連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
双子の息子を持つ双子のママです。双子のため、子ども費(学費)は1度に必ず2倍かかります。しかし、今のところ子どものために計画的に貯めているお金はなく、無計画で過ごしてしまっているのが現状です。今後の教育費はどのくらいペースでいくらぐらいを目安に貯めればいいものなのでしょうか? また、今後のことを考えると、今ある貯蓄を住宅ローンの返済にまわしていいものかどうかも悩んでいます。

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • 現在住宅ローンとして、1,950万円の借入金があります。また変動金利ということで今後金利が上昇した場合、借入金利も上昇していきます。そうなりますと毎月の返済額も上がっていき、今でも大変な家計管理がますます大変になります。変動金利は、確かに低い金利が魅力ですが、毎月の返済額が一定ではないため金利上昇時には、家計の収支が赤字になる可能性があります。そこで、現在ある普通預金と定期預金を解約して返済にまわすことを考えてみてはいかがでしょうか。

  • お金を貯める秘訣は、あらかじめ毎月の貯金額を決めてそれをお給料から確実に貯金すること。そしてその残りを支出にまわすことです。また貯金は収入の20%を目安に考えるとよいでしょう。

(※詳細は以下をご覧ください)


双子のお子様がいらっしゃるため一度に多額の教育費負担がかかり、さらに大きくなるにしたがって増えていくので大変かと思います。特に高校入学、大学入学時には高額の費用が必要になってきますので、お子様が小さいうちに考えておくことは重要です。ただ、一度に2人分と考えるとため息がでますが、反対に教育費で悩む期間は普通の兄弟に比べると短くなると考えれば、心が軽くなるのではないでしょうか。

教育資金は1人1,000万円が目安

文部科学省が発表した保護者が支出した学費総額(大学以外は学校教育費、学校給食費、学校外活動費を含み、大学は入学金、授業料、施設設備費などを含む)は、下記のようになります。

教育資金については、各家庭の教育方針やお子様の考え方によって異なってきます。しかし、必要最低限として1人1,000万円は準備しておくべきでしょう。幼稚園から大学まですべて公立であれば約500万円で済みますが、反対に全て私立であれば約1,000万円かかります。ここは多めに見積もっておきましょう。

幸いにも全て公立の学校に進めば残りは老後資金にまわすことができますので安心です。藤本様の場合は、双子のお子様ですので、教育資金として2,000万円を目安として貯めるとよいでしょう。

金利上昇を考えて住宅ローンは早めに完済を

現在住宅ローンとして、1,950万円の借入金があります。また変動金利ということで今後金利が上昇した場合、借入金利も上昇していきます。そうなりますと毎月の返済額も上がっていき、今でも大変な家計管理がますます大変に。変動金利は、確かに低い金利が魅力ですが、毎月の返済額が一定ではないため金利上昇時には、家計の収支が赤字になる可能性があります。そこで、現在ある普通預金と定期預金を解約して返済にまわすことを考えてみてはいかがでしょうか。

藤本様の毎月の支出の住居費が住宅ローンと管理費を合わせて10万円ということですので、10万円から住宅ローンに支払われている額が仮に8万円とします。すると今後25年間の返済額は、下記のようになり、今返済をすれば単純に450万円おトクになります。

  • 8万円×12カ月×25年=2,400万円

また、この8万円は変動金利のため一定ではなく、今後返済額は増えていく可能性が大です。現在の普通預金や定期預金の金利は、ご存知のようにスズメの涙ほどしかありません。当然住宅ローンの金利をこの利息で補うことはできませんので、ここは早めに住宅ローンを完済するとよいでしょう。

ただ、ここで預金を住宅ローンの返済にまわしてしまいましたので、何かあった場合に不安かと思います。そこで証券などに投資をしている一部を、安全確実な商品に預け替えをすることをご提案させていただきます。証券はリスクがありますので、今ある価額は半分になってしまうかもしれませんし、いざという時にはすぐに現金化できません。そこで国が元本を保証している「個人向け国債10年変動金利」であれば、急な出費があってもすぐに解約することができ、定期預金とくらべても金利がよいので安心です。

計画的に教育資金を貯める

貯金に関して家計の収支を見る限り、無計画にお金を使って残りを貯金しているようですが、これではお金はなかなか貯まりません。今までは、30代にしては多額の貯金があったのでこのような使い方をしていたかもしれませんが、住宅ローンを完済しますのでこの貯金が少なくなり、これからは計画的な貯金が必要になってきます。

お金を貯める秘訣は、あらかじめ毎月の貯金額を決めてそれをお給料から確実に貯金すること。そしてその残りを支出にまわすことです。また貯金は収入の20%を目安に考えるとよいでしょう。そこで、藤本様の場合約40万円の収入の20%である8万円を月々の貯金の目安とします。さらに前述したように住宅ローンを完済しますので、その支出分も合わせると毎月15万円は十分貯金できる金額となります。

  • 15万円×12カ月=180万円

上記のように、毎年180万円を教育費として考えていけば2人で大学卒業(22歳)までには、180万円×16年=2,880万円となり、これに利息も考慮すれば教育資金プラス老後資金までも貯まります。

また、大きな家電製品の購入や旅行などは、イベントの一時的な支出として捉え、毎月の家計管理で考えるのではなく、ボーナスを当てて下さい。ボーナスは景気に左右されますので、ボーナスが悪ければ旅行をあきらめるとか、買い換える家電製品を小さくするとか工夫します。くれぐれもボーナスを毎月の赤字の穴埋めに使わないようにしましょう。

教育資金を捻出するため、家計は今までと一変して25万円でやりくりをしなければいけなくなりますが、少なければ少ないで何とか工夫できるものです。「やりくり上手母さん」を目指して下さい。

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士 菅田芳恵

大学卒業後、証券会社・銀行・生保・コンサルティング会社に勤務。49歳から2年間で7つの資格を取得し独立。様々な資格を活かして多面的に話をすることが得意。資産運用、家計管理、ライフプラン、キャリア形成、年金、心の健康についてアドバイス、執筆、セミナー講師として活躍中。