既報の通り、AMDは3月18日にデスクトップ向けAPUの新モデル「A10-7890K」を発売する。店頭予想価格は税別18,480円前後の見込み。発売に先駆けて非常に限られた時間ではあるが、「A10-7890K」を試用できたので、早速ベンチマークテストの結果を含めて紹介したい。

「A10-7890K」は、2016年1月のCESでAMDが公開し、3月2日に正式発表されたAPU。既存の"Godavari"世代の製品と同様に、製造は28nm、CPUにSteamrollerコア、グラフィックスにGCN(Graphics Core Next)ベースのRadeon R7 Graphicsを統合する。対応プラットフォームは対応ソケットはSocket FM2+。

A10-7890K。既存のKaveri/Godavari世代のAPUとほとんど外観は変わらない

既存のAMD AシリーズAPUの最上位モデル「A10-7870K」との違いとしてまずは動作クロックが挙げられる。倍率変更によるオーバークロックに対応している点は変わらないが、ベースを4.1GHzに、TurboCORE時を4.3GHzにとベース・TurboCOREともに4GHz以上に引き上げた。このほか、GPUクロックやL2キャッシュ、TDP、利用可能な機能などは同様で、「A10-7870K」のクロックアップ版という理解でいいだろう。

製品名 A10-7890K A10-7870K A10-7860K A8-7670K A8-7650K
CPUコア数 4基
CPUアーキテクチャ Steamroller
CPUクロック
Base/Boost
4.1/4.3GHz 3.9/4.1GHz 3.6/4.0GHz 3.6/3.9GHz 3.3/3.8GHz
L2キャッシュ 4MB
GPU Radeon R7 graphics
GPUコア数 8基 6基
GPUクロック 866MHz 757MHz 720MHz
TDP 95W 65W 95W

そして既存モデルとの最大の違いが、新開発の静音クーラー「AMD Wraith Cooler」がリテールクーラーとして付属する点だ。すでに「FX-8370」に付属されているが、既存のクーラーからフィンの面積を24%拡大するほか、フィンへの風量も34%増加し、冷却効果を高めた。また動作時のノイズを10分の1(51dBAから、同39dBA)と抑えた。

AMD Wraith Cooler

既存クーラーとの比較。銅製プレートやヒートパイプといった共通点もあるが、そもそも大きさが段違い。搭載するマザーボードによってはメモリとの干渉に注意する必要があるかもしれない

ファンを覆うシュラウドの部分にはLEDを内蔵し、動作時にはAMDのロゴが光る

機材とテスト環境の紹介

今回は「A10-7890K」に加え、「A10-7870K」とTDP65Wの「A10-7860K」の3種類のAPUを用いてテストを行った。マザーボードはチップセットにA88Xを搭載したGIGABYTE「G1.Sniper A88X」(Godavari対応BIOSにアップデート済み)を用いた。そのほかは以下の通り。なお、特にことわりがない場合を除いてCPUクーラーには前述の「AMD Wraith Cooler」を使用した。

■今回のテスト環境
APU A10-7890K A10-7870K A10-7860K
GPU Radeon R7 graphics(統合GPU)
ドライバ AMD Radeon Software Crimson Edition 16.2
M/B GIGABYTE G1.Sniper A88X(AMD A88X)
RAM AMD Radeon Memory G9 Gamer R938G2130U1K 4GB×2枚(DDR3-2133)
Storage Samsung SSD 840 250GB
Power ANTEC TruePower Quattro 1000W 80 PLUS
OS Windows 10 Pro 64bit

各製品のCPU-ZとGPU-Zの結果は以下の通り。

A10-7890K

A10-7870K

A10-7860K