【レポート】

これからのバニラエアを語ろう! 新社長・五島勝也氏×武藤康史氏対談

1 経常黒字化を推し進めた台湾線

 
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ANAホールディングスが100%出資するLCC(低コスト航空会社)のバニラエアは2015年度、就航3年目にして同社初となる経常黒字化の見通しとなった。新しいステージとなる2016年度より、石井知祥氏(現会長)から五島勝也氏へ、バニラエアのトップランナーが交代。副社長として支えてきた五島社長が描くこれからのバニラエアについて、航空会社創業経験もある航空ビジネスアドバイザーの武藤康史氏が本音を引き出した。

4月1日に社長へ就任した五島勝也氏の本音に、航空ビジネスアドバイザーの武藤康史氏が迫る

営業収入が220億円弱になるまで

武藤氏: 2013年12月20日に運航を開始して丸2年が経過、3年目に突入するというタイミングで経常黒字化が見えてきました。速報値ではありますが、具体的にはどのようなことが経常黒字化に結びついたとお考えですか?

五島勝也社長。昭和62年(1987)にANAに入社後、空港カウンター業務や国際線ネットワーク構築などの業務に携わり、ANAが加盟するスターアライアンス本部への出向等を経て、2013年8月より旧エアアジア・ジャパン(現バニラエア)に副社長として出向。2016年4月よりバニラエア代表取締役社長に就任

五島社長: 我々は設立時より「就航3年目で黒字化」を合言葉にしてきました。現在の飛行機の数は9機(2016年4月22日に9機目を受領)で限りがありますが、その9機をうまく飛ばす工夫をし、ギリギリの計画ではありましたが、油(燃料価格)の下落や夏場の旺盛なインバウンド需要が強く、結果、年間の経常黒字化が達成できそうな見通しとなりました。

2013年12月20日の事業開始当初は2機から始め、エアアジアから引き続く人も含め社員は300人いました。当たり前ですが、飛行機を飛ばさなければ収益はあげられません。早急に事業を構築していかなければ厳しいということで、ANAの中古機も加えて事業を拡大していきました。その後、中古機を全部新造機に入れ替えて、なんとか今は9機体制になりましたが、我々としてはもっと機材数を増やしていって固定費を薄めていきたいと思っています。機材を増やす計画ももちろんですが、いかに工夫してたくさん飛ばすかというのがLCCの鉄則ですから、高い稼働率をきちんと実現するオペレーションが大事です。

2016年2・3月は機材の問題があって、就航率と定時出発率が前年度(2014年度)よりも少し悪かったという反省点はあります。それでも国内線は定時出発率85%を維持し、就航率も99%近い数字を達成するなど、運航が安定してきたということで、お客さまからも随分支持していただき始めたのではないでしょうか。それでも改善の余地があるとは考えています。

武藤氏: 黒字化に関して、燃料価格下落のほかに大きく改善したなというのはどんなことでしたか? また、就航率と定時出発率の数値目標を達成したことで、どのようなことに影響が出ているのでしょうか?

五島社長: 我々も就航して2年目に運航乗務員不足の問題でご迷惑をおかけしましたが、おかげさまで今はきちんとした運航ときちんとした営業の成績を出せそうだということで、業界の中での人材応募も安定してきています。設立当初の社員300人から現在は600人以上となり、2016年度4月の新入社員はANAからの出向も含めると41人で過去最高の人数です。運航乗務員の確保は日本の航空会社が抱える問題のひとつですが、2016年度の新入社員のうち、運航乗務員の卵が18人います。そうした意味でも、数あるエアラインの中で信頼してうちを選んでくれていることにうれしさを覚えます。

もちろん、多くのお客さまにご利用いただけているということも実感できます。ロードファクター(航空機の総座席数に対して有償客が搭乗している割合)も通年で85%と非常に良かったですし。また、課題にしていた予約サイトの改善もできたことが功を奏したと考えています。全体を見てみると、2014年度に比べて単価が上がり、ロードファクターも上がったので、営業収入が当初の目的通り、220億円弱になりました。

台湾の先に広がる世界

武藤康史氏。航空ビジネスアドバイザー。大手エアラインから独立してスターフライヤーを創業。30年以上におよぶ航空会社経験をもとに国内外のアビエーション関係のビジネス創造を手がけ、航空ビジネスのコメンテーターとしても活躍している。スターフライヤー創業時のはなしは「航空会社のつくりかた」を参照

武藤氏: インバウンドが好調というお話がありました。台湾の方々にバニラエアが日本エアラインということで好評とうかがっています。

五島社長: 我々の成田=台北線における台湾の方々の利用割合は70%、多い時には80%になることもあります。台湾の方々は文化的に非常に親日ですし、日本のエアラインも喜んで使っていただけています。そうした需要に応えるべく、成田=台北線は2015年冬ダイヤより1日4便にしました。成田=台北線に関しては、提供座席数は我々としても成田=札幌線に次ぐNo.2になっています。

武藤氏: すでに2016年度が始まりましたが、それに続く2017年度以降も含めて、どのような事業展開を目指されていますか?

五島社長: 我々の強みを生かしていきたいと思っています。今話していた台北線はお客さまに好評ということですので、もう少し品ぞろえを増やし、4月27日には大阪=台北線が新規就航します。もう少し台湾線を拠点化と言いますか、台湾を軸にして路線を増やせないかと考えています

武藤氏: さらにビヨンドに行くということも?

五島社長: そうですね。我々はエアバスの320を使っていますから、フライトアワーが大体4,5時間しかないので、そう考えると東南アジアにリーチできてきますよね。そういった視点も計画しています。

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インデックス

目次
(1) 経常黒字化を推し進めた台湾線
(2) 台湾線から広がる東南アジア線で期待される新機材
(3) 国際線で勝てる魅力づくり、国内線で起きた変化
(4) 今、成田・羽田空港に期待すること
(5) 新社長として企業風土づくりで心がけていること
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