NHKの特集ドラマ『軍港の子~よこすかクリーニング1946~』(総合 8月10日22:00~23:13)の試写会が2日、東京・渋谷の同局で行われ、主演の小林優仁をはじめ、高橋來、村山輝星、原田琥之佑、田中麗奈、制作統括の桑野智宏氏が出席した。

小林優仁

本作は、戦後直後の横須賀を舞台に戦争孤児たちが自分たちの力だけで生き抜こうとする姿を描く特集ドラマ。主人公の小川今日一は、空襲で母親を亡くし、戦後の横須賀でクリーニング店を営む親戚の家に引き取られるが、親戚との暮らしになじめず家を飛び出し、他の孤児たちと一緒にクリーニングの技術で懸命に生き抜こうとする。

今日一を演じた小林は「主演と決まったときはすごいうれしかったです」と喜びを述べ、「すごいセットの中で、この環境でできて楽しかったし、うれしかったです。何でもないように扱われてきた戦争孤児たちの、みんなで生きていこうという思いが伝わったかなと思いました。『らんまん』『青天を衝け』と続いて、この経験を活かせたかなと思います。主演として素晴らしい作品の一つになりました」と胸を張った。

小林は、大河ドラマ『青天を衝け』(2021)で主人公・渋沢栄一の幼少期を演じ、現在放送中の連続テレビ小説『らんまん』でも主人公・槙野万太郎の子供時代を演じ、演技力にも注目が集まっている。

制作統括の桑野氏は、小林の演技について「たぶん彼は1回目と2回目の演技が変わるタイプ。こういうお芝居をするという全体はもちろん決めていますが、テイクのたびに演技が変わるタイプで、それはつまり、心を動かさないと演技ができないというか、心を動かして演技をしているなと思いました。凄みはそこに尽きるかなと思います」と魅力を説明。

本作では目に涙を浮かべる小林の演技に引き込まれる場面もあるが、桑野氏は「もちろん『泣いてください』ということは絶対言わないですし、そういう状況を僕らが用意して、彼らが感じて演技をそのまましている」と語った。

今日一の母・小川良枝を演じた田中は、小林について「アドリブを挟んでくる」と明かし、「自然にその場で感じたことをセリフとセリフの間に挟んできくるので、すごいな。そういったところの柔軟性というか、お芝居性に対しての気持ちのフットワークや積極性に驚きました」と称えた。

アメリカ兵の闇取引を手伝うことで日々の糧を得るたくましい少年・高木誠司役を演じた高橋は、小林の目に凄みを感じたようで「僕は今日一といるシーンが多かったんですけど、真っすぐ見てくる目がすごいなと。できる人しかできない目をしているので、そこは尊敬という言葉でしか表せませんでした」と語っていた。