無理して笑おうとしていませんか?

こんにちは、トイアンナです。今はのんきなフリーランスですが、激務の職場にいたときは、朝9時から25時まで毎日働いていました。私は幸運にも体を壊しませんでしたが、何人も「うつ」になって退職される方を送別しました。

いつも見送る立場だった私は、徐々に「この人、そろそろ辞めるだろうな」と察知できるようになってしまいました。そこには、以下3つの共通点がありました。

「もう辞めるな」と予感させる人の共通点

・笑顔を作ろうとしないと維持できない

頑張って笑顔を作ろうとしないと維持できない。力を抜くと死んだ顔になってしまう。あくまで経験談ですが、メンタルが追い詰められているときの危険なサインとして見逃せません。

上司に書類をチェックしてもらって「ご指導ありがとうございます」と返すのがしんどい。メールで「ありがとうございます」とタイプすることにもストレスを感じてしまう。プラスの言葉を発するたびに力が吸われる気がする……。もし当てはまることがあれば、かなり心を消耗しているのかもしれません。私も精神的に追い詰められたとき、パソコンのエラー画面までつらく感じてしまったことがあります。

・寝ようとしても眠れない

眠ろうとしても目が冴えてしまい、貴重な睡眠時間を無駄にしてしまう。ベッドに入ってから2時間もゴロゴロしてしまい、脳裏から仕事内容が離れてくれない……。こんな経験はありませんか? 私も仕事がつらかったときに経験しましたし、会社の先輩からも伺ったことがあります。

ストレスがない状態ならオン・オフのスイッチを切り替えて帰宅後に自分の時間を持てますが、辞めてしまう人ほど、オフの時間にも仕事のことを考え続けてしまうくらい追い詰められていたように思います。

私も不眠症とは仲良しで、眠れないことが多々ありました。「ならいっそ仕事しちゃうか! 」と夜中にベッドから抜け出して業務を開始してしまうことも……。当時を振り返ると、体に無理を強いていたなと反省することしきりです。

・体調から異変が起きる

職場の方で外見に急な変化が起きたら、私の中では「そろそろ辞めてしまうかもしれない」という危険サインでした。職場で心身の都合で休職される方は、そうなる前から5kg以上太る・痩せるなど体形が激変するケースがちらほら。激務からくる不規則な生活も健康へ影響を及ぼしていそうですが、さらに精神的なストレスが加わると「やけ食いに走る」あるいは「食欲を無くす」のかなと考えています。

私の経験でも、相性の悪い上司と働いていたときに1カ月で5kg太ったことがあります。原因として思いつくのは、「酒でも飲まないとやってられない」と業務後に飲んでしまうこと。さらに"やけ食いモード"になってしまうのか、ついついジャンクフードを食べてしまう。激務で自由時間が限られていたからこそ、ショッピングやおしゃべりには時間が割けない。結果として食事でストレスを発散することが多くなりました。

「自分はメンタル強いから」と仰っていた方でも、体調を崩されることは多くありました。たとえば胃の調子が悪くなる、膀胱炎になる、円形脱毛症を起こすなどは実例を聞いたり、見たりしています。私個人も前者2つを経験して、特に胃炎はなかなか治らず苦しみました。

冒頭で「私は体を壊しませんでしたが」などと書いて、まるでタフなように振る舞ってしまったのですが、今思えば平気なフリをしていただけで体は悲鳴を上げていたんだなあと納得します。

激務から離れることは「逃げ」ではない

激務の企業ではよく、がむしゃらに働くことを「成長のため」と説明します。そして辞めていった人を「この仕事へついてこられなかった脱落者」として扱うかもしれません。でもそれは「成長のため」と言い訳をしなければ誰もついてこられないからです。

そして、激務の企業にとどまり続ける側も「勝ち組」として幸せでいられるかどうかはわかりません。ハードワークに耐えれば出世やお金やモテを得られるかもしれませんが、どれも命あっての物種。あなたの心と体を守ってくれるのは、あなただけです。

もしあなたの心や体が「どこかおかしい」と感じているなら、激務から離れることは逃げではありません。残った人は逃げだと言うかもしれませんが、そう言わせておけばいい。あなたの健康を守るために、危険信号を見逃さないでください。もし自分は危ないと思ったら病院へ早めに行くなどして、身を守る術を考えましょう。

※本コラムは個人の体験や取材に基づくものであり、医療的な効果などを示唆・保証するものではありません
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著者プロフィール: トイアンナ

外資系企業で約4年勤務。キャリアの一環としての消費者インタビューや、独自取材から500名以上のヒアリングを重ねる。アラサー男女の生き方を考えるブログ「トイアンナのぐだぐだ」は月間50万ページビューを記録。現在もWebを中心に複数媒体でコラムを連載中。