成田ベースで撮影している人にとっては、「空の駅 さくら館」(千葉県成田市)はよく見知った場所だろう。成田空港A滑走路北側に位置した公園「成田市さくらの山」の側にあり、レアな航空グッズや飛行機撮影の小休止スポットとして愛されている道の駅、もとい、空の駅だ。

  • チャーリィ古庄氏がプロデュースする「フライトカフェ・チャーリイズ」には、ここだけでしか味わえないものがたくさん詰まっている

    チャーリィ古庄氏がプロデュースする「フライトカフェ・チャーリイズ」には、ここだけでしか味わえないものがたくさん詰まっている

そんなさくら館に3月、「世界で最も多くの航空会社に乗った」ギネス世界記録を持つ航空写真家・チャーリィ古庄氏がプロデュースする「フライトカフェ・チャーリイズ」が誕生した。開業から約1カ月が経った今、改めてカフェ、そしてさくら館の魅力をチャーリィ古庄氏にうかがった。

成田空港と成田市とチャーリィ古庄氏がタッグ

さくら館自体は2015年3月、成田国際空港所有地に成田市が建てた施設。成田空港の4,000m滑走路北側に位置し、飛行機の離着陸を間近で体感することができる公園「成田市さくらの山」を訪れた人がゆっくり寛げる場所として、空や飛行機をコンセプトにした観光物産館だ。150台対応の駐車場を備え、2017年度には年間60万人が訪れている。

  • 「空の駅 さくら館」には「フライトカフェ・チャーリイズ」のほかにも、地元の野菜等や果物などの生鮮品や、航空グッズの販売エリアもある

さくらの山は桜の名所としても有名であり、ソメイヨシノやヤマザクラ、シダレザクラ、ヒガンザクラ等、桜が約350本、低木約5,300株が植林された緑豊かな公園で、特に花見シーズンには大混雑となる。実際、さくら館の駐車場も17時まで満車で、道も渋滞していたという。

2015年のさくら館開館当時からも飛行機グッズの売店はあったものの、全体的に素通りする人が多い状況が続いていたという。その中で抜てきされたのが古庄氏だ。古庄氏は現在、成田市に住んでいるが、さくらの山は高校生の時から訪れている親しみのある地だという。そんな経緯もあり、成田市からグッズ販売のアドバイザーの打診を受け、「アドバイザーなら自分でやった方が早いな」と考えたところから、2016年11月に「フライトショップ・チャーリイズ」が誕生した。

  • 「フライトショップ・チャーリイズ」は2016年11月に誕生

    「フライトショップ・チャーリイズ」は2016年11月に誕生

フライトショップのおかげでさくら館は来館者を伸ばしたものの、今度は飲食店不足が問題に。当時もパン屋があったものの、提供できる量に限界があったため、12時過ぎには完売になることもあったという。そのため、「さくら館にはご飯がない」というイメージがついてしまった。そこで古庄氏は、「ここをもっと良くしていきたい」という想いから、従来のフライトショップを併設したカフェレストランとして、「フライトカフェ・チャーリイズ」を展開することに至ったという。

  • 2018年3月には+カフェレストランな「フライトカフェ・チャーリイズ」に

    2018年3月には+カフェレストランな「フライトカフェ・チャーリイズ」に

パイロット&シート&機内食で機上のひと時

まず、カフェエリアから紹介したい。カフェの営業時間は11~18時(ランチは14時30分まで)で、カウンターで注文をしてから着席するというスタイル。席札には各空港名(スリーレターコード)がデザインされている。この席札は自分で選べるようになっているのは、「『前はここに行ったよね』というような会話のきっかけにもなれば」という古庄氏のこだわりだ。

  • 空港名がデザインされた席札は、自分で選ぶこともできる

    空港名がデザインされた席札は、自分で選ぶこともできる

壁面がガラスでできているのは、もちろん、飛行機を見るため。滑走路に向かって斜めにガラスが配置されているのもポイントだ。席はボックス席とカウンター席がある。取材時の平日には地元の人々が憩うゆったりとした空間になっていたが、土日曜日には多くの人々が訪れて混雑するようだ。

  • 自然光が差し込む開放的な空間は、飛行機ウォッチにもってこいの場所

    自然光が差し込む開放的な空間は、飛行機ウォッチにもってこいの場所

ランチメニューは、「タコライスプレートランチ」(1,080円)や「チャーリイズハンバーグランチ」(1,480円/サラダ、スープ、ライス付き)、日替わりとなる「今日のパスタランチ」(A1,180円、B1,280円、共にサラダ、スープ、ライス付き)や「今日のピザランチ」(1,280円/サラダ、スープ、ライス付き)など種類が抱負。さらに子ども用には、「お子様カレープレート」(780円)と「お子様ハンバーグプレート」(780円)も用意している。

ランチメニューに+350円で「スイーツプレート」をプラスすることも可能。ドリンクも、「チャーリイズラテ(カフェラテ)」(330円)や「ドリップコーヒー」(200円)、「100%オレンジ/アップルジュース」(200円)等をそろえている。これらのメニューは全て、店内の厨房で作られており、店内食のほか、テイクアウトできるメニューも用意している。また、料理には地元・千葉の食材を意識して用いており、コーヒーは成田市のコーヒー専門店「HOUEI COFFEE」のものとなる。

  • ランチは14時30分にラストオーダーとなる。食材は極力、地元・千葉県のものを使用。「食材がなくなったら隣で買ってこれますしね」と古庄氏

いろいろと迷ってしまうが、ここならではのメニューを楽しむのであれば、やはり「チャーリイズ特製機内食」(1,780円)を頼みたい。このメニューだけは厨房提供ではなく、世界ナンバーワンシェアのケータリング会社「ゲートグルメジャパン」から取り寄せた、チャーリイズカフェのためにデザインされた特別メニューとなっている。2カ月に1回メニューが変わり、4,5月はスパイシーなカレーが振る舞われる。

  • 取材時の「チャーリイズ特製機内食」(1780円)はスパイシーなカレーがメイン。カシューナッツがポイントだ

    取材時の「チャーリイズ特製機内食」(1780円)はスパイシーなカレーがメイン。カシューナッツがポイントだ

  • 取材時の「今日のピザランチ」(1280円/サラダ、スープ、ライス付き)は春らしく、スナップえんどうとベーコンのトマトピザだった

    取材時の「今日のピザランチ」(1280円/サラダ、スープ、ライス付き)は春らしく、スナップえんどうとベーコンのトマトピザだった

この機内食の提供は古庄氏からゲートグルメジャパンに相談して実現したもので、ゲートグルメジャパンとしても成田にベースを置く会社として、共に成田を盛り上げたいという想いで展開している。特にどのクラスという設定はないものの、「イメージ的にはプレミアムエコノミークラスぐらいかな」と古庄氏は言う。カトラリーをよく見ると、ユナイテッド航空の旧ロゴがデザインされている。いい意味で、全く気が抜けない。

  • カトラリーは、今では貴重なユナイテッド航空の旧ロゴデザイン

    カトラリーは、今では貴重なユナイテッド航空の旧ロゴデザイン

ショップエリアとの境に設置されている飛行機シートは、カフェ利用時に席としても利用できる。このシートに座って特製機内食をいただけば、もうそこは機上の空間だ。

  • このシートに座って機内食を食べる、というのもありだ

    このシートに座って機内食を食べる、というのもありだ

料理を運んでくれるスタッフにも注目。パイロット風の制服が印象的だが、きめ細かなサービスを目指し、厨房スタッフも含めて、全員女性スタッフがカフェを展開している。実は注文時に目にしてちょっとテンションが上がっていたのだが、カフェ内には機内でよく見かけるカートも用意しており、場合によってはこのカートで料理を運んでくれることもあるようだ。

  • パイロットの制服をまとったスタッフが、カートで料理を提供してくれることも

    パイロットの制服をまとったスタッフが、カートで料理を提供してくれることも

食後には「チャーリイズラテ(カフェラテ)」(330円)を。フワフワのミルクの上に飛行機が飛んでおり、「4発機ってことはジャンボか、それとも……」等と考えながらいただくのも一興だ。ちなみにこのほど、「こんなんじゃ崩せないじゃないか」というなんとも心温まる"クレーム"もあったようだ。十分見た目を楽しんだら、ココアを混ぜてしっかり味わおう。

  • 「チャーリイズラテ(カフェラテ)」(330円)はいつまでも眺めていたくなる

    「チャーリイズラテ(カフェラテ)」(330円)はいつまでも眺めていたくなる

続いてはショップエリアを紹介しよう。

※価格は税別