シミと言えば、「女性にとっての天敵」と言ってしまっても差し支えないだろう。シミがなければ実年齢以上に周囲から若々しく見られるだろうし、逆にシミが一つでも顔にできようものならば、一気に「老い」を実感しかねない。加齢に伴いできてしまうのは仕方ないとしても、「一分一秒でもシミができるのを遅らせたい」というのが女性の本音ではないだろうか。
今回は美容皮膚科・美容外科・形成外科のやながわ厚子医師にシミができる仕組みやシミができやすい人の特徴などをうかがった。"天敵"の特性をきちんと理解して、予防や対策に役立ててほしい。
シミの原因となるメラニンとは
――まずはシミができる仕組みを教えてもらえますでしょうか。
シミはメラノサイトという皮膚の細胞が刺激を受けて活性化し、メラニンという色素の顆粒が過剰に生成されることが原因でできてしまいます。シミの種類にはいろいろあり、「加齢性色素班」「脂漏性角化症」「後天性真皮メラノサイトーシス」「肝斑」「そばかす」「炎症後色素沈着」などに分類されます。それぞれ、メラニンの過剰生成が関与していますが、メラニンのできる層や原因は異なります。
日焼けも一時的なメラニンの増加ですが、子供の頃は数カ月で元に戻ります。一時的に増えたメラニンを多く含む細胞がターンオーバー(皮膚の細胞の生まれ変わり)により、垢となって排出されてしまうためです。
年齢とともにメラニン量が元に戻らなくなり、シミができる理由の一つとして、ターンオーバーに時間がかかるようになっていることが挙げられます。もう一つは、紫外線などの外からの刺激が続くことで細胞がダメージを受け、メラノサイトがメラニンを過剰に生成してしまうため、同じところにずっとシミが居座り続けるのです。
――シミは紫外線が原因となってできることはよく知られていると思いますが、その他にも原因はあるのでしょうか。
「紫外線」「活性酸素」「炎症によるもの」「ホルモンバランスの乱れ」「皮膚の老化によるもの」「そばかす」「遺伝的に幼少期から出るもの」など多種多様ですが、代表的な「老人性色素班」が一般的なシミと言われるものになります。
老人性色素班は顔に多く発生するシミで、色も薄いものから濃いものまでいろいろあります。大きさも、徐々に大きくなるものから変わらないものまでさまざまですが、長年の紫外線の暴露により、徐々にシミが形成されて大きくなっていきます。
運転時の紫外線も蓄積されるとシミに
――原因も非常に多岐にわたっているのですね……。「シミができやすい人の特徴」みたいなものはあるのでしょうか。
老人性色素班などは、紫外線を多く浴びている方に多いと言われています。アウトドアスポーツが好きな方、屋外での仕事をされている方は該当しやすいです。また、車の運転時もガラス越しに紫外線を浴びているので、日常的に車を使用している人も注意が必要ですね。
また、肝斑や炎症後色素沈着などは「お化粧をする際に何度もパフで擦って付ける」「お肌が乾燥している」といった特徴がある方に特にできやすい傾向があるのかもしれません。それから、活性酸素を多く発生するような生活習慣を持っている方も要注意です。