株価は大台である1万5000円台を回復して、5月22日以来、約半年ぶりの高値水準で取引を終えています。一週間の高値は週末15日(金)の1万5293円04銭、安値は週初11日(月)の1万4208円13銭。高安の値幅は994円98銭でした。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

11日(月)の東京株式市場は為替相場に連動する展開となりました。注目された10月の米雇用統計が市場予想を上回り、前週末の米国市場で株高と円安が進んだ流れを受け、週初の日経平均株価は一時、前週末比+200円となる場面もありました。ただ、その後、円安が一服すると、株価も歩調を合わせて上値が重くなり、手控えムードのなか膠着状態で大引けを迎えています。売買代金は1兆7175億円と、活況の目安となる2兆円を4日連続で下回りました。

TOPIX業種別指数では、化学、情報・通信、保険、銀行、輸送用機器など22業種が上昇、一方、空運、海運、不動産など11業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反発となっています。

12日(火)の東京株式市場は大幅続伸となりました。祝日であった前日の米国市場が、薄商いのなか続伸したことに加え、為替相場も一時1ドル=99円台後半まで円安が進んだのを受けて、投資家心理が改善し、日経平均株価は堅調に推移しました。前場9時30分頃から株価指数先物への断続的な大口の買いも入り、これが現物株との裁定取引を誘う形で上げ幅を広げる展開となりました。

TOPIX業種別指数では、全33業種が上昇。その他金融、倉庫、保険、不動産などの値上がりが目立っていました。東証1部全体で8割強の銘柄が上昇し、結局、日経平均株価、TOPIXともに高値引けで大幅続伸。日経平均株価の+318円84銭は、9月9日以来、約2カ月ぶりの上昇率を記録しています。

13日(水)の東京株式市場は前日までの2日間で500円超上昇し過熱感が出始めていたことや、米国市場でダウ工業株30種平均株価が反落したのを受けて、利益確定売り先行の展開となりました。前場で一時、1万4990円(-97円)まで下落、ただ為替が99円台半ばで落ち着いていたこともあり、その後は底堅い動きが続きました。終盤は、バーナンキFRB議長の講演や、イエレン次期FRB議長が出席する米上院銀行委員会の公聴会を前に、売りも買いも手控えられ、やや下げ渋る動きを見せつつ大引けを迎えました。

TOPIX業種別指数では、ガラス・土石、その他金融、銀行、機械など18業種が上昇する一方、海運、建設、情報・通信、電気機器など15業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反落となっています。

14日(木)の東京株式市場は大幅反発の展開となりました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が最高値を更新したことや、イエレン次期FRB議長の公聴会の声明案がハト派的な内容であるとの見方が広がり、金融緩和継続期待から株価は押し上げられました。前場から日経平均先物や主力株に買いが広がるなか、昼休みに麻生副総理兼財務相が「為替介入という政策手段を有しておくことは必要だ」と国会答弁で述べたという報道が伝わると、為替は99円70銭台まで円安が進み、それと同時に先物が急伸。先物高に伴って、現物株にも買いが入り、日経平均株価は後場寄付きから一段高の動きを見せました。その後も全面高の展開が続き、日経平均株価は結局、5月22日以来の高値で終了、大幅反発となりました。

TOPIX業種別指数では鉱業を除く32業種が上昇。値上がり率上位には証券、不動産、倉庫、海運などが顔を出し、TOPIXも大幅反発となっています。

15日(金)の東京株式市場は大幅続伸となりました。イエレン次期FRB議長が公聴会で、早期の金融緩和縮小に慎重な姿勢を表明したことからダウ工業株30種平均株価が連日で最高値を更新。リスク資産への資金流入が当面継続するとの見方から為替市場で100円台まで円安が進むと、日経平均株価も前場寄付きから1万5000円台に乗せて始まり、その後も先物や値がさ株にまとまった買いが入り、断続的に上げ幅を拡大する展開となりました。後場に入ると上げ幅が300円を超える場面も見られ、終日、上昇基調の展開となるなか、結局、大引けの日経平均株価は5月22日以来、約半年ぶりに1万5000円台に乗せ、大幅続伸で週末の取引を終えています。

TOPIX業種別指数では、空運を除く32業種が上昇。値上がり率上位は証券、保険、倉庫、その他金融、海運、ゴム、不動産などが顔を出し、TOPIXも大幅続伸となりました。

来週は、国内の金融政策を決定する日銀金融政策決定会合が20日(水)・21日(木)に開かれます。また、消費動向を占う上で確認しておきたい全国百貨店売上高(10月分)が19日(火)に、全国コンビニエンスストア売上高が(10月分)が20日(水)に、全国スーパー売上高が(10月分)21日(木)に発表されます。その他、週初の18日(月)には、日EU首脳協議が開催されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。