Santa Rosa & Montevina Platform

本稿ではUMPCを含むモバイル関連の詳細をレポートする。まずはMobility Groupの内容から説明してゆきたい。既にレポートにある様に、IntelはSanta Rosa Platformをリリースする。更にその後、Santa Rosa RefreshとしてCPUを現行のMelomコアからPenrynコアに変更した新プラットフォームを来年前半に出し、更にその後には全面的に刷新したMontevinaプラットフォームが用意される(Photo01)。

Photo01:Mobility Groupのロードマップ。Penrynコアの導入が2008年の恐らく初頭。Montevinaの導入も同じく2008年前半。どうせなら一緒にすればいいのに、と思うのは筆者だけでは無いはず。

さて、そのSanta Rosa Platformであるが、改めて内容をまとめると、

CPU : とりあえずは現在のMelomコアのCore2 Duoが搭載されるが、FSBが800MHzとなるほか、Enhanced Dynamic Acceleration Technologyが搭載される(Photo02,03)。要するに内部の倍率を1つだけ増やす、という仕組みだ。この場合、当然駆動中のコアの消費電力は定格以上に上がることになるが、2つのコアの消費電力の合計は定格以内に収まる、という仕組みだ。Single Threadのアプリケーションの実行中に、ちょっとだけ性能ブーストが掛かるという仕組みである。

Photo02:Enhanced Dynamic Acceleration Technologyの概念その1:両方のコアが稼動状態(C0~C2ステート)の場合、動作周波数は定格の上限までしか上がらない。

Photo03:Enhanced Dynamic Acceleration Technologyの概念その2:片方のコアが待機状態(C3ステート)の時のみ、稼動中のコアが1tickだけ周波数がアップする。1tick、というのはEISTにおける1ステップという意味で、例えば定格が2GHzなら2.2GHz、定格が2.2GHzなら2.4GHzという具合だ。現時点では667MHz FSBだから1.66GHz/ 1.83GHz/ 2GHz/ 2.16GHz...と1 tickが167MHzだが、800MHz FSBだとこれが200MHzになる。

チップセット : Mobile Intel GM/PM/GL965チップセットが提供される。これは要するに現在のIntel G965/P965のモバイル版である。GL965に相当するものは無いが、要するにG965から外部PCI Express x16レーンのサポートを省いたバージョンと考えれば判りやすいだろう。統合されるグラフィックだが、G965のX3000のマイナーアップデート版になる模様だ。動作周波数は「消費電力を下げるために、多少落とした」(関係者)そうだが、モバイル向けということを考えれば、これは大きな問題ではないだろう。変わったところでは、多少新規APIが追加された(Photo04)程度である。ちなみに一部のSanta Rosa製品にはHDMI I/Fが搭載されるが、これはまだIntel GM965に統合された形にはなっていないようだ(Photo05)。

Photo04:オンスクリーンで色調整を行えるAPI。Procamp APIと呼ばれるが詳細は不明。

Photo05:これはASUSTeKのSanta Rosaプラットフォームマシン。E-SATAの右にHDMIコネクタが見える。ちなみにこのマシンはTurbo Memoryの比較ベンチ用に用意されたもの。

ネットワーク : 従来の3965ABGに変わり、4965AGNが搭載される。名前の通りIEEE802.11nが搭載されるが、これは5GHz帯をサポートしたDraft 2.0ベースのものになったようだ(Photo06)。ただPhoto01を見ると、4965AGという製品もあるから、つまりMiMO対応有り/無しの2種類の製品が用意される形になるようだ。

Photo06:現時点ではまだ正式に802.11nは標準化されていないから、現時点の製品は全てDraftベースとなる。"Comp X Draft-N"というのは、恐らくDraft 1.0ベースの他社製品と
比較して、ということなのであろう。

Turbo Memory : Robson Technologyという名前で前回のIDFで公表されたIntel Turbo Memory Architectureだが、今回はもう少し細かい話が説明された。Intel Turbo MemoryはNAND Flash Memoryとそのコントローラから構成されるが、ソフトウェア的にはWindows VistaのReadyBoostとReadyDriveという形で見える事になる(Photo07)。面白いのはReadyBoostとReadyDriveの両方として見えることで、その比率(つまりFlash Memory全体の何割をReadyBoostにして残りをReadyDriveにするか)はOEMが変更できるようになっているとの事だ。両者の違いはいくつかあるが、ReadyBoostはRemoveできない(Hybrid Hard Driveに搭載されているから)ために、WriteBackの機能を実装しており、他方ReadyDriveは(USB Memoryを使うという機能の制約上)WriteBackの実装がされないということが大きなポイントの一つである。これを生かし、例えばPage Fileの格納(Photo08)やSuperFetch(Photo09)にはReadyBoostの領域を、Power Savingモードにおける一時退避(Photo10)やBoot時の読み込み高速化(Photo11)、アプリケーションのキャッシング(Photo12)などにはReadyDriveの領域をそれぞれ当てる、としている。

Photo07:構図としては、通常のHDDをHybrid Hard Driveに見せかける形と思えばよいだろう。Matrix Storage Managerこのあたりのハンドルを行い、OSにはT13/NVM(Hybrid Hard Drive)デバイスとして見える事になる。

Photo08:Page Fileへのスワップアウト先をHDDそのものではなくPage FileをキャッシュしたFlash Memoryにすることで、Swap In/Outを高速化する。Swap InはともかくSwap Outに関しては、Write Backが有効なReadyBoostだから意味がある。

Photo09:SuperFetch先もReadyBoost領域となる。

Photo10:OSのブートはどうせ毎回同じファイルを読み込むだけで、書き込みは非常に少ないから、ReadyDriveの効果は大きい。

Photo11:実はこの理屈がいまいち判らない。勿論省電力モードに入るときにメモリの内容を退避する必要があり、その際にFlash Memoryに退避すれば無駄にHDDが動かないで済む(特に復帰時の効用は大だ)のだが、であればWriteBackできないReadyDrive領域ではなく、WriteBack可能なReadyBoost領域を使ったほうが効果的な気もするのだが。

Photo12:これはPhoto10と同じく。ファイルの読み込み時にキャッシュすることで、複数回の読み出しを効率化する。

言うまでもなく、これはWindows Vistaの機能を使っての話なので、Windows XPユーザーにはその効果は無い。ただ逆に言えば、適切なドライバを使えばWindows XPでもWrite Back Cacheとして使うこともできるわけで、そうしたものを提供する予定は? と聞いたが現時点では皆無との事。今後のロードマップ(Photo13)の中にもそうした予定は入っていないそうで、ちょっと残念である。ところでセッションの資料の中には、もう少し詳細なスケジュール表もあった(Photo14)。実に判りやすいというか、とりあえずSanta Rosaは今月中に発表されるのは間違いない事は良くわかった。

Photo13:Turbo Memoryのロードマップ。2008年以降には更に大容量化などを目論んでいるようだ。

Photo14:NDAが解禁になり、Consumer Press Tourが始まるのが5月末とある。