――カホコがまっすぐ見つめてくる表情が印象的です。ものすごく目を見開いているイメージがあるのですが、演出で意識してるんですか?

高畑:眼差しについての演出はないんです。私、実はこうやってインタビューを受けるとき、結構目を見ないでしゃべっちゃうんですよ。人をジッと見るのって結構怖くて、例えば、ウソがあったり、照れがあると、相手の目を見れなかったりするんですよね。でも、カホコってすごく人の目をド直球で、向こうが逸らしちゃうくらい見れる人だなという印象が最初あったので、どのセリフもどのシーンも、相手のことを見ていようという意識はあります。

――あの表情で至近距離に来られると、びっくりしますよね。

竹内:僕は見られた気持ちをそのままリアクションしようと思ってやってます。自分が都合悪くなったら目線を離すし、一方で真正面から受け止めることもある。でも強烈ですよ、他のドラマでもあんなにじっくり見られたことはないんで(笑)。プライベートでもないんで、新鮮な感じですよね。

高畑:私もないです(笑)。あんなにまっすぐ見たこと。

竹内:第1話で、「なんのために働くの?」って言われたときとか、逆に目が離せなくなるんですよね。なんか犬みたい(笑)。ワンちゃんがむき出しの愛情で自分を見てくれてる時の感覚に近いです。そうなると、もう放っておけなくなりますよね。

――今作では、お2人での掛け合いのシーンが多いですよね。

高畑:毎回2人の会話のシーンは楽しいですね。基本1対1で、ちょっと漫才っぽくて。カホコ目線で言うと、序盤で家族とかに自分の思ったことを言えない中で、麦野くんは唯一気持ちを打ち明けられる大切な存在。撮影を重ねるとそのテンポがお互いの中でできてきて、すごく楽しいです。

竹内:ありがとうございます(笑)。カホコのテンポは絶対ぶれないんで、あのゆったりのカホコと、どうやってテンポよく見せようかなというのをリハから考えていたんですけど、最初はそれを探るのが結構難しくて。でも、やっていけばやっていくほど、いいテンポ感がでてきて、それが楽しくなってきてますね。ちょっとずつお互いの感じがわかってきた気がします。

高畑:はい、します(笑)。でも今後カホコが成長してきて、話が噛み合うようになってきちゃって、それはそれで難しいんです。

竹内:そうなんですよね。逆に「これでいいのかな?」って不安になってくるんです。

――黒木瞳さん演じるカホコの過保護なお母さんのキャラクターが強烈ですよね。

高畑:ドラマだから、当然キャラクターはデフォルメして作ってるんですけど、実際にもああいう母親って結構いると思うんですよ。カホコが全部受け入れちゃってるから、大惨事になってるんですけど(笑)、子供がかわいすぎて独り占めしたいっていうお母さんはいるだろうから、見る人によっては手放しに「面白いね」って見れる人もいれば、思い当たる節があって心が痛む人もいるんじゃないかなって。

竹内:僕は周りに「うちの親ソックリだ」っていう人がいましたよ。だから、わざと何も言わないで一緒にドラマを見てくれたらしいんですけど、親御さんは「面白いじゃん」で終わって、何も気づかなかったらしいです(笑)。黒木さんとはたまに一緒になるシーンがあるんですけど、僕のキャラはわりと視聴者目線で客観的に見られるんで、(黒木演じる)泉さんの表情を見てると面白いですね。第2話で、泉さんが病院のロビーで張り切ってるシーンがありましたけど、ああいう人のちょっとしたトラブルを無意識に喜んでるような場面って、自分の親とかでもなんか見たことあるんですよ。

高畑:確かに、なんか既視感はありますね(笑)

竹内:でも、ああいう気持ちは自分自身にもあると思うんです。もしライバル的な人がケガしちゃって、それで自分が上に行けるなら、心配しながらもどこか心の中で「よっしゃ!」と思ってしまうような部分。だから、決して描いていることは非現実的じゃなくて、日常で起きてて目を逸しがちな部分をちゃんと描いているから面白いんだと思うんです。