認可保育園の申し込み期間が終了した自治体も多い中、「もし認可保育園に入園できなかったらどうしよう……」と不安な気持ちで結果を待つ育休ママも多いはず。万一に備え、安心できる認可外保育園を調査しておけば、そんな不安も紛れるもの。そこで今回は、認可外保育園を選ぶ際に注意すべきポイントについて、「保育園を考える親の会」代表の普光院先生に話を伺った。

  • 無認可保育園はどうやって選ぶ?

見学はマスト! 場合によっては質問攻め!?

「認可保育園でも認可外保育園でも、子どもを預けようと思っている園にはぜひ事前見学へ足を運んで下さい。」と普光院先生。現場を見て初めて気づくことは沢山あり、「保育園選びのポイントは、見学がマスト」と言っても過言ではないとのこと。

認可保育園でも認可外保育園でも基本的に注意すべき点は変わらないが、認可外保育園は安全基準が緩い分、命に関わる事柄の確認は特に自分の目で慎重に行おう。以下、特に注意したいチェックポイント7つ。

①見学受け入れ対応
アポ取り段階からすでにチェックは始まっている。見学を面倒がらず受け入れてくれるか、昼寝の時間ではなく子ども達が活動している時間帯にも見学させてくれるかは重要。時間帯を変えて数回行ったり、行事などを見せてもらったりすると、より園の様子が分かる。

②職員の体制・人数
保育園には子どもの年齢ごとに、0歳児には子ども3人に対して保育士ひとり、1歳児は子ども6人に対して保育士をひとりなど、保育士の配置基準がある。それと照らし合わせ、子どもの人数と担任の人数割合が適しているかをチェックしよう。

認可保育園は配置される保育士が全員、有資格者でなければならないが、認可外保育園は全員でなくてもいいことになっている。人数が多くとも無資格者やパートタイムマーの場合もあるので「担任の先生は皆さん有資格者ですか? 常勤ですか?」と質問してみることも有効。

また新設園や開園間もない園では保育士の経験が浅いことも多いため、保育士の平均年齢や、一番ベテランのさんの年齢(保育士勤務年数)を聞くことも大切だ。

③保育の様子・保育士のゆとり
乳児を預ける場合、認可外保育園で一番にチェックして欲しいのがSIDS(乳幼児突然死症候群)対策についての理解。SIDSは睡眠中、特にうつ伏せ寝での発症頻度が高いことが明らかになっている。「うつぶせ寝はしていますか? 昼寝中の呼吸チェックはしていますか?」は必ず質問しよう。

  • SIDS対策は要チェックのポイント

「保育士のゆとりは、午前中の外遊びから帰って来るタイミングを見るとよく分かる」とプロならではの指摘をする普光院さん。外遊び後は、玄関で靴を脱ぎ、教室へ移動し、手を洗って、着替えをして、昼食をとる、とやらなければことが多い。次のステップへ急がせなければならない場面で、子どもの手をひっぱったり、大声で叱ったりしていないか、子どもが納得できるような移行になっているか、をしっかり確認することが大切だ。同様に、子どもが失敗やケンカをした時の保育士の言葉遣いや対応にも注目したい。

④給食・食育
どこの園にも献立表はあるので、それを見せてもらおう。0歳児の場合、離乳食の進め方の目安を聞き、家庭の方針と合っているか、また違う場合は、園の考え方を聞いて納得できるかどうかも大切だ。認可外保育園でも調理室がある場合は多いが、本当に人数分の食事をつくれる施設になっているかどうか、実際にのぞいてみよう。

⑤施設・周辺環境
認可外保育園は園庭がない場合が多く、周辺環境もチェックするポイントとなる。近くに公園があることも重要だが、都心では1つの公園に近隣認可外保育園の園児が集中し、激混みになってしまう場合もあるため、遊べそうな公園や広場がいくつかあるのが理想。

保育施設は、外観や職員室だけでなく、必ず保育室の中を見せてもらうこと。認可外保育園では、0,1歳児の部屋が幼児の部屋と分かれているかも重要。幼児が走り回る環境では、赤ちゃんが安心して快適に活動できず、事故も起こりやすいので別室が望ましい。同室でも間仕切りを設置するなど、配慮されているかが大事だ。

また認可外保育園は認可保育園よりも園児ひとり当たりの面積基準が緩いので、教室が過密すぎないかを実際に自分の目で確認することや、避難路などが確立していない場合も多いため、万一の場合に備え質問しておくことをオススメする。

⑥園児のバランス
認可外保育園が認可保育園と異なる大きな点は、転園する園児が多いこと。「認可保育園が空くまでのつなぎ」として利用している場合が多く、3,4,5歳児が極端に少ない園もあるので、自分の子どもが3歳児以上の場合は同じ学年の園児数にも気を配ろう。

3、4、5歳児は友達との関りを通じて社会性をはぐくむ時期。共同作業や時には喧嘩を通して人との関りを学ぶため「同じ年齢の友達が極端に少ないと、就学までに培われるべき社会性が不足してしまう場合もあります」と普光院さん。

⑦申し込み時期・方法
申し込み時期が決まっている認可保育園と異なり、認可外保育園は園によって異なる。出産前から予約ができる園や、先着順の園もあるため、申し込みの時期や方法については園ごとにしっかり確認しよう。

親と子どもに合った認可外保育園を復職前の早い段階からしっかり探しておけば、万が一に認可保育園への入園が叶わなかった場合でも慌てないで済み、保活の不安が和らぐ。認可外保育園は明確な基準がない分、劣悪な環境で事故を起こしてしまう園があるのも残念ながら事実。子どもの視点からしっかり選ぶことが必要だ。

職場復帰をスムーズに進めるために、しっかりと自分の目と耳を使って情報収集を行い、親も子も安心できる園を見つけよう。

普光院亜紀さん

出版社在職中に二人の子どもを保育園に預けて働く。現在、「保育園を考える親の会」代表。保育ジャーナリスト。保育、仕事と子育ての両立の分野の執筆・講演活動を行うほか、国や自治体の保育・子ども施策に関わる委員会等の委員も務める。著書に『共働き子育てを成功させる5つの鉄則』『共働き子育て入門』(ともに集英社)、『変わる保育園』(岩波ブックレット)、『よくわかる保育所保育指針』(共著、ひかりのくに保育ポケット新書)、『保育園のちから』(PHP研究所)、『教育原理』(共著、光生館)、『「保育」の大切さを考える』(共著、新読書社)ほか。