【レポート】

住宅購入時に考えたい保険とは?

預貯金を取り崩して頭金を工面し、住宅ローンを借り入れて、やっと住まいを手に入れた上に、保険料をいろいろ支払わなくてはならないのはさぞ大変でしょう。それでも、サラリーマンにとって大きな金額の負債を負う以上、手に入れた財産を守らなくてはなりません。万一財産を失っても、ローンを返済し、再び住まいを手に入れられるだけの補償は絶対に必要です。

火災保険

住宅ローンを借り入れれば、火災保険は返済期間を通じて強制加入です。ただし保険料を何年間まとめて支払うかは選択できます、長期間まとめて支払うほど1年間の保険料は安くなります。検討する主な事項は以下の通りです。住宅ローンを借り入れる場合と自己資金の場合では規定が違いますので、個別にお問い合わせください。

・何年間まとめて保険料を支払うか
・保険金額をいくらにするか
・保険金額を建物の時価とするか、新価特約または価格協定特約を付加するか
・補償型にするか積み立て型にするか
・住宅火災保険にするか、補償範囲の広い住宅総合保険にするか
・家財保険はどうするか
・地震保険は付加するか
・個人賠償責任保険は付加するか

※地震保険の詳細は、下記を参照ください。
いつ起きても不思議ではない大地震--知っていますか? 地震保険の仕組み

個人賠償責任保険

以前は、個人賠償責任保険単独で契約できましたが、現在は火災保険等の他の保険の特約となっていますので、火災保険と同時に申し込むのが便利です。マンションなどの場合、水漏れ事故を引き起こして階下の住戸に損害を与えることもあります。マンション管理組合で個人賠償責任保険に加入していなければ、自分で支払わなくてはなりません。また管理組合で加入している補償金額が少ないようであれば、別途加入する必要があります。最近、転車事故等の賠償金額が増大し、数億請求されるケースも考えられます。

地震保険

新耐震基準が設定された後の建物だからと言って安心はできません。阪神淡路大震災、東日本大震災では、多くの旧耐震基準の建物が倒壊または損傷しました。しかし、新耐震基準の建物が倒壊・損傷しなかったわけではありません。新耐震基準は、どのような地震が来ても、まったく倒壊しないという基準ではないのです。「最低限、安全に避難できて人命が守られる」基準でしかありません。震災とは常に想定外のことが起きます。耐震基準も新しい災害が起きるたびに改正されてきました。今後も想定外のさらなる地震が発生して、耐震基準が再び改正されないとは言い切れないのです。

明日にでも起きてもおかしくないと言われる地震に対して、大切な住まいという財産を守るには地震保険に加入することが大切です。保険金額は火災保険の最大50%ですので、十分ではないかもしれませんが、建物がなくなっても住宅ローンの負債はなくなりませんので、大いに助かるはずです。地震が発生し、それに伴って火災が発生した場合、火災保険は支払われません。地震保険に加入していなければ、地震による災害は補償されないのです。家財保険も同様です。

団体信用生命保険

住宅ローン返済中に債務者に万一の場合、債務者に代わって残債が支払われる制度です。フラット35は任意ですが、銀行ローンは、原則強制加入です。特約料は別立てで支払う場合と、その分金利は高くなりますが、毎月の返済=金利に組み込まれている場合もあります。

3大疾病特約…死亡・指定の高度障害に加え、3大疾病の場合にも保証されます。

デュエット…フラット35の場合は、債務者と連帯債務者である夫婦二人で加入できる保険制度があります。どちらか一方に万一の場合に、持ち分にかかわらず残りの住宅ローン全額が支払われます。特約料は1.56倍になりますが、連帯債務者の場合の万一のリスクをよく考えれば、検討すべき商品です。一般の銀行ローンを借り入れるときも連帯債務者には、万一の場合のリスクについては充分な検討と対策が必要です。

その他の生命保険とリスクの考え方

債務者が死亡・または所定の高度障害状態になった場合…債務者が死亡したり所定の高度障害になったりした場合は、加入している生命保険等の条件にもよりますが、通常下記のような手当て・収入が考えられます。「所定の」という条件は、それぞれの保険で異なりますので、注意が必要です。しかし、なによりもローンや家賃を支払わなくて済む自宅があるのは、大いに助かります。多額の一般生命保険をかけている場合は、額を見直してもよいかもしれません。サラリーマンであれば相当の補償となり、残された配偶者が働けば、さらに安定します。問題は、高度障害の規定に合致しないけがや病気で働けないケースです。

・住宅ローンの残債は団体信用生命保険に加入していれば、保険金で弁済される。
・サラリーマンであれば退職金が支給される。
・死亡した場合は、サラリーマンの配偶者には遺族厚生年金が支払われる。国民年金の加入者だった場合は18歳未満の子供がいる場合に遺族基礎年金が支払われる。
・所定の障害を負った場合は、障害厚生年金または障害基礎年金が支払われる。
・その他掛けていた生命保険の保険金が支払われる。
・配偶者の収入

債務者が重篤な病気になった場合…病気で働けないにも関わらず、上記の所定の高度障害に合致しない場合は、ローンの返済負担、生活費の負担ばかりでなく、医療費の負担もかさみ、かなり厳しい状況となります。所得補償保険に加入していればよいのですが、保険料はかなり高くなります。住宅ローンを返済し続ける手当てがない場合は、3大疾病特約を付加してもよいと思います。

ローンを返済しないと住まいは失います。ローンを返済できない要因があれば保険でカバーする必要があります。火災・震災・水害などでも住まいを失う可能性があります。住まいや全財産を失い、ローンだけが残ることのないように保険は過不足なく、丹念に検討して加入しましょう。

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

※画像は本文とは関係ありません

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