「旨くて、安いラーメンが食べたい」。1杯1,000円を超える高級ラーメンも多いが、手軽で・旨くて・さらに安くラーメンが食べられるのなら最高だ。全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター・井手隊長が、旨くて安いアンダー700円のラーメンを紹介する。

今回は、東京・早稲田の「メルシー」だ。

  • 東京・早稲田の「メルシー」

    東京・早稲田の「メルシー」


東京・早稲田。

早稲田大学のほか多数の学校が集まり、都内屈指の学生街として知られる。この町には、懐に余裕のない学生に向けた「安い」「旨い」「多い」の三拍子がそろった「ワセメシ」と呼ばれる飲食店が多数存在する。

「ワセメシ」の一つとして大きな存在なのが町中華である。

早稲田の町中華はラーメン300〜400円台とリーズナブルで、安くてお腹いっぱいになれるお店が多く、長らく学生に愛される存在だった。しかしここ10数年で閉店してしまうお店が続出。今では殆ど残っていない。

「ほづみ」「稲穂」「昇龍軒」「西北亭」「早稲田軒」と老舗の町中華が次々と閉店になり、寂しい限りだ。大手チェーンが増え、早稲田らしさが少しずつ消えている街並みには当時の面影はない。

そんな中、孤軍奮闘的に頑張っているのが「メルシー」だ。

  • 早稲田生のソウルフード店「メルシー」。町中華勢の閉店が続くなか、孤軍奮闘的に頑張っている

1958年に創業し、一度移転しているものの、60年以上に渡り、早稲田の町に愛されるお店。まさに早稲田生のソウルフード的なお店で、週末にはOBやOGも数多く集まる。タモリや吉永小百合が通う店としても有名だ。

現在は2代目の小林一浩さんが営んでいる。先代が喫茶店をやっていた名残で、中華メニューのほか、ドライカレーやオムライスがあるのが特徴。

ラーメンは450円。30年で100円しか値上げしていないのは本当に凄い。

豚骨や鶏ガラをベースとしたスープに煮干しをビシッと効かせているのが特徴だ。醤油ダレも濃いめで、中太麺によく絡む。上にはコーンが乗り、黄色い彩りが綺麗である。

一般的な町中華のラーメンに比べてダシ感も醤油感も強く、食べ応えがしっかりある。この辺りは学生に合わせてだろうか。

ラーメン一杯でしっかり満足でき、印象深い味わいを残すのはさすがだ。まさに「ラーメンの旨い町中華」としてオススメしたいお店である。歴史を感じながらぜひ楽しんでもらいたい。