ケトジェニックダイエットを始める前に
講談社はこのほど、『ケトジェニックダイエット 糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる! 』(斎藤糧三著 / 1,404円・税込)を発売した。
前編では、同書をもとに、糖質制限に肉をプラスして痩(や)せる「ケトジェニックダイエット」の理論について紹介。今回の後編では、同ダイエットのやり方を解説するとともに、著者であるナグモクリニック東京・アンチエイジング外来医長の斎藤糧三医師のインタビューをお届けする。
同書では、始める前の注意点として、まず「筋肉量を減らさないこと」をあげ、体組成計を用いて、毎日決まった時間に同じ条件で記録することを勧めている。また、ケトジェニックダイエットは、健康な人向けのものであるため、糖尿病の人や腎臓・肝臓に問題がある人は、主治医と相談するようにとのこと。
やってもよい期間は、2週間を目安に最長でも1カ月以内。気になる症状があるときは、自己判断せずに医師や専門家の意見を仰ぐこと、1カ月以上継続したい場合は、血液検査を受けるなどして体調や健康状態をチェックしてから行うことを示している。
これだけは押さえたい4つのルール
ここからは、ケトジェニックダイエットのやり方をまとめていこう。
■ルール1. 糖質を制限する
摂(と)ってもよい糖質の量は、1食20g以下(1日あたり60g以下)。
同ダイエットが他の糖質制限と大きく違う点として、糖質量が100gあたり10g未満の食品・食材は「低糖質食品」とみなし、1食分の糖質量にカウントしなくてもよいとしている。
■ルール2. タンパク質をしっかりとる
1日に摂るべきタンパク質の量は、体重1kgあたり1.2~1.6g(多くても2.0gは超えないように)。
体重55kgの人なら、1日55kg×1.2~1.6g=66~88gが必要量。この体重の人が、肉だけでタンパク質を摂るとすれば、肉は正味量の約20%がタンパク質量のため、1日330~440g必要となる。
各食材のタンパク質量の目安は以下を参考にしてみよう。
肉類(100g) 約20g
魚類(100g) 約20g
卵(1個) 約6g
豆腐(1丁=300g) 約20g
大豆(100g) 約10g
なお、タンパク質を摂取できる食材は、牛・豚・鶏・羊などの肉類全般、魚介類全般、卵、大豆製品。中でも牧草を食べて育った「牧草牛(牧草飼育牛)」は、オメガ3脂肪酸などの栄養素を豊富に含んでいるため、おすすめとのこと。
■ルール3. 食物繊維・ミネラルをしっかりとる
1日に摂るべき食物繊維の総量(水溶性と不溶性の合計)は20g以上。
葉野菜は重量の3~5%が食物繊維のため、食物繊維の1日の摂取量を生の葉野菜に換算すると400~670g。両手山盛り以上の野菜をサラダにして食物繊維が約20g摂れるとしている。同書では、「肉・魚」と「野菜・きのこ」を同量ずつ食べることを推奨。野菜の中でもいも類・根菜類には糖質が高いものが多いので、注意が必要とのこと。
1日に摂るべきミネラルの量は、カリウム3.5g以上、カルシウム650mg以上、マグネシウム350mg以上。
ミネラルは、大豆、生わかめ、ほうれんそう、納豆、アボカド、アーモンドなどの食材から摂れる。
■ルール4. オメガ3脂肪酸を小さじ1杯以上/1日
1日のオメガ3脂肪酸の必要量は2g以上(1日小さじ1杯以上)。
体内で合成できない「必須脂肪酸」は、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の2つ。普段の食事でオメガ3脂肪酸は摂りにくいため、同ダイエットではあえて1日の量を定めている。
オメガ3脂肪酸は、以下のオイルから摂取できる。
サチャインチオイル
あまに油
えごま油
ヘンプシードオイル
青魚の油
これらのオイルは加熱調理には向かないので、サラダなどのドレッシングにするか、冷たいスープに混ぜるとよいとのこと。
なお同書には、OK食材・NG食材や、自炊派・外食派・コンビニ派にあわせた食材の選び方も書いてあるので参考にしてみよう。
続いて、働く男女が同ダイエットを行う際の注意点をお聞きするべく、斎藤医師にインタビューを試みた。