オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」は、同社ミラーレス用レンズでは最も明るい開放値F1.2を実現した単焦点レンズ。薄暗いシーンでも速いシャッターが使えるほか、明るいレンズならではのボケ表現が見どころだ。その写りや使い勝手はどうなのか。実写レビューをお伝えしよう。
素早く泳ぎ回る魚もシャープに写せる
最近は各社とも手ブレ補正機能が進化し、以前に比べると、薄暗いシーンでも三脚なしで撮影することが容易になった。しかし、ブレには手ブレ以外に、被写体ブレがある。どんなに手ブレ補正機能が優秀でも、被写体ブレは防げない。被写体ブレを抑えるために最も効果的なのは、明るいレンズを使うことだ。明るい、つまり開放値が小さいレンズでは、暗所でも比較的速いシャッター速度が利用でき、被写体ブレを最小限に低減できる。
今回取り上げるオリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」は、そんな暗所撮影に有利なレンズのひとつ。開放値F1.2という明るさによって、高画質を維持したまま、ブレのない撮影が気軽に楽しめる。
上の写真は、オナガゴイの動きを捉えたもの。F1.2の絞り開放値によって、感度ISO1000ながらシャッター速度は1/250秒の高速となり、被写体ブレはほとんど目立たない。
また、こうした暗所での動体撮影では、シャッター速度に加えて、AF性能も重要になる。今回は「OM-D E-M1 Mark II」に装着して試用したが、本レンズとの組み合わせによるAFの速度と精度は満足できるレベル。光量が乏しいシーンでもてきぱきと合焦し、被写界深度がかなり浅いF1.2の開放値でも、正確なピントで撮影ができた。
レンズの外装は、高品位な金属素材となる。本レンズは光学性能と堅牢性にこだわった「PRO」レンズシリーズの1本であり、防塵防滴対応のしっかりとした鏡胴や、滑らかな感触のフォーカスリングはこれまでのPROレンズシリーズと共通したものだ。
マニュアルフォーカスクラッチ機構についても、多くのPROレンズシリーズから継承。フォーカスリングを手前にスライドすることで、AFからMFに素早く移行できる仕掛けだ。ミラーレスカメラでは希少な距離目盛りや被写界深度指標をフォーカスリングに備える点もありがたい。
レンズのサイズは、最大径が70mmで全長が87mm。フィルターサイズは62mm。マイクロフォーサーズの単焦点レンズとしては比較的大柄で、質量は410gと重め。PENシリーズなどの小さなボディではややフロントヘビーになるが、大きなグリップのあるOM-D E-M1 Mark IIとのバランスは良好だ。