「3.11と日本」

番組のラストには田原総一朗氏がVTR出演し、3.11を振り返って総括を行った。

田原氏は、戦前の物理学者である寺田寅彦が書いた「関東大震災のあと、日本は災害を食って生きてきた」という言葉を紹介し、「この国は何度も津波や地震が起きても、それを経てたくましく育ってきた」と述べた。

しかし、今回の福島原発事故については「私は第二次世界大戦の敗戦に匹敵する第二の敗戦だととらえている」と語気を強め、「原発は危険なものに決まっていて、東電や経産省もそれはわかっていた。しかし原発を危ないというと町の人を説得できないから絶対安全だといった」と改めて東電や政府のこれまでのやり方を批判。また、問題は「絶対安全だという神話を地元に振りまいたことだけでなく、東電や経産省の原発に関わるスタッフ自身も絶対安全だと思い込んでしまったこと」だと指摘した。

なぜなら、「2008年の段階で福島には1200年前、地震があり15メートル級の津波がきたことがわかっていたにも関わらず、10メートル以上の津波に備えていなかった」からだ。「このとき対応していれば、今回の事故は軽減できたはずであり、そのうちにやるといっているうちに今回の事故が起きてしまった」のである。

ではどうして対応が遅れたのか。田原氏は「責任をもって主体をはっきりさせなかった」ことが原因だと述べ、責任体制ができていないことが日本の最大の問題だと断言する。

「再稼働するにしても、誰がどう責任をもっているのかが曖昧。原発ゼロというが、じゃあ何年先までにどれくらい自然エネルギーを開発できるのか。先の選挙で原発ゼロを掲げた政党が惨敗したのも、原発ゼロの話にリアリティがなかったから」(田原氏)

これまでいかになれあいでやってきたかを指摘し、強く非難した田原氏。最後に「災害が起きることを覚悟し、準備すること。そのときどう対応するかが大切」と述べ、番組を締めくくった。