Sandra Platinum(グラフ1~19)

SiSoftware
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3月28日にSandra Platinumがリリースされた。なぜ「Sandra 2017」としなかったのかは謎である。いくつかのベンチマークが強化されているのだが、一方でProcessor Scientific Analysisを実行するとコケるという、これまたSandraにありがちなバグもあったりする。そんな訳でProcessor Scientific Analysisは今回省いている。

まずはDhrystone(グラフ1)とWhetStone(グラフ2)。これだけ見ていれば、RYZEN 5 1500XはCore i5-7500といい勝負だし、RYZEN 5 1600XはCore i5-7600Kをはるかに凌駕していることが分かる。意外にWhetstoneでRYZEN 5がCore i5を大きく引き離す、というシナリオは想定していなかった。

もっともこの傾向が通じない場合もあって、マンデルブロ図形の描画であるProcessor Multi-Media(グラフ3とグラフ4)でみると、6コアのRYZEN 5 1600Xはともかく4コアのRYZEN 5 1500Xはかなり苦戦している。ただ、Native(x86/x64)と.NET/Javaの場合では傾向が変わることもあるので、このあたりは一概に性能が高いとも低いとも言いにくい。

Encryption/Decryption(グラフ5)はRYZEN 5優勢、HashingはAVX-512の実行機構を内蔵している関係で、データアクセスが高速になるCore i5がSHA-512だけは圧倒しているが、256bit以下だとRYZEN 5が優位という、これも分かりやすい傾向だ。面白いのはRYZEN 5はSHA1/SHA256でほとんど成績が変わらないのだが、一方Core i5はきっちり性能が半減することで、インプリメントの差が垣間見られる。

Financial Analysis(グラフ7~9)も、おおむねRYZEN 5が優位として良いかと思う。ややRYZEN 5 1500Xは苦戦しているが、それでもCore i5-7500と互角以上の勝負にはなっている。

むしろImage Processing(グラフ10)におけるRYZEN 5 1500Xの落ち込みがちょっと気になるところだ。もちろんRYZEN 5 1500XはラフにいってRYZEN 5 1600Xの2/3の性能(動作周波数がほとんど同じで、コア数が4 vs 6だから)なので、これを念頭に入れて結果の数字を見ると、別におかしい訳ではないのだが。その意味では、Diffusion/Marblingを除くと、RYZEN 7 1600Xの性能があんまり伸びてないということが問題というべきかもしれない。

ここからはメモリアクセス性能ということで、まずはCache/Memory Bandwidth(グラフ11)だ。Core i5はSingle Threadということもあってかあまりピークが伸びない。逆にRYZEN 5は、RYZEN 7と同じく、L1の範囲では順当というか、AGUの数がCore i5の半分ということもあって比較的穏やかな結果である。

L2~L3の範囲が高止まりしているのはさすがである。もっともこのグラフだと、64MB以上のメモリアクセスの範囲が分からないので、Streamの結果、およびこのグラフ11の64MB~4GBの結果の平均を示したのがグラフ12である。

何と言うか、DDR4-2666にそろえたRYZEN 7の際の結果と見比べると、「メモリドーピング」と言いたくなる感じもあるが、実際に数字を比較するとDDR4-2933を突っ込んでもあんまり性能が改善していないのが見て取れる。今回はむしろCore i5で、しかもDDR-2400を使っているからRYZEN 5が凄く性能が上がっている「ように見える」だけだ。

ではLatencyは? というとグラフ13~18で示す通り、RYZEN 7の時と大きくは変わらない。Core i5と比較しても、おおむね同等というか、大きな差はないというべきだろう。

最後にPCI Express性能の比較ということで、Video Memory Bandwidth(グラフ19)の結果を見てみるが、珍しくSystem to Device(CPU→GPU)でちょっとRYZEN 5が良いスコアを出している。ただ逆(GPU→CPU)はほぼ同程度であり、また良いスコアといっても10%未満の差であり、大きな影響は無い、といったところか。