IFA 2019に出展するシャープが、欧州でも8Kのビジネスを積極的に切り拓こうとしています。IFA 2019では欧州の地で初めて、日本国内で幅広い製品レンジを誇る、AIとIoTを組み合わせたシャープ独自のコンセプト「AIoT」対応の家電を披露しました。

120インチ8Kディスプレイ

  • シャープのブースに登場した120型8K液晶。その圧倒的な迫力あふれる映像を、大勢の来場者が足を止めて見入っていました

現地時間の9月5日にシャープのブースで行われたプレスカンファレンスには、グローバルTVシステム事業本部長 兼 欧州代表である喜多村和洋氏が登壇。現在開発を進めている120インチの8K液晶ディスプレイを紹介しました。

  • カンファレンスに登壇したシャープの喜多村和洋氏

シャープの120インチ8Kディスプレイが製品に近い形で展示会に出展される機会はこれが初めてということもあって、大勢の来場者がブースの入り口に出展されていた巨大な画面に釘付けになっていました。

120インチの8K液晶は、2020年春に向けてBtoB領域の製品として開発を進めているそうです。ただ、実際に展示をはじめたところ、「北米や中国から商談の引き合いが次々に寄せられている」と喜多村氏は話します。IFA 2019の会場では、タイ観光省と共同で製作したタイのイメージビデオをデモコンテンツとして紹介していました。

巨大な画面ならではの没入感を活かして、映像の向こうの世界に飛び込んでしまったようなリアリティを感じられるコンテンツは、観光用途などBtoB領域に数多く見つけることができそうです。でも中国から足を運んだ来場者からは、「わが家のテレビとして使いたい」という問い合わせもあるのだとか。

  • 8Kを撮る・編集する・見るを、ハイアマチュアの領域でも比較的手軽に楽しめるエコシステムをアピール

中国でも、2022年に北京で冬季五輪の開催が予定されていることから、今後は8K需要の急速な高まりが想定されています。シャープは放送局などのプロフェッショナル向けに、8Kコンテンツを「見る」だけでなく、「撮って、編集する」ところも含めたプロダクションのエコシステムを、積極的にリードしていく姿勢を今年のIFAでも改めて強く打ち出しています。

世界最小の8Kビデオカメラ

米ラスベガスでのCESや日本国内のプレス向けイベントでも公開したことのある、世界最小の8Kビデオカメラ(プロトタイプ)もIFAの会場に置かれていました。「カメラで撮る」だけでなく、2019年秋にシャープ傘下になったDynabookのPC製品とも合わせて紹介。DynabookのPC製品では、8K表示に対応するPCのコンセプトモデルを初めて出展しました。

  • コンパクトな8Kビデオカメラのプロトタイプ

  • Dynabookの8K対応PC

家庭でもハイアマチュアユーザーが8Kカメラでフッテージを撮影して、これを8K対応PCで編集して8K AQUOSで鑑賞する……というエコシステムを提案しています。DynabookのPCに関連する情報は別記事で詳しく触れる予定ですが、ディスプレイとPC本体をセパレートにした製品は2020年、一体型モデルは2021年の発売に向けて開発が進められています。

欧州で浸透するか、AIoT家電

IFAのブースでは、欧州で初めてシャープのAIoTに関連する取り組みが紹介されました。各製品の欧州発売については未定となっています。

会場では、エアコンと空気清浄機が連携しながら、部屋の空気の状態を監視してスマートにベストコンディションを保つ提案が紹介されていました。そもそもドイツをはじめ、欧州の国々は夏の暑い時期が短く、日本の夏ほど湿度が高くありません。そのため空気清浄機はともかく、エアコンのような冷暖房器具を導入する家庭が少ないのが現状です。

  • シャープのAIoTスマート家電は欧州に受け入れられるか。賢い連動機能の特徴が紹介されました

単純に冷暖房の高性能を強く推しても、「暑いのは短期間だからガマンしよう」と買い控えされてしまいます。シャープの担当者は「乾燥する室内を加湿機能で潤しながら、部屋の空調を管理できることの付加価値などを追求しつつ、AIoT家電という新しい市場を欧州で開拓していきたい」と意気込みを語ってくれました。

ちなみに、AIoT家電の展示コーナーにはロボホンLiteが音声ガイドとして置かれていました。欧州では導入されていない端末なので、「このロボホンは一体何ができるんだ」と、筆者も偶然にシャープのブースで遭遇した知り合いの外国人記者から質問されたり、思いのほか海外から熱い視線が注がれている様子でした。

5Gスマホやオーディオも

シャープが出展したスマートフォンについてもまた別の記事で紹介を予定していますが、実はIFA 2019のもう一つの出展テーマである「5G」通信をサポートする次世代機のプロトタイプが展示されていました。ただ5Gについて見据えると同時に、シャープのスマホであまねく4G LTEのコンテンツサービスを快適に楽しめるようにすることを、足もとの課題としてとらえているようです。

  • 5G対応スマホのプロトタイプ

ブースの一角には、クアルコムのモバイル向けSoCのトップエンドである「Snapdragon 800シリーズ」を載せた、ミドルレンジの端末「Vシリーズ」も出展されていました。下位クラスのSoCよりも明らかに高いグラフィック性能を確保し、現状の4G LTE時代でも万全の構えを取っていることなどをアピールしていました。

ほか、シャープブースの奥にある商談スペースでは、欧州で根強い人気のあるシャープのオーディオ新製品を見ることができました。

  • 肩乗せスピーカーのAQUOSサウンドパートナー

ワイヤレススピーカーはポータブルの防水仕様だったり、LEDライトがフラッシュする派手めなデザインのパーティースピーカー、Dolby Atmos対応のサウンドバーなど、多彩なラインナップが出そろっていました。日本で展開する肩掛けタイプのBluetoothスピーカー「AQUOSサウンドパートナー」がIFAのブースで参考展示されていましたが、こちらも欧州での導入を検討する価値が見えてくるほど良い反響があったようです。

  • ドルビーアトモス対応のサウンドバーなど、欧州のみで展開する製品を商談スペースに集めて展示

  • スピーカーユニットの周囲が光るパーティー仕様のワイヤレススピーカー

  • コンパクトなBluetoothスピーカーや欧州のデジタルラジオに対応するチューナーなど多彩なオーディオ製品がそろいます