新型コロナウイルス感染症の影響は世界経済に大きな影響を与え、2020年上半期は日本の自動車メーカーにとっても非常に厳しい結果をもたらした。比較的安価な軽自動車も例外ではなかったはずだ。

今回は全軽自協(一般社団法人 全国軽自動車協会連合会)のデータをもとに、2020年1月から6月までに日本国内で売れた軽自動車の新車売り上げトップ15を紹介。前代未聞のコロナ禍の中、人気が集中するスーパーハイトワゴンのカテゴリーで独り勝ち状態が続くホンダ「N-BOX」を脅かすライバルは現れたのだろうか? 早速みていこう。

2020年軽自動車人気車種、上半期トップ15

順位 ブランド通称名 ブランド名 販売台数
1 ホンダ N-BOX 90,612
2 スズキ スペーシア 62,399
3 ダイハツ タント 52,210
4 日産 ルークス 41,112
5 ダイハツ ムーヴ 40,398
6 スズキ ハスラー 38,670
7 ダイハツ ミラ 33,254
8 スズキ ワゴンR 32,134
9 日産 デイズ 31,357
10 ホンダ N-WGN 30,318
11 スズキ アルト 25,162
12 ダイハツ タフト 23,544
13 スズキ ジムニー 18,529
14 三菱 eK 13,483
15 トヨタ ピクシス 8,816

※通称名については同一車名のものを合算して集計(アルト、ミラ、ムーヴ、タント、eK、プレオ、N-BOX、デイズ、ピクシスなど)

例)デイズルークスはデイズとして、2020年3月発売のルークスについてはルークスとして集計

■1位:ホンダ「N-BOX」

国内販売台数は3年連続No,1(全軽自協・自販連資料調べ)と「軽自動車の王者」に君臨する「N-BOX」。ホンダという絶対的なブランド力もあるが、「センタータンクレイアウト」といったホンダのお家芸とも言えるアイデアを多数盛り込むことで、スーパーハイトワゴンならではの広大な室内空間や使い勝手を実現している。

省燃費性能はもちろん、衝突安全性能も最高ランクを獲得。さらに全タイプに先進の安全運転支援システム「Honda SENSING」を標準装備するなど、もはや軽自動車の域を超えた仕上がりとも言えるだろう。子育て世代にも好評で、2020年の「マザーズセレクション大賞」(一般社団法人日本マザーズ協会 主催運営)にも選出された。

  • ホンダ「N-BOX」

    ホンダ「N-BOX」

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■2位:スズキ「スペーシア」

軽自動車では負けられないスズキの「スペーシア」も、ホンダの「N-BOX」と同様、子育て家族をメインターゲットとしたスーパーハイトワゴン。

大容量の室内スペース、大開口の後部電動スライドドアや、乗り降りしやすい低床フロア、室内全体を適温に保つサーキュレーターなど、軽自動車にもかかわらず後部座席の快適性まで考えられている。事故防止や運転支援が充実した「スズキ セーフティ サポート」で安全性能にも抜かりはない。エンジンはマイルドハイブリッドで省燃費とパワーを両立。豪華装備の「スペーシア カスタム」や、SUVテイストの「スペーシア ギア」もラインナップに加え、王者「N-BOX」を猛追する。

スズキ「国際福祉健康産業展」に「スペーシア 車いす移動車」などを出展
スズキ「人とくるまのテクノロジー展2018」に「スペーシア」などを出展

■3位:ダイハツ「タント」

スズキ同様、長年にわたって軽自動車を主業としてきた意地があるダイハツ。人気のスーパーハイトワゴンのパイオニアでもある「タント」も、ダイハツが掲げた新世代の設計思想「DNGA」に基づき、プラットフォームからCVT、エンジンに至るまで刷新することでドライビングクオリティを大きく向上させている。

他社モデル同様、デザイン、快適性、経済性、そしてダイハツ独自の予防安全機能「スマートアシスト」も用意。曲線的で優しいデザインの無印「タント」以外にも、シャープでスポーティなエクステリアを与えられた「タントカスタム」がある。

  • ダイハツ「タント」

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■4位:日産「ルークス」

「ルークス」は日産がリリースするスーパーハイトワゴン。

この激戦区のカテゴリーでも充分な居住性と使いやすさはもちろん、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作をアシストする「プロパイロット」や駐車時に便利な「インテリジェントアラウンドビューモニター」、安全性を高める様々な機能など、日産ならではの先進技術を惜しみなく投入。また、日産ではおなじみのカスタマイズグレード「AUTECH」や「ハイウェイスター」のほか、福祉車両もラインナップされている。

  • 日産「ルークス」

    日産「ルークス」

日産「ルークス」は他社の軽スーパーハイトワゴンと何が違うのか

■5位:ダイハツ「ムーヴ」

「ムーブ」はダイハツを代表するスタンダードなトールワゴン。同社の「タント」との違いは、後部ドアは一般的なヒンジ型で、全高も抑えて走行性能も考慮した点だ。

室内はスーパーハイトワゴンほどではないものの、大人が4人乗ってもゆとりある空間を確保。1995年から続いている長いブランドだけに、軽自動車として必要な装備や使いやすさのバランスに優れている。このほか、内外装に手を加えた「ムーヴ カスタム」とワーゲンバス風の「ムーヴ キャンバス」という派生モデルもある。

ダイハツ「ムーヴ キャンバス」に「スマートアシスト III」搭載 - 画像30枚

スーパーハイトワゴン三国志の激しい戦いは続く

ほとんどのモデルが前年度の新車販売台数を下回っている中でも、やはりダントツで強かったのがホンダの「N-BOX」。今や同社の売り上げの多くを占めるドル箱なだけに、販売にも力が入っていると思われる。

一方、軽自動車を主業とするメーカーのスズキやダイハツは、長年にわたって激しい軽カー戦争を繰り広げてきた。現在も総販売台数では1、2位を競っているものの、車種別で独り勝ちのホンダ「N-BOX」を野放しにしておくつもりはないだろう。

上位を占めるスーパーハイトワゴンは、軽自動車の車両規格を最大に使った広大な室内スペースを売りに大ヒットした。ライバルたちに差をつけるため、デザインや収納性、使い勝手のよさ、環境性能といった付加価値を次々に追加してきたが、近年ではカメラやセンサーを用いた高度な安全技術まで盛り込まれている。

もはや一昔前の軽自動車では考えられないほどの充実装備だが、今後もこのように新しいトレンドをどこまで低価格で提供できるか、という勝負が続くだろう。直近の課題はCO2排出量規制の強化であり、軽自動車であっても本格的なハイブリッドやEV関連の技術が肝になるのではないだろうか。