シャープのコードレス掃除機「RACTIVE Air」シリーズは、軽い本体でもしっかり掃除できるバランスのよさが人気。現在のRACTIVE Airシリーズには、軽さを追求した「RACTIVE Air EC-AR5」、パワーも持たせた「RACTIVE Air POWER EC-SR5」、コスパのよい「RACTIVE Air EC-FR5」という3つのラインナップがあります。今回はRACTIVE Airの代名詞でもある「軽さ」に特化したEC-AR5をテストしました。

  • シャープ「RACTIVE Air EC-AR5・EC-AR5」

EC-AR5の最も大きな特徴は、なんといってもその軽さ。延長パイプとヘッドを含めた状態で1.2kgしかありません。軽いので床掃除が苦にならないだけではなく、階段掃除などの「掃除機を持ち上げる動作」が必要な掃除がとってもラク。もちろん、棚の上やエアコンの上といった高い場所の掃除でも、腕に負担がかかりにくいのは大きな魅力です。

  • 窓の桟の上などは意外とホコリが溜まるもの。こんな高い場所も少ない負担で掃除できます

もうひとつの特徴が、バッテリーを取り外して充電する方式。掃除中にバッテリーが切れても、充電済みの予備バッテリーと交換することで長時間の掃除が可能です。さらに、ハンドル内側には人感センサーを搭載。本体ハンドルから手を離すと運転を停止し、握れば運転を再開することでバッテリーを効率的に使用します。弱モードなら床用ヘッドでも約35分連続運転できるのは、本体の軽さを考えるとなかなかのもの。

  • バッテリーは本体から外して充電するので、掃除中に予備バッテリーを充電することができます。バッテリーは黄色い円の部分にセット

本体が2kg以下なら軽量といわれるコードレススティック掃除機において、2kgを大きく下回る1.2kgという軽さは驚きです。実際に持ってみると、一瞬「ガワ」だけの模型かと思うくらい。ただし、軽さを追求するためか集じん容積は0.13Lと小さめ。こまめなゴミ捨てが必要になります。

  • 本体サイズ(スティック時):幅210×奥行き150×高さ985mm
  • 本体重量:約1.2kg
  • 連続使用時間(バッテリー1個使用時):強約9分、自動約23分、弱約50分(すき間ノズル使用時)、弱約35分(床用ヘッド使用時)
  • 集じん容積:0.13L
  • 実勢価格(2020年12月下旬):40,000円前後(税込)
  • バッテリー×2個を同梱した「EC-AR5X」は50,000円前後(税込)

「自動/切」ボタンで電源オン。吸引力を手動で変更したい場合は「強モード」「弱モード」ボタンを押します。強モードボタンを長押しするとフルパワーモードで運転。フルパワーモードは約5秒の動作です。今回は強モードでテストしました。

掃除力は?

フローリング

仮想ゴミ:猫砂(直径約5mmサイズ)、重曹、人毛(40cm~45cm程度、1回につき20本)

フローリング吸引テスト(ヘッド往路後)

残念ながらヘッドを一度前に進めただけでは、細かな重曹ゴミ、大きな猫砂ゴミともにかなり残りました。特に大きなゴミは、軽量化のためにヘッドも軽くしているためか、ゴミに乗り上げてしまう傾向。フローリングの溝に落ちた重曹ゴミも多く残っています。

フローリング吸引テスト(壁ぎわ2秒吸引後)

壁ぎわのゴミは意外なほど取れました。よく見ると壁ぎわ2cmあたりまでうっすらと重曹ゴミが残り、さらにヘッドが乗り上げて取り切れなかった大きな猫砂ゴミも少し残っています。これらのゴミは2~3回ヘッドを往復させることで取り切ることができました。

フローリング吸引テスト(ヘッド往復後)

回転ブラシを内蔵した掃除機の多くは、ヘッドを引いたときにより多くのゴミを吸引します。EC-AR5もこのタイプです。ヘッドを前に進めただけでは大量に残ったゴミが、ヘッドを引くとほぼ集じんできました。フローリングの溝に入った重曹もほとんど取れていますが、一往復ではヘッド左側の溝にゴミが残ることがありました。

カーペット吸引テスト(ヘッド往復後)

仮想ゴミ:猫砂(直径約5mmサイズ)、重曹、人毛(40cm~45cm程度、1回につき20本)

猫砂など大きめのゴミがあると、ヘッドがゴミに乗り上げてうまく吸い込めません。残念ながらカーペット上の大きなゴミの掃除には向いていないと感じました。細かな重曹ゴミは思ったよりしっかり吸引してくれましたが、カーペットの奥にうっすらと重曹が残っているのと、左側2cmほどに吸い残しが見られます。


吸引テスト総評

軽いヘッドの弱点として、真っ直ぐ進めるつもりでも軌道がフラつきやすい、大きなゴミに乗り上げやすい(吸引力が落ちる)、という点が挙げられます。掃除力に関しては、フローリングのゴミ取りはヘッドを往復させることで満足できるレベル。「すごくパワフル」とはいえないのですが、メインの掃除機として使える掃除力はあります。この軽さでこの掃除力なら上々です。カーペットの掃除はヘッドを何度か往復させないとゴミを取り切れないため、メインの掃除機にするならば、フローリングエリアが多い家庭にオススメします。気になる点も多くありますが、とにかく本体が軽いので掃除が苦になりません。ていねいに掃除することで、ちょっとしたパワー不足はカバーできるでしょう。


掃除時短の重要ポイント、メンテナンスのしやすさ

ヘッドのメンテナンス

  • ,猫砂、重曹、40cm~45cm程度の人毛40本を吸引したあとのヘッド裏

残念ながらブラシには髪の毛が巻き付いています。回転ブラシは取り外してお手入れできますが、ブラシの端にギアホルダーやキャップホルダー、ワッシャーといった細かなパーツがあり、メンテナンス性は正直あまり高くありません。

ゴミ捨て方法

1)「カップ取りはずしボタン」を押しながらダストカップを本体から取り外す
2)「ゴミ捨て」ボタンを押しながらダストカップのフタを外し、ゴミを捨てる

EC-AR5はダストカップの容量が少ないので、ゴミ捨ての回数は多くなりがち。このため、ゴミを捨てるたびに本体からダストカップを外すのは少々面倒です。ダストカップを本体から取り外すときと、カップ上部のフィルターを外すときに、2回のロック解除が発生するのも、改良されたらうれしい部分です。

  • 1)「カップ取りはずしボタン」を押しながらダストカップを本体から取り外す

  • 2)「ゴミ捨て」ボタンを押しながらダストカップのフタを外し、ゴミを捨てる

  • ほとんどの髪ゴミはヘッドの回転ブラシに残りましたが、一部は金属メッシュの筒部分にも巻き付いていました

購入の決め手? 使い勝手

EC-AR5で使い勝手がよいところは、繰り返しますが本体の軽さ! 掃除機を出し入れするハードルが低く、ちょっと汚れた場所を見つけたらササッと掃除できます。「次の掃除でまとめて掃除しよう」と考えずに、気になったときに掃除できる気軽さは、この軽さがあってこそ。

便利に使えたのは、足で踏んでヘッドを簡単に着脱できる「スグトルブラシ」の存在。立ったままでヘッドをブラシに切り替えたり、床用ヘッドに戻したりできるので手軽です。

  • ヘッドのノズルは常に上を向いているので、床ヘッドに戻すのも立ったままでOK

充電台

先述したように、EC-AR5はバッテリー単体で充電する方式。掃除中に予備のバッテリーを充電しておけます。掃除機を立てて収納するためのスタンドが付属します(充電機能なし)。

  • 充電機能のない、掃除機を立てて収納するためのスタンド

付属品

付属品は左上から、バッテリー(EC-AR5Xはバッテリー×2個)、ツールホルダー、左下からハンディノズル、スグトルブラシ、すき間ノズル


家電ライター:倉本春
この記事のメインライター

とにかく軽い! 階段の掃除や棚の上など、掃除機を持ち上げる掃除にストレスを感じません。カーペットの掃除には少々もの足りなさを感じますが、軽くて扱いやすいので「気になったらすぐ掃除」ができる点が魅力。メイン掃除機としての掃除性能は十分にあり、軽さと扱いやすさからサブ掃除機としてもオススメです。バッテリーを取り外して充電する方式なので、予備バッテリーがあれば長い時間でも掃除できる心強さもポイント。バッテリーを着脱する手間や充電器の存在といったマイナス面もありますが、ここは人によって評価が分かれるところでしょう。


家電プロレビュアー:石井和美
 

本体が1.2kgと軽く、持ちやすいので特に女性の人気が高いモデルです。軽さだけでなく、重心バランスもよく考えられており、スイスイ掃除できます。階段、棚の上、エアコンなどのホコリ取りにも本体をヒョイッと持ち上げられるので、立体的に家中を掃除できそうです。シニア世帯にもおすすめできるクリーナーですね。ただ、掃除性能についてはいまひとつ。ヘッドが軽すぎて、方向転換すると浮いてしまいがちでした。まとめて掃除するというより、ゴミを見つけたときにサッと掃除する使い方がおすすめです。子ども部屋などの個室にも置きたくなるクリーナーです。


家電ライター:田中真紀子

今回取り上げた10製品の中で最軽量なだけあって、持った瞬間の軽さに驚きました。これなら持ち上げて高い場所を掃除するのもまったく苦にならないし、ご年配の方が掃除しながら1階と2階を移動したり、階段掃除も軽々できそう。気になったのはやはり軽いぶん、ヘッドが床でバタついたり、安定感がないところ。床をガッツリ掃除するより、家の床から高いところまでマルチに掃除できる点を評価したいです。