佐川急便とJR北海道が荷物を旅客列車で輸送する貨客混載事業を開始した。今回の取組みの背景として、全国的な自動車運送業の担い手不足と人口減少等にともなう旅客輸送(需要)の減少があり、とくに過疎地域などにおいて物流・人流サービスの維持が重要な課題となっているという。

  • 佐川急便とJR北海道が宗谷本線で貨客混載事業を本格稼動(写真は宗谷本線の普通列車)

そうした状況下で、貨物または旅客の運用に特化してきた従来の輸送サービスのあり方を転換。一定の条件の下、貨物と旅客を運ぶ「かけもち」ができるように規制が緩和されたことになる。佐川急便は北海道内の集配効率の向上を図るため、列車を使った貨客混載事業を協働で行いたい意向があり、JR北海道も列車を有効活用して収入につなげられるため、実現の可能性について両社で検討を進めてきたという。

検討の結果、両社は宗谷本線の稚内駅から幌延駅まで旅客列車を利用し、宅配便を運ぶ新たな貨客混載事業を始めることになった。貨客混載を行う輸送列車は、往路が普通列車4326Dで稚内駅10時27分発・幌延駅11時34分着、復路が普通列車4325Dで幌延駅10時56分発・稚内駅12時8分着。輸送は平日のみとなる。

稚内駅から幌延駅までの輸送方法は、佐川急便稚内営業所の担当者が天塩郡幌延町で1日に配達する荷物を入れた専用ボックスを稚内駅に持ち込み、列車内に積み込んで稚内駅から幌延駅まで運搬する。幌延駅に到着した後、幌延町の配送担当者が専用ボックスを列車内から取り降ろす。幌延町での配送は、佐川急便から業務委託された天塩ハイヤーが担当する。

幌延駅から稚内駅までは、空になった専用ボックスを幌延町の配送担当者が幌延駅から稚内駅に向かう列車の車内に積み込み、稚内駅で佐川急便の担当者が専用ボックスを列車内から取り降して営業所に持ち帰る手順となる。