2本の湾曲した金属パーツの間に、バーベルのような形の本体ユニットが収まっているという、特徴的なデザインなのがエレクトロラックスの「Pure Q9」です。「いかにも掃除機っぽいデザインは生活感が出てイヤ」というユーザーにオススメ。見た目だけではなく、使いやすさにも多くの工夫があります。

  • エレクトロラックス「Pure Q9」(サテンホワイトのPQ92-3BWF)

Pure Q9の本体は約2.9kgと少々重め。そのぶん最大モードでも約14分というスタミナバッテリーを搭載しており、家の中をしっかり掃除できるという大きなメリットもあります。掃除中は軽い力で動かせるので、そこまで重さは気になりません。ただし、階段掃除や移動で本体を持ち上げて移動するときに重さを実感することはあります。

  • 本体サイズ(スティック時):幅256×奥行き155×高さ1,097mm
  • 本体重量:約2.9kg
  • 連続使用時間:低電力モード約53分、通常モード約25分、最大モード約14分
  • 集じん容積:0.3L
  • 実勢価格(2020年12月下旬):60,000円前後(税込)
  • 付属品が少ないマホガニーブロンズの「PQ92-3EMF」とインディゴブルーの「PQ92-3OBF」は45,000円前後(税込)

操作は手元にある電源ボタンと「モード切替ボタン」の2つだけ。運転モードは、通常モード、最大モード、低電力モードの3通り。テストは最大モードで行っています。

掃除力は?

フローリング

仮想ゴミ:猫砂(直径約5mmサイズ)、重曹、人毛(40cm~45cm程度、1回につき20本)

フローリング吸引テスト(ヘッド往路後)

ヘッドが1回、前方向に通過したフローリングの写真。パッと見てフローリングの溝に重曹が溜まっています。全体的にもうっすらと、フローリング表面に細かな重曹が残っていました。ただし、猫砂のような大きめのゴミはしっかりと吸引しています。

フローリング吸引テスト(壁ぎわ2秒吸引後)

壁ぎわはほとんどのゴミを吸引しているのですが、ブラシで細かなゴミを飛ばしてしまうのか、重曹が散らばるように残っている部分があります。一方、猫砂のような大きなゴミは問題なく掃除できています。

フローリング吸引テスト(ヘッド往復後)

一見するとフローリングはキレイになっていますが、床を触ると少しザラつきを感じる状態です。ヘッド通過後の掃除跡がクッキリしているのは特筆もの。今回のテストではヘッド両端の吸い込みが甘く、ヘッド両端と仮想ゴミ部分の境界がぼやけてしまった製品も複数ありましたが、Pure Q9はヘッド脇までしっかりと吸引しているのがわかります。

カーペット吸引テスト(ヘッド往復後)

仮想ゴミ:猫砂(直径約5mmサイズ)、重曹、人毛(40cm~45cm程度、1回につき20本)

ヘッドを一往復させたカーペット。ヘッドを前進させたとき、猫砂があちこちに飛び散り、カーペットの上では大きめのゴミにあまり強くないようです。細かなゴミ(重曹)も、表面は除去できていますが、毛足の奥にはうっすらと残っています。今回のテストではブラシが柔らかい標準のパワープロフロアノズルを使用しましたが、カーペットをしっかり掃除したい場合は、固い毛足の付属ヘッド(ブラシロールクリーンフロアノズル)を使うとよさそうです。


吸引テスト総評

カーペット掃除で猫砂の飛び散りが気になりましたが、それ以外は標準的な掃除力だと感じます。特徴的なのはヘッド範囲内にほとんど掃除ムラがないこと。コードレススティック掃除機は構造上、ヘッド右側の吸引が甘い製品も多いのですが、Pure Q9は端から端までしっかりと吸引しており、ムラが少ない点は好印象でした。


掃除時短の重要ポイント、メンテナンスのしやすさ

ヘッドのメンテナンス

  • 猫砂、重曹、40cm~45cm程度の人毛40本を吸引したあとのヘッド裏

写真でわかるように、ブラシに髪の毛が巻き付いていません。髪の長い家族がいる家庭では、かなりありがたいポイント。しかも、毛足が密集したブラシにもかかわらず、細かな粉ゴミなどでブラシが汚れていません。ヘッドのメンテナンスについては、ほぼ満点の結果となりました。

ゴミ捨て方法

1)ダストカップ取り外しボタンを押しつつ、ダストカップを手前に引き出す(本体ユニットはスティック部に装着した状態でもOK)
2)ダストカップ上部のフィルター部を外し、ゴミを捨てる

ゴミ捨てに関しては、本体から分離式のダストカップを外し、フィルターを外し、カップ内のゴミを捨てる……と、残念ながら手順は少々煩雑。また、ブラシに巻き付かなかった髪の毛が、フィルターの金属メッシュ部に絡まっていました。この髪の毛を取り外す必要があるのも面倒です。ゴミ捨てに関してはもう少しがんばってほしかったですが、フィルターやダストカップをすべて水洗いできる点は、掃除機をキレイに使いたいユーザーは注目したいところです。

  • 1)ダストカップ取り外しボタンを押しつつ、ダストカップを手前に引き出す(本体ユニットはスティック部に装着した状態でもOK)

  • 2)ダストカップ上部のフィルター部を外し、ゴミを捨てる

  • 髪の毛が巻き付いてしまいました

購入の決め手? 使い勝手

Pure Q9の大きな魅力は、ハンディユニットの使いやすさ。ハンディユニット部のハンドルを握って引っぱるだけで、ボタンやレバー操作なしでサッとハンディクリーナーとして取り出せます。また、今回レビューした10製品のなかでは、数少ない自立する製品。ハンディ部を取り外してもスティック部は自立したままなので、ハンディ部を戻せばすぐに床掃除を再開できます。

  • ひっぱるだけでハンディ掃除機に早変わり

  • ヘッド前部にはLEDライトを搭載。家具下の掃除などで力を発揮します

多くのコードレススティック掃除機は、延長パイプとヘッドを外した状態を「ハンディ掃除機」と呼びます。このため、ハンディといえど大きく重く、バランスが悪いこともあります。一方でPure Q9は、ハンディ部を抜き取る方式のため、ハンディ掃除機としても完成された形でとても使いやすく感じました。

充電台

  • 高さを抑えて目立たない充電台も魅力的

ほとんどのコードレススティック掃除機は、充電台へのセットと充電台からの取り出しに、掃除機本体を充電台に「引っかけ」ます。掃除機本体を少し持ち上げることになるのですが、Pure Q9は充電台と磁石でくっつく仕様。Pure Q9のハンドルを軽く引っぱるだけで、スルッと充電台から外れてそのまま掃除を始められます。

付属品

付属するノズルやブラシは、写真左上がUVベッドノズル、左下がブラシロールクリーンフロアノズル、中央がすき間ノズル(+ブラシノズル)、右上がブラシ収納袋、右下がソフトブラシノズル。布団掃除に使えるUVベッドノズルは、紫外線による除菌ができるスグレモノです。


家電ライター:倉本春
この記事のメインライター

ほかの掃除機とは一線を画すデザインが特徴的。コードレス掃除機は出しっぱなしという人も多いので、このデザインを気に入るかどうかが購入ポイントになるかもしれません。掃除性能は突出してはいませんが、必要十分は満たしています。個人的にとても気に入っているのが、ハンディ掃除機としての使いやすさです。サッと本体から取り出して、コンパクトなサイズで手軽に利用できます。


家電プロレビュアー:石井和美

他社製品と比較すると、デザインが独創的で目を引きます。便利だったのは、重心が下で自立すること。掃除中は、何かと掃除を中断して掃除機を置くこともありますが、そのまま立てておけるのでラクです。ハンディ部分を引き抜いて使える点も、細かい場所をすぐに掃除できてストレスがありません。ただ、そういった機構を採用しているため本体が重く、大きめです。重心が下なので床掃除は軽く感じて気になりませんが、持ち運びが少々大変でした。掃除性能については平均的で、フローリングがメインのご家庭に向いています。


家電ライター:田中真紀子

掃除機としての性能は及第点ですが、ブラシがフローリングに強い素材なので、フローリング中心の住まいにおすすめ。足元重心で自立する点やそのままハンディ部分だけ引き抜ける点など、ほかにはない使い勝手のよさもあります。最終的にはデザインが気に入るかどうかは大きなポイント。よくありがちな掃除機とは違うデザインで、モダンなインテリアにマッチしそうです。