6月11日(米国時間)のWWDC 2012開催を前に、Appleの次世代「iOS」に関する噂が加速している。すでに数ヶ月前から広く伝えられている「独自の地図サービス実装」「iCloud向けの新サービス」に加え、ストアのリニューアルなどいくつか新情報も見受けられる。

地図サービスの大幅強化は既定路線

iPhoto for iOSの地図。デスクトップ版iPhotoではGoogle Mapsのデータを使用しているが、iOS版ではOpenStreetMapの地図データを使用している

次期iOS (便宜的に"iOS 6"としておく)について最も著名な噂が「Google Mapsの代わりにAppleが独自の地図サービスを組み込む」というものだろう。Appleは先日リリースした「iPhoto for iOS」の中で「OpenStreetMap」をベースにした独自の地図機能をインプリメントしていることが知られているが、同社ではこれをさらに推し進め、より洗練された地図機能をiOS 6に標準実装するのではないかといわれている。

Appleは過去に「Placebase」「Poly9」「C3 Technologies」という3つの地図技術開発会社を買収しており、地図関連の"何か"を推し進めていることは容易に想像できる。AppleがiPhoto for iOSをリリースしたのと同時期に、「Foursquare」がGoogle Mapsの利用を廃してOpenStreetMap+MapBoxベースの独自実装に移行したのが話題になったが、この理由としては「Google Mapsの有料化への移行」というだけでなく、「柔軟なサービスの構築」を同社では挙げている。AppleがもしiOS 6でGoogle Mapsの利用を停止した場合、その理由を前向きな意味で解釈するならば「より優れた実装を行うため」だと考えられる。特にC3 Technologiesの「3D地図表示」を実現する技術は見た目のインパクトも大きく、この理由足るに十分かもしれない。

これに関連してApple Insiderは、Sterne AgeeのアナリストShaw Wu氏が最近発表したレポートの中で「Appleが次のWWDCの中で"大きく拡張された"地図サービスを発表する可能性」を示唆していたという話を伝えている。前述のように意味もなくAppleが地図サービス企業の買収を繰り返すはずもなく、問題は「いつ製品を実際に発表するのか」という点だと多くの関係者は考えているだろう。

Instagramのような写真共有SNSもiOSに統合へ

またWu氏のレポートではこのほか興味深い指摘があり、「iOSで標準実装されている"Camera"と"Photos"アプリで"注目すべきアップグレード"が行われる」可能性があるという。具体的にはサードパーティ製アプリで実現されていた機能の一部がこれらアプリに取り込まれ、Appleのエコシステム内である程度のことが実現可能になるということのようだ。例として挙げられているのは先日Facebookが10億ドルで買収した「Instagram」で、こうした機能がiOS標準で実装されるという。これに関してはWall Street Journalが以前に「Apple Preparing Upgrade to iCloud」のタイトルで報じており、iCloudを利用した写真共有のSNSライクなサービスをiOS標準機能として実装していくとしている。ここで挙げられているサービスのイメージも、Facebookや、同社に買収されたInstagramだ。

「D10」カンファレンスにおけるCook氏のインタビューのハイライトは「D10」のウェブサイトで公開されている

Apple CEOのTim Cook氏は、今後もFacebookやTwitterといった外部サービスとの連携を深め、実際に自社製品(OS XやiOSなど)への積極的な統合を先日開催された「D10」カンファレンスにおいて表明しているTechCrunchなどでも指摘されているが、具体的にはこれまでOSとは別に「Webでのログインが必要」だったこれらのサービスに対し、OSレベルでアカウントの管理やログイン/オフを行え、さらにアプリ間の連携を強化していく形態になるとみられる。だが一方で、自社が開発した同種のサービスを積極的に自社製品へと組み込む方向性も模索していることになる。一見矛盾しているようにも見えるが、排他主義でない限り、複数の選択肢が用意されるのはユーザーにとってはありがたいことだ。

双方向性を重視したストアリニューアルとは

iOS 6に関してもう1つ興味深い噂が「ストアのリニューアル」だ。9 to 5 Macによれば、AppleはiTunes Store、App Store、iBookstoreなど、iTunesに紐付くストアサービスのリニューアルを計画しているという。内容的には"双方向性"を重視したデザイン変更で、ソーシャル機能なども視野に入れているようだ。同誌によれば、前述のFacebook統合もまたストアリニューアルの一環なのだという。