ボーナス時期は、家計を立て直し、貯まる家計に変身する絶好の機会(画像はイメージ)

夏のボーナス支給は一段落。今年の夏のボーナスは3年連続で増額という話もありましたが、みなさんはいかがでしたでしょうか。住宅ローンの返済に回した人、夏の旅行代金に充てる人、家電の買い替えをした人、様々でしょう。使うばかりではなく、堅実に貯蓄ができたでしょうか。ボーナス時期は、家計を立て直し、貯まる家計に変身する絶好の機会なのです。その秘訣をご紹介しましょう。

生活費口座と貯める口座は分ける

当たり前に思う人もいるかもしれませんが、貯まる家計にするためには、きちんと貯蓄用の口座を持ち、生活費用の口座と分けておくことがファーストステップとなります。勤務先によって異なりますが、毎月の給料やボーナスの振込口座を複数指定できればいいのですが、1つしか指定できない企業が多いでしょう。

毎月、残高を確認し、必要以上のお金を普通預金に残さないようにし、定期預金にする、他の金融機関の有利なマネー商品に移し替えるなど、お金の流れが管理できていればいいのですが、大抵の場合は、普通預金口座に残ったまま。これでは、確実にお金を貯めることはできません。

まずは1カ月にかかる生活費を改めて洗い出し、1カ月の生活費+予備費として1カ月分などと決めて、残ったお金は1日も早く、別の口座に移し替えるようにしましょう。

普通預金に必要以上に残っている=まだ先取りで貯められる

移し替える前に、もうひとつ確認するのは、先取りで貯蓄しているケースです。勤務先で財形貯蓄制度などを利用しているなら、給与天引きで貯蓄する額を増額する、ボーナス時も増額する。これだけで年間の貯蓄額は、ぐっと増えるはずです。財形貯蓄がない場合、給与振込口座から自動積立定期預金をしているなら、やはり積立額を増額することが先決です。給与から先取りで貯蓄することが、貯まる家計になる最大のコツ。

ただし、貯めグセがついていなかったり、お金の使い方に大きな変動があったりすると、給与振込口座での貯蓄は、意外とキケンなのです。

通常は、総合口座の扱いになっているため、普通預金口座の残高がゼロになっても、定期預金を担保に自動的に当座貸し越しでお金を引き出すことができてしまうのです。これは、借金と同じ。通帳の残高は赤字でマイナスになります。今やマイナス金利で普通預金金利は、0.001%。定期預金金利は0.01%。対して、当座貸し越しの金利は、担保となる定期預金の約定利率に年0.5%を上乗せした利率などとなっています。仮に10万円を1年定期預金に預けても、もらえる利息はわずか10円。しかし安易に10万円を自動貸し越しで引き出し、自動貸し越し分の補てんを怠ると、1年後には510円もの利息を支払うことになるのです。

これでは、貯まる家計にはなりません。こうした家計の場合は、無理な金額での先取り貯蓄はせずに、毎月の支出の安定、赤字の解消が先決となります。

あえて使いにくい銀行にもうひとつ口座を作る

取り崩すことに慣れてしまった場合は、あえて給与振込口座とは別の銀行に貯蓄口座を設けることもいいでしょう。お金の移し替えは手間かもしれませんが、その分、確実に貯められたという実感をもつことができます。その際、安易に引き出せない、地方銀行のネット支店や信用金庫などが候補になります。もちろん入出金は提携のATMで行うので、コンビニATMなどでも引き出すことはできます。

しかし、日頃利用している金融機関とは違い、地方銀行であることや、あまりなじみのない信用金庫であれば、引き出すときに心理的なハードルができるはずです。当然、キャッシュカードなどは持ち歩かない、という前提ではありますが。さらに、こうした金融機関は、一般の都市銀行よりも定期預金金利が高いところがありますから、より有利に貯めることもできるのです。

金融機関は使い勝手がいいところがベストとは限りません。貯められない家計から貯まる家計になるには、使いにくい金融機関に預けるということが、ひとつのポイントになるのです。


伊藤加奈子
マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。