JR東海は1日、鈴川絢子さんオリジナルヘッドマーク企画の開始に先立ち、鈴川さんを招いてマスコミ関係者向けイベントを開催した。鈴川さんがデザインを監修した特急「ひだ」のオリジナルヘッドマークをHC85系に取り付け、3月3日から運行開始する。

  • 鈴川絢子さん監修のオリジナルヘッドマークを取り付けたHC85系を公開

    鈴川絢子さん監修のオリジナルヘッドマークを取り付けたHC85系を公開。鈴川さんもイベントに出席した

高山本線経由の特急「ひだ」は、3月18日のダイヤ改正を機にすべての定期列車をキハ85系からHC85系に置き換える予定。世代交代のタイミングに合わせ、ダイヤ改正をまたぐ3月3~31日の期間限定で、HC85系1編成(D7編成)にオリジナルヘッドマークを取り付ける。特急「ひだ」のうち、名古屋~高山・飛騨古川間の列車で運行を予定している。

このオリジナルヘッドマークは、メタバース上で昨年12月に行われたVRイベント「バーチャルマーケット 2022 Winter」(主催 : HIKKY)にて、JR東海とジェイアール東海エージェンシーが「バーチャル名古屋駅」を共同出展した際、公開されたという。

鉄道好きで知られ、YouTuberとしても活躍する鈴川絢子さん(吉本興業所属タレント)のアイデアをベースに創作され、高山本線を走るキハ85系と沿線地域の風景、脈々と受け継がれる伝統文化や名産品を散りばめたポップなデザインに。「キハ85系が1989年のデビュー以来34年間担ってきた特急『ひだ』号としての役割や使命を、このヘッドマークに乗せて新型車両HC85系へ継承したい」との思いを込めたと説明する。

  • オリジナルヘッドマークを取り付けたHC85系と、長年にわたり特急「ひだ」で活躍したキハ85系が並ぶ。オリジナルヘッドマークは特急「ひだ」のヘッドマークに使用されたカラーなど踏襲し、「ひ」の文字の中にキハ85系のイラストも描かれた

企画開始に先立ち、3月1日に名古屋車両区で開催されたマスコミ関係者向けイベントで、オリジナルヘッドマークを取り付けたHC85系がお披露目され、長年にわたり特急「ひだ」で活躍したキハ85系と並んだ。イベントに出席した鈴川さんは、デザイン監修したオリジナルヘッドマークについて、「隣に並んでいる(キハ85系の)特急『ひだ』のヘッドマークからイメージやカラーを落とし込みつつ、『ひだ』という文字の中に高山本線沿線の魅力や鉄道要素をぎゅっと詰め込んだデザインになっています」とコメント。中でも注目は『ひ』の文字に描かれたキハ85系とのことで、「キハ85系からHC85系へ、特急『ひだ』としての魂を受け継いでほしい、一緒にここからもまた走って行ってほしいという意味を込めて、キハ85系もデザインの中に入れました」と語った。

間もなく特急「ひだ」の主力車両としての役目を終えるキハ85系の魅力も紹介し、「唸るエンジンの音と、眺望の良い大きな窓、乗り心地もとても快適で、素敵な旅に連れて行ってくれるというワクワク感を感じられる車両という印象が強いです」「キハ85系は自由度の高い連結ができる車両で、1両からどんどん両数が増えて長い車両で走ったり、途中で切り離したりするところにロマンを感じていました」と鈴川さん。オリジナルヘッドマークに描かれたキハ85系のイラストについても、「よく見ると、『自由度の高い連結』がなんとなくわかっていただけるんじゃないかなと思います。そこもこだわりのポイントになっています」と話していた。

  • 鈴川さんはオリジナルヘッドマークのデザインでこだわったところを紹介。HC85系とキハ85系の魅力も語った

今回のオリジナルヘッドマーク企画では、「バーチャル名古屋駅」のテーマでもあった「リアルとバーチャルの連動による新たな体験価値創造」に向けた試みのひとつとして、「LINE NFT」のエアドロップ機能を活用し、オリジナルヘッドマークと同デザインの「バーチャルヘッドマーク NFT」を無料配布する企画も行われる。

オリジナルヘッドマーク掲出車両(HC85系)の運行期間中、高山駅と下呂駅の改札内にNFT配布用のポスターが掲出され、ポスター内のQRコードを読み取ることにより、「バーチャルヘッドマーク NFT」の取得手続きに進めるという。取得したNFTをLINEの友だちへ送ることもできる。

マスコミ関係者向けイベントにて、鈴川さんも「バーチャルヘッドマーク NFT」を取得するまでの手続きを実演。iPadを使ってQRコードを読み込み、操作すると、30秒ほどでNFTを発行中と表示され、その後すぐにオリジナルヘッドマークと同デザインの「バーチャルヘッドマーク NFT」を取得できた。「私もNFTをダウンロードできました。うれしい~」「『同意する』などのチェックボックスをタップするだけなので、簡単でした」と鈴川さんは話し、高山駅・下呂駅に来たら期間限定の「バーチャルヘッドマーク NFT」をぜひ取得してほしいとPRした。

  • 「バーチャルヘッドマーク NFT」取得までの手続きを鈴川さんが実演。1分弱でオリジナルヘッドマークと同デザインの「バーチャルヘッドマーク NFT」が表示された

鈴川さん監修のオリジナルヘッドマークを掲出した列車の運転ダイヤに関して、土休日のみ、運転日前日の18時頃にジェイアール東海エージェンシーのLINEアカウント「メイエキ+」で案内するという。ただし、悪天候等のやむをえない事情により、運転日前日にダイヤを案内できない場合や、事前に知らせたダイヤで運転できない場合もある。

なお、イベント後の囲み取材にて、JR東海事業推進本部の諏訪重樹氏から、「HC85系は基本的にヘッドマークを取り付ける場所がなく、今回はステッカーを付ける形で対応しました」との説明もあった。HC85系へのヘッドマーク掲出に関して、今回は特別な企画として実施しており、今後の具体的な計画等はないとのことだった。