無理なくできる「胆汁酸ダイエット」とは?

ダイエットと名の付くものは数限りなくあるが、実際に自分に合った方法を実践するのが一番の近道かもしれない。とはいえ、体力や日常生活との兼ね合いの中で無理なく続けられるもの、かつ、効果的な方法があれば試してみるのもありだろう。そこで近年注目されている、「胆汁酸ダイエット」の仕組みを追ってみた。



脂肪燃焼を助ける消化液

胆汁酸ダイエットを簡単に言うと、胆汁酸を活用した代謝促進型ダイエットのこと。きつい運動や食事制限を必要としないため、注目している人が徐々に増えている。

慶應義塾大学大学院の渡辺光博教授

この胆汁酸は、胆のうという臓器から分泌される消化液のひとつである。7月27日に行われた日本杜仲研究会の定期大会では、日本テレビ系「世界一受けたい授業」でも胆汁酸ダイエットについて解説をした、慶應義塾大学大学院の渡辺光博教授がそのメカニズムを発表した。

胆汁酸は小腸に分泌され、脂肪の消化・吸収を助ける働きがあることが知られており、一部は体外に排出されるものの、95%は腸から再び吸収されて身体の中を循環する。渡辺教授の発見により、胆汁酸が肝臓・筋肉・褐色脂肪細胞に働きかけてエネルギー産生を促進し、代謝を高めることが判明した。また、体内に蓄えられた脂肪が減少するので、内臓脂肪型肥満に起因するメタボリックシンドローム対策として有効とされる。

しかし、古くなった胆汁酸は代謝機能が低下するのみならず、新しい胆汁酸の合成を妨げてしまう。つまり、古い胆汁酸は排出し、新しい胆汁酸の血中比率を上げることがポイントとなる。実際に米国FDAでは、胆汁酸レジンが糖尿病薬として追加認可されている。

杜仲茶で体重とBMI値を改善

では、どうやって胆汁酸を排出すればいいのか。ひとつは、こんにゃくや大麦、海藻類などの食物繊維を多く含む食品の摂取。そして、杜仲茶である。

杜仲茶に含まれている「アスペルロシド」の働き

杜仲茶に含まれている「アスペルロシド」(ASP)には、胆汁酸分泌と代謝アップの働きがあるという。プラセボ(偽薬)と濃度を変えた杜仲茶を用いて、12週間後の体重と体脂肪率、BMI値の比較実験を行ったところ、アスペルロシドには体重とBMI値を改善する働きがあることが分かった。また、2カ月間、濃いめの杜仲茶6gを飲みきれる量で煮出した場合、毎日1時間ウォーキングしているのと同じくらい、脂肪を減らす効果があるとされている。

杜仲茶を12週間摂取したところ、体重とBMI値に改善が見られた

加えて、杜仲茶はカフェインを含まない。カフェインは鉄分の吸収を阻害する働きもあるため、鉄分が不足しやすいダイエット中には、カフェインレスの杜仲茶はオススメだ。渡辺教授は杜仲茶を飲むタイミングとして、食事とともに摂取することを推奨している。

中には、杜仲茶を飲みづらく感じる人もいるかもしれないが、最初は薄めに作り、慣れてきたらだんだん茶葉を増やしていくといいだろう。今までいろいろなダイエットを試してきたものの、どれも続いたことがない……という人も、身体に無理なく始められる胆汁酸ダイエットを検討してみるのはいかがだろうか。