神戸新交通は17日、六甲ライナー新型車両3000形の報道関係者向け試乗会を実施した。新型車両3000形は8月31日から営業運転を開始。今後、2023年度までに六甲ライナーの全11編成を新型車両へ置き換える。

  • 六甲ライナー新型車両3000形(写真右)。既存車両1000形と並ぶ

六甲ライナー(神戸新交通六甲アイランド線)はJR神戸線(東海道本線)と接続する住吉駅、阪神本線と接続する魚崎駅と、六甲アイランド内のマリンパーク駅までを結ぶ4.5kmの路線。1990年の開業以来、1000形が主力車両として活躍してきた。新型車両3000形は1000形と同じく、川崎重工が製造した4両編成。平成30年からの運用にちなみ「3000形」と命名されたという。今回の報道関係者向け試乗会では、六甲島検車場(マリンパーク駅から西へ約1km)から本線に入り、住吉駅までの区間を約1時間かけて往復した。

新型車両3000形の車体は耐久性に優れたアルミ合金製。「KEN OKUYAMA DESIGN」がデザインの全体監修を担当している。外観デザインは既存車両から一新され、海を渡り六甲アイランドへつながることから、シャープな船舶のシルエットをモチーフとしてフォルムに取り入れたという。神戸にある最古のガス燈にちなみ、緑青を基調とした落ち着いた色彩を採用。先頭上部にトーチをイメージしたLED標識灯を取り付けるなど、港町神戸にふさわしい、六甲アイランドや住吉川周辺の景観にもよく合うデザインとしている。

  • 先頭上部のLED標識灯はトーチをイメージ

  • 車体は緑青を基調とした落ち着いた色彩に

  • 3000形の運転台。通常はカバーに覆われている

車内は先頭部の座席が展望可能なクロスシート、その他の座席がロングシート。利用者同士が気持ちよく座れるように、個別タイプの座席を採用している。運転台も設置されたが、六甲ライナーは自動運転を行っているため、普段はカバーに覆われ、運転席も利用者に開放している。手動運転が必要な場合のみ、カバーを開けて運転席として使用する。

内装は住環境のように居心地の良い空間をめざし、落ち着いた色彩や木目調の素材を使用している。外光を取り入れ車内を明るくするため、ロングシートの座席の背もたれに開口を設けた。立ち客が安全に利用できるように吊り革や取っ手も設置しており、ドア付近の円形の取っ手は身長170cm前後の人なら問題なくつかめる。ドア上に横長19.2インチ液晶の車内案内表示器を設置し、多言語対応でより多くの情報を提供。衛生的な車内環境を提供すべく、鉄道車両用プラズマクラスターイオン発生機も取り付けた。

  • 先頭部の座席はクロスシートで前面展望が可能。その他の座席はロングシートで、車いす・ベビーカー利用者向けのスペースも設置している

  • 既存車両1000形と同様、西側の窓に瞬間曇りガラスを採用。沿線のプライバシーに配慮している

走行安定性や乗り心地の向上を図るとともに、セキュリティおよびバリアフリー対策も強化。車両の床面高さを下げてホームとの段差を解消し、車いす・ベビーカー利用者向けのスペースも全車両に設置している。各車両の連結部寄りに荷物を置ける棚も設置した。車内に防犯カメラを設置してセキュリティを高めたほか、既存車両と同じく沿線のプライバシーに配慮し、住宅地に隣接する西側の窓に瞬間曇りガラスを採用。今回の試乗会でも、住吉~南魚崎間において瞬間曇りガラスの効果が発揮されていた。

六甲ライナー新型車両3000形は今後、8月26日に実施される一般向け試乗会(参加者募集は終了)を経て、8月31日のマリンパーク駅13時3分発、住吉行の列車から営業運転を開始する。今年度の導入は1編成のみだが、2019年度以降は毎年2編成ずつ導入していくとのこと。2023年度までに既存車両1000形をすべて置き換える計画となっている。

  • 六甲ライナー新型車両3000形の車内・外観