米Intelは現地時間の1月11日からオンラインで始まったCES 2021にあわせ新製品発表会を行い、多数のプロセッサ新製品や新ファミリーをアナウンスした(Photo01)。

  • Intel、Core/Pentium/CeleronからXeonまで新製品を一挙公開 - CES 2021

    Photo01: この内容を30分で発表したため、細かいSKUなどの説明は一切なし。

Xeon Scalable

以前のロードマップでは2020年中に投入予定だったのが、「2020年中に検証を完了したい」に変わって、実質1Q遅れたIce Lakeベースの第3世代Xeon Scalableであるが、この第1四半期中に量産を本格立ち上げすることを明らかにした(Phtoo02)。ただ、まだ具体的な製品SKUなどは明らかにされていない。

  • Photo02: 厳密に言えばCooper LakeとIce Lakeがどちらも同じ時期に投入されることを前提に、Ice Lakeも第3世代Xeon Scalableを名乗っていたのだが、これだけ遅れるともう第4世代扱いでもいいような気もする。ただIce Lakeは1/2 Socket向けに留まるので、その意味では第3世代のLow Endで間違いではないのだが(Cooper Lakeは4/8 Socket向け)。

Gen 11 vPro/Evo vPro

次いでGen 11、つまりTigerLake世代のvProと、これをベースにしたvPro対応のIntel Evoが発表された(Photo03)。このGen 11のvPro/vPro Evoでは、ハードウェアベース新しいセキュリティ機能であるCET(Control-Flow Enforcement Technology)が搭載されており、ROP(Return Oriented Programming)/JOP(Jump Oriented Programming)などに起因する攻撃も防ぐことが可能となっている。実際にデモではROPを利用した侵入ツールを稼働させ、AMDでは侵入されてしまうのにvPro搭載マシンでは侵入が防止できることを示した(Photo04)。

  • Photo03: 性能の数字は、Core vPro i7-1185GをAMDのRyzen 7 Pro 4750Uと比較した結果だそうである。

  • Photo04: これ、嘘ではないのだが正確でもないというか。そもそもROPはSpectre/Meltdownに対するIntelプロセッサ向けの応急処置であるRetpolineの中で利用されていた技法で、その意味ではやっとRetpolineを使わなくても良くなったという話である。確かにAMDはまだROPの対応は施されていない(筈:Zen 3でこのあたりの詳細はまだ公開されていない)が、そもそもROPを利用できるような環境がどうかしているというべきか。

Pentium/Celeon向けJasper Lake

教育機関向けとされるPentium Silver及びCeleronのNシリーズ向けとして、新たにJasper Lakeベースの製品が6つ発表された(Photo05)。Jasper Lakeは昨年9月に発表されたElkhart LakeのPCHをPC向けにした派生型である。教育機関向けは主にChromebookのマーケットが主戦場であり、それもあってMediaTekのChromebookと比較して最大48%高速といったデモが行われた。

  • Photo05: Tremontコアということで、従来比で35%性能が向上したとしている。

  • Photo06: これはPentium Silver N6000とMediaTek Helios P60Tの比較で、Speedometer 2.0のスコアとの事。

Rocket Lake

次は、これも昨年からアナウンスがあったRocket Lakeの話。Core i5/i7/i9に向けて製品が投入される(Photo07)とし、簡単に特徴が示された(Photo08)程度だが、ゲームの動作テスト結果のPreviewが示された(Photo09)。

  • Photo07: 少なくとも出荷開始の時点では、Core i3のSKUは無いと明言されたことになる。

  • Photo08: 特徴そのものはもう既出の話であるが、ダイ写真が示されたのは初めてである。

  • Photo09: Metro Exodusの結果である。Configurationが不明(リンクにまだデータが無い)ので細かい環境は判らないが、1080pでDX12/High Qualityの結果だそうだ。

Tiger Lake-Hシリーズ

今回追加発表されたのが、Tiger Lake-HをベースとしたCore Hシリーズ(Photo09)である。特徴としてはTDP 35WでBoost時は5GHzまで動作周波数が上がるほか、CPUからPCIe Gen4 x20が出ることになる。ちなみに8コアは現時点ではまだリストアップされておらず、これは"Later this year"とされている(Photo10)。その代わり、"Special Edition 4-Core Mobile Processor"が投入されることになった(Photo11)。何が"Special Edition"なのかであるが、表1が現在ark.intel.comにラインナップされている3製品の詳細である。ここで唯一Core i7-11375Hのみ、Core i7にも関わらずTurbo Boost Max 5.0がサポートされており、恐らくこれが"Special"なのだろうと想像される。

■表1
Processor Number i7-11375H i7-11370H i5-11300H
コア数 4 4 4
スレッド数 8 8 8
L3容量(MB) 12 12 8
動作周波数(Max Turbo)(GHz) 5.0 4.8 4.4
動作周波数(Turbo Boost Max 3.0)(GHz) 5.0 N/A N/A
動作周波数(cTDP-up)(GHz) 3.3 3.3 3.1
cTDP-up(W) 35 35 35
動作周波数(cTDP-down)(GHz) 3.0 3.0 2.6
cTDP-down(W) 28 28 28
GPU EU数 96 96 80
GPU最大動作周波数(GHz) 1.35 1.35 1.30
Memory Types DDR4-3200/LPDDR4x-4267
メモリチャネル 2
  • Photo10: Core i9については後述の8コア投入時に出現するのかもしれない。

  • Photo11: 8コアTiger Lake。確かにちょっと横長になった気がする。

  • Photo12: このSpecial EditionはGaming Notebookの為にデザインされたとの事。

Alder Lake

最後に紹介されたのがAlder Lakeである(Photo13)。まだ性能などについては一切明らかにされていないが、Enhanced 10nm SuperFinプロセスを利用して製造されることが説明された(Photo14)。現状、Windowsが既に稼働している、ということだけが明らかにされている程度である。

  • Photo13: 右のマシンがDesktop版Alder Lakeだそうだ。

  • Photo14: 4つの特徴のうち下の3つは単なるプロセスの話が気がする。