LOOX U誕生の流れを追った前編に続き、後編では細部の気になるポイントや、結実したコンセプトについて聞いていきたい。

取材した場所は富士通 本店・川崎工場。本社機能は東京・汐留に移っているが、富士通の歴史はこの地から始まっている

引き続き、4人のLOOX U開発陣に話を伺う。左から、ハードウェア担当の小林伸行氏、構造デザイン担当の飯島崇氏、プロジェクト課長の小中陽介氏、企画マーケティング担当の山岸大介氏

小型マシンの宿命ともいえるのが入力性の課題。筐体が小さいため、キーボードの配置を工夫しないと、せっかく高性能や多彩な機能を詰め込んでもそれが生かし切れずに、サビの部分でマイクを観客に向けたため一番盛り上がる部分のヴォーカルがうっすらとしか録音されていないライブ収録の音楽CD並にもどかしい思いをしてしまう。実際、LOOX U初代で一番不満点に挙げられることが多かったのはキーボードだという。

新モデルでは、68キーを75キーに増やしてピッチも1mm伸ばしている。さらに、キー配置も手作業を繰り返して決めていったそうだ。小林氏は語る。「エクセルで作ったキー配列をプリントして机上で打って、というのを納得するまで繰り返しました。特にLOOX Uは親指操作も考慮しないといけないので、たとえば、Fnキーが左側にあるから、輝度や音量調節は右に配置しようなど、そういう工夫も必要でしたね」

LOOX Uの構造標本。「Fn」キーを利用して、Fキーなどあまり使わないキーは役割を重複させている。また、旧モデルより横幅を33mm伸ばしたことで、文字キーのピッチを長めに確保するように工夫した