シャープは5月20日、4K(3,840×2,160ドット)表示対応の液晶テレビ「AQUOS(アクオス) UD20」シリーズ、および4K試験放送対応のHDDレコーダー「AQUOS 4Kレコーダー TU-UD1000」の報道関係者向け発表会を都内で開催した。
「AQUOS UD20」シリーズは4K表示パネルを搭載するほか、NTTぷらら「ひかりTV」で10月に開始予定の4Kビデオオンデマンド(VOD)配信サービスの再生に対応する液晶テレビ。70V型、60V型、52V型がラインナップされる。一方のAQUOS 4Kレコーダーは、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が6月2日に開始する4K試験放送の受信に対応するHDDレコーダー。発売はAQUOS UD20の52V型モデルのみ7月15日で、他は6月25日。いずれも価格はオープンとなっており、推定市場価格はAQUOS UD20の70V型が70万円前後、60V型が50万円前後、52V型が43万円前後、AQUOS 4Kレコーダーが12万円前後となっている(いずれも税別)。
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今年は4K元年になる
発表会で登壇した同社デジタル情報家電事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部長の戸祭正信氏はNexTV-Fの4K試験放送やひかりTVの4K VOD配信を引き合いに出して、「今年は4K元年になる」と強調した。NexTV-Fが開始する4K試験放送は、124/128度CSデジタル衛星を利用したもの。4K番組のみの放送プログラムで構成され、試験放送中は無料。受信には対応のHEVCデコーダーおよび「スカパー! プレミアムサービス」対応チューナーが必要となるが、AQUOS 4Kレコーダーではこれを搭載しており、対応アンテナと視聴申し込みを行えば4K試験放送を楽しめる(申し込みは無料)。また、「AQUOS UD20」シリーズは同チューナーこそ搭載していないものの、ひかりTVの4K VOD配信を利用可能なHEVCデコーダーを業界で初めて搭載。同製品だけでサービスを利用可能だ。
かねてより出力装置としてのテレビだけ4K化しても対応コンテンツがないことが指摘されていた4K対応テレビだが、これでハード、ソフト(コンテンツ)が揃ったことになる。戸祭氏はシャープの液晶テレビにおける6月からの構成比目標として、「AQUOS 4Kレコーダーとのセット提案を強化していくことで、50V型以上で4Kを20%以上にしていく」とコメント。対応コンテンツの登場が4Kテレビ市場を拡大させていくことに期待を寄せた。
特に今年は2006年12月に地上デジタル放送対応エリアが全都道府県に拡大されてから8年が経ち、「テレビの買い替えサイクルといわれる約8年にあたる」と戸祭氏は語る。戸祭氏は「2006年は液晶テレビが売れ始めるようになった時期であり、消費者が現在持っている商品(テレビ)と違った特性のものなら受け入れられやすいと見込んでいる」と、大画面、高画質の4Kテレビがフックになることを示唆。42V型から60V型への買い替えを例に出し、「画面サイズは2倍になり、ハイビジョン画質のままだと粗く感じる」と4Kの優位性を強調した。
発表会の最後に行われた質疑応答では、AQUOS 4Kレコーダーについて「消費者が欲しいのはまず(単独の)チューナーだと思うが、レコーダーという形式を採った理由は?」との質問があった。これに対して、デジタル情報家電事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部 副事業部長の松浦文俊氏は「試験放送の1日の放送時間が数時間であるため、タイムシフト視聴を行える点を重視した」とコメント。また、発売日が6月25日である点について、大きな商戦期となるサッカーのワールドカップ開始に間に合わないという質問もあり、松浦市は「試験放送が6月2日に開始されるため、実際に電波を受けて作り込みを行う期間が必要だった」と説明した。
【左】デジタル情報家電事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部 副事業部長の松浦文俊氏 【右】1TBのHDDを搭載する「AQUOS 4Kレコーダー TU-UD1000」は、4K試験放送を約53時間録画できる |