フジヤエービックが主催する「秋のヘッドフォン祭2021 ONLINE」が9月19日、YouTubeでライブ配信された。アユートの回では、同社の斎藤氏(S氏)がAstell&Kernハイレゾプレーヤー「A&ultima SP2000T」を持って登場。新情報を含めて同製品の特徴を語った。

  • A&ultima SP2000T

    A&ultima SP2000T

  • A&ultima SP2000T

    SP2000Tを持って登場したアユートの斎藤氏(営業S氏)

SP2000T(10月15日発売/32万9,980円)は、Astell&Kernのオーディオ技術の集大成である最上位機「SP2000」(2019年発売/実売429,980円前後)の理念を継承・発展させた製品という位置づけで、AK初のクアッドDAC構成や、真空管アンプモードを含む“トリプルアンプシステム”を導入。主な特徴は以下の通り。

  • 次世代アンプテクノロジー「トリプルアンプシステム」
  • 真空管アンプでの2.5mm/3.5mm/4.4mm出力対応
  • Astell&Kern初のクアッドDAC構成(ESS製「ES9068AS」×4基)
  • 主要回路を一体化したサウンドソリューション「TERATON ALPHA」
  • トラック間で一貫した再生音量レベルを維持するリプレイゲイン機能
  • 2.4/5GHzのデュアルバンドWi-Fi対応
  • ノイズを最小限に抑える内部機構設計
  • A&ultima SP2000T

    背面に直線状の多色発光LEDを装備

  • A&ultima SP2000T

    本体上面に2.5mm/3.5mm/4.4mmのヘッドホン出力を搭載

  • A&ultima SP2000T

    側面はこんな感じ

トリプルアンプシステムは、透明感のあるダイナミックなサウンドが特徴の「OP-AMP(オペアンプ)」、温かみがあって低域に深みもでるという「TUBE-AMP(真空管アンプ)」に加えて、両モードの利点を活かせる「HYBRID-AMP(ハイブリッドアンプ)」の3モードを用意。音楽の種類にあわせてモードを選べるようにしている。

このHYBRID-AMPモードでは、しゃっきりしたOP-AMPモードと、温かみのあるTUBE-AMPモードを混ぜ合わせたサウンドが5パターンから選べ、ユーザーの好みに合わせてサウンド特性を切り替えられるようになっている。S氏はトリプルアンプシステムの操作画面UIを見せつつ、「HYBRID-AMPモードが使えることがSP2000Tの最大の特徴」だと話した。

  • A&ultima SP2000T

    HYBRID-AMPモードの操作画面

S氏によると、SN感の良さはSP2000Tと既存プレーヤー「SE180」では同程度ということだが、“しゃっきりすっきりめ”のイヤホンなどをSP2000Tと組み合わせるとより深みのある音が楽しめる、とのこと。さらに上記モードを切り替えていくことで、さまざまなサウンドが1台で楽しめるのがSP2000Tの魅力、とアピールしていた。

  • A&ultima SP2000T

    本体上部から引き出せるサブメニューでAMPモードや、後述のリプレイゲイン機能などを操作できる

オーディオ・ビジュアル評論家の野村ケンジ氏は、SP2000Tのサウンドインプレッションとして、「SE180の(別売オプションユニットである)SEM2のサウンドに近く、AKらしいスタンダードなサウンド」と評価。Acoustuneのイヤホン「HS1300SS」に専用3Dカスタムフィットシェル「ST300」を装着した状態でSP2000Tを聞くと、「(SEM2を装着した)SE180とのサウンドは微差ではあるものの、Acoustuneイヤホンを組み合わせるのであれば(SP2000Tの)真空管サウンドのほうが良いと思った。イヤホンやヘッドホンによっても音は変わるが、SP2000Tの懐の深さを楽しんでもらえると思う」と語った。

  • SP2000TにAcoustuneイヤホン「HS1300SS」+「ST300」を組み合わせて試聴した野村ケンジ氏

SP2000Tには、音量の異なる音源を同一の音量レベルに調整する新機能「ReplayGain(リプレイゲイン)」も搭載。192kHz/24bitまでの音源であれば、同機能によってトラック間の音量を自動的に調整するもので、ダウンロード購入したハイレゾ音源で音圧レベルに差がある場合も、ノーマライズ機能のように楽曲間の音量を“ならす”ようにして再生。楽曲が変わるたびに細かい音量調整をする手間が省け、プレイリストをシームレスに楽しめるとする。

また、新情報として、SP2000TではOpen Appによる音楽ストリーミングアプリのインストールがプレーヤー単体で行えることも明らかになった。従来のAKプレーヤーではPCを使ったインストール作業が必要だったが、SP2000Tは本体の無線LANをインターネットに接続することで、単体でアプリを追加可能になる。AKが動作検証済みの各アプリを用意するため、アプリのバージョンによってプレーヤーで動作する/しないといった状況の確認の手間も省ける。

  • SP2000TではOpen Appによる音楽ストリーミングアプリのインストールがプレーヤー単体で行える

なお、リプレイゲインやOpenAppの単体インストールなどソフトウェア上で対応できる機能は、既発売モデルにも実装することを今後検討していくとのこと。

このほか、SE180の交換用DACモジュールについても言及があり、「新しい製品が近いうちに発表になる」(S氏)と予告。SEM2については、既に市場在庫限りとなっている模様だ。さらに、Acoustune(アコースチューン)が開発を進めている新フラッグシップイヤホン「HS2000MX」についても、10月に何らかの発表が行われる見通し。