オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」は、同社ミラーレス用レンズでは最も明るい開放値F1.2を実現した単焦点レンズ。薄暗いシーンでも速いシャッターが使えるほか、明るいレンズならではのボケ表現が見どころだ。その写りや使い勝手はどうなのか。実写レビューをお伝えしよう。

オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」。発売は2016年11月。同社オンラインショップでの販売価格は税込142,560円

オリンパス「OM-D E-M1 Mark II」に装着した状態

以下すべての作例撮影に使用したカメラは「OM-D E-M1 Mark II」。マニュアル露出 F1.2 1/250秒 ISO1600 WB:オート

素早く泳ぎ回る魚もシャープに写せる

最近は各社とも手ブレ補正機能が進化し、以前に比べると、薄暗いシーンでも三脚なしで撮影することが容易になった。しかし、ブレには手ブレ以外に、被写体ブレがある。どんなに手ブレ補正機能が優秀でも、被写体ブレは防げない。被写体ブレを抑えるために最も効果的なのは、明るいレンズを使うことだ。明るい、つまり開放値が小さいレンズでは、暗所でも比較的速いシャッター速度が利用でき、被写体ブレを最小限に低減できる。

今回取り上げるオリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」は、そんな暗所撮影に有利なレンズのひとつ。開放値F1.2という明るさによって、高画質を維持したまま、ブレのない撮影が気軽に楽しめる。

マニュアル露出 F1.2 1/250秒 ISO1000 WB:オート

上の写真は、オナガゴイの動きを捉えたもの。F1.2の絞り開放値によって、感度ISO1000ながらシャッター速度は1/250秒の高速となり、被写体ブレはほとんど目立たない。

また、こうした暗所での動体撮影では、シャッター速度に加えて、AF性能も重要になる。今回は「OM-D E-M1 Mark II」に装着して試用したが、本レンズとの組み合わせによるAFの速度と精度は満足できるレベル。光量が乏しいシーンでもてきぱきと合焦し、被写界深度がかなり浅いF1.2の開放値でも、正確なピントで撮影ができた。

レンズの外装は、高品位な金属素材となる。本レンズは光学性能と堅牢性にこだわった「PRO」レンズシリーズの1本であり、防塵防滴対応のしっかりとした鏡胴や、滑らかな感触のフォーカスリングはこれまでのPROレンズシリーズと共通したものだ。

マニュアルフォーカスクラッチ機構についても、多くのPROレンズシリーズから継承。フォーカスリングを手前にスライドすることで、AFからMFに素早く移行できる仕掛けだ。ミラーレスカメラでは希少な距離目盛りや被写界深度指標をフォーカスリングに備える点もありがたい。

レンズのサイズは、最大径が70mmで全長が87mm。フィルターサイズは62mm。マイクロフォーサーズの単焦点レンズとしては比較的大柄で、質量は410gと重め。PENシリーズなどの小さなボディではややフロントヘビーになるが、大きなグリップのあるOM-D E-M1 Mark IIとのバランスは良好だ。

オリンパスの高級レンズではおなじみのマニュアルフォーカスクラッチに対応。不要な場合は、ボディ側の機能で無効にもできる

鏡胴部もマウント部も金属製。防塵防滴の安心感もある

側面にはL-Fnボタンを装備。AF停止など任意の機能を割り当てることが可能だ