連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
子どもが年子で只今育ち盛りです。今年長男が高校受験で、塾代もかかります。できれば公立にいってほしいのですが、私立に行くとなると次に来年次男も高校受験を控えているので家計が厳しくなりそうです。これから高校、大学ともっともっと教育費がかかるかと思うのですが、下の子が大学卒業までの約10年間どのようにやりくりしていけばいいでしょうか?

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • 年子のお子様2人が高校、大学に進むこれからの10年間は、厳しい家計になることが予想されます。お子様が私立高校に進学する場合も見据えて、今のうちに家計を見直し、対策を立てて乗り切りましょう。

(※詳細は以下をご覧ください)


高校受験塾にかかるお金

育ちざかりの年子のお子様が2人いらっしゃるものの、現在は公立中学に通い教育費の負担は比較的少なく済んでいますね。ただ、高校受験の進学塾に通うことになると急に出費が増えます。

現在通っている英語塾を辞めて予定している月謝が2万5千円の進学塾に通う場合の費用ですが、9月から2月までの月謝合計15万円、他に入塾費、教材費、冬期講習、模試代など半年間で別途10万円ほど見込んでおきましょう。そうすると、長男の方の塾にかかるお金は、現在の英語塾代5か月分と進学塾代の合計で年間約29万円になります。文部科学省の「子どもの学習費調査」(平成24年度)によると、公立中学校3年生の学校外活動費は年間約36万5千円ですから、他の受験を控えた中学3年生を持つ家庭でもこの程度の塾代を負担していると考えられます。

公立高校と私立高校はどのくらいかかるお金が違うのか

これから進学する高校が公立か私立かによって、かかるお金はどの程度違うのでしょう。前出の「子どもの学習費調査」によると、授業料などの学校教育費と、塾などの学校外活動費を合わせて、公立高校は3年間で約116万円、私立高校は約290万円という結果が出ています。私立に進学すると教育費は公立の2.5倍もかかることになりますね。

また、大学に進学すると、国公立でも約250万円、私立大学でしたら学部にもよりますが450万円以上(どちらも4年間合計金額)の入学金、授業料等が必要になり、年子という滝澤様のご家庭には苦しい状況です。ただ、現在の貯蓄が1千万円ありますし、学資保険でも教育費の準備をされていますので、私立医歯薬学系など特別にお金のかかる大学でなければ、現在の貯蓄で賄えます。

高校は公立に進学してほしいという親の希望はあるものの、お子様がどうしても私立に行きたいと希望することも考えられます。もしお子様が2人とも私立高校に進学されたとすると、在学期間が重なる2年間の年間収支は最大20万円程度の赤字になる計算です。大学進学資金は貯蓄で補わなければ仕方無い部分もありますが、高校までは毎月の家計の中でやりくりしていけるよう、今から対策を立てておきましょう。

子供の成長とともに減らせる出費もある

家計データを拝見しますと、食べ盛り、育ち盛りのお子様が2人いらっしゃる割には、しっかりやりくりをされていると思います。毎月の食費や光熱費を減らすことも大切ですがお子様の年齢を考えると難しい部分もあるでしょう。安い食材をまとめ買いする、買い物の回数を減らすなどの工夫で食費を減らせないか検討してみましょう。通信費はお子様が成長して家族全員スマホとなると通信費が今後3万円以上に膨れ上がることも考えられます。最近は端末代と利用料を合わせても月3,000円以下で使える格安スマホも登場しています。プランの見直しも併せて検討し、これ以上通信費を増やさないようにしましょう。

また、保険料などの固定費を月払いにしているなら、年払いに変更することで支払う金額を減らすことができます。普通預金に計500万円も預けていらっしゃいますが、お子様名義のものなど、すぐに使わないお金は少しでも金利の良い定期預金に預け替えましょう。

お子様が成長すると支出が増えるばかりではありません。削減可能な支出もあります。例えば、お子様が受験期に入るとレジャー・旅行に出かける機会も減少すると考えられますので、その費用を自然に減らせるのではないでしょうか。それに伴い、これから車を買い替える場合は、燃費の良い小型車を選ぶことでガソリン代や車の税金、保険代等の維持費を減らすことも可能です。また、お子様が大学生になったら自分が使うスマホの通信費やお小遣いはアルバイトをして負担してもらう方法もあります。

年子で教育費の負担が一度に来るのは大変ですが、見方を変えれば、苦しい時期が短く済み、その後の老後資金を貯めやすいとも言えます。お子様の教育費に目途が付いたら住宅ローンの繰り上げ返済を行うことでその後の家計状況も改善されます。気を緩めずに頑張ってください。

(※画像は本文とは関係ありません)

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー 福島佳奈美

金融系SE(システムエンジニア)からファイナンシャルプランナーに転身。Webサイト中心にマネーコラム執筆を行うほか、教育費やライフプランニング、保険、家計見直しなどのセミナー講師、個人相談などの活動を行っている。