日本では健康保険制度により、病気やケガをしたとき、ある程度は手厚く保障されます。それでも、大病や難病を患った場合の費用負担は大きなものとなります。がんや脳卒中、心疾患などのさまざまな疾病リスクに備えるには、健康保険だけではなく民間の医療保険加入も検討する必要が出てきます。

例えばがん治療時に先進医療(重粒子線治療や陽子線治療など)を利用した場合、250万円程度の治療費がかかりますが、健康保険の対象とならずに全額自己負担となります。個人で負担するには、かなりの高額となります。そこで今回は、このようなリスクに備えるため、がんへの保障に特化したがん保険の基本について学びましょう。

がん保険の特徴とは

がんは傷病として恐ろしい病気ですが、経済的負担という点でも警戒すべき病気です。保険適用のない医薬品を投与されたり、治療を受けたりすることは決して珍しいことではなく、3割負担が効かないときの経済的負担は計り知れません。先進医療の陽子線治療、重粒子線治療や免疫療法などが特に該当します。

そこで、活用したいのががんに特化した「がん保険」です。がん保険の特徴をみてみましょう。

■保障対象と保険料

がんによる入院・通院・手術などを対象とした保険であるため、一般の医療保険より保障範囲が狭く保険料が安く設定されています。

■責任開始までの待ち期間がある

一般的には告知のみの無診査なので、責任開始までの待ち期間(不担保期間)があるものも少なくありません。

■診断給付金

がんと診断されたときに支払われ、がん保険の基本とも言える保障の一つです。100万円ががん診断給付金の目安の一つとなるようです。最近では「上皮内新生物」(がんが上皮内にとどまっており、上皮・筋組織などが結合組織と接する所にある膜状の物である基底膜以降の組織に浸潤していない状態の早期がんのこと)でも診断給金が支払われる保険商品も増えています。

■入院給付金

治療のために入院した場合に、その日数に応じて受け取れるお金のことです。こちらも基本保障の一つとして備わっているケースが多く、給付日数や支払い回数に制限がないのが一般的。日額1万円程度が目安のようです。最近は、病院側の受け入れの問題や治療法の高度化により「入院治療」になることは少なく、「通院治療」となることが多いようです。

■通院給付金

退院後、治療のために通院した場合などで受け取れるお金のことです。一部の保険商品では残っているものの、給付日数に制限がないのが一般的となってきました。ただし、がん治療は「通院治療」が一般的になっているにも関わらず、まだまだ「がん入院給付金が支払われる入院をし、退院後180日以内」というような条件がついている保険商品が多いのが実情です。

■付帯サービス

医者のセカンドオピニオンが無料で行える付帯サービスがついている保険商品もあります。保険の本質が、自分では対応できない万一に備えるために入るものだとすると、このようなサービスは活用度が高いといえます。

がん保険と医療保険の比較

がん保険は、診断給付金などの基本保障に加え、手術や放射線治療などに関する給付金が受け取れる特約を追加できる種類が多いです。

知っておきたい女性ならではのがん保険特約

最近、女性の社会進出や食事の欧米化などのせいか、女性特有のがんにかかる人が急増しています。中でも、乳がんの患者の数は年々増加傾向にあるようです。

乳がんは手術後の治療期間も長く、保険適用外の治療もあります。また、乳がんで乳房を失うケースもあり、女性として大切な器官を失うことになるため、乳房再建術を選ぶ人も多いよう。乳房再建術にかかる費用は、一般的ながん保険では保障対象外であることが多く、女性向けのがん保険加入することにより、経済的リスクに備えることができます。

筆者プロフィール: 武田明日香(たけだ あすか)

エフピーウーマン所属、ファイナンシャルプランナー。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル! 」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「web R25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。お金の知識が身につく初心者向けマネーセミナー受付中(受講料無料)。